
サッカーの試合風景というとどんな光景が浮かんでくるだろうか。音が鳴るサッカーボールや電動車椅子に乗ってプレーする選手。「サッカー」と一言で言っても障がい者サッカーは多様だ。パラスポーツを知れば、新しい世界が広がる。
IAIパラスポーツパーク誕生
2024年12月7日、小型産業用ロボットメーカーのアイエイアイが本社敷地内(静岡市清水区庵原)に「IAIパラスポーツパーク」を開設した。全国初のパラスポーツ優先の施設だ。
クラブハウスの壁面には「キャプテン翼」の作品で知られる漫画家の高橋陽一さんが描いた看板が設置されている

NPO法人静岡FIDサッカー連盟・理事長の瀬戸脇正勝さん
近年、パラスポーツは広がりを見せているが、障がい者が日常的にスポーツをする環境はまだ整っていない。障がい者サッカーに関心のあったアイエイアイの石田徹社長が瀬戸脇さんの熱意に動かされ、約2年半前に建設が決まった。
迫力あるブラインドフットボールと電動車椅子サッカーを観戦
「第10回パラフットボールフェスティバル」が1月11日、12日の2日間にわたり、IAIパラスポーツパークほかで開催された。障がい者サッカー選手による交流試合や体験会を通じ、誰もがスポーツを楽しむことが目的。障がい者サッカーは7競技あり、シミ毎記者はブラインドフットボールと電動車椅子の試合を初観戦した。どちらもとても迫力があり、びっくりした。ブラインドフットボールは視覚障がい者サッカー。静岡県では「FCコレチーボ静岡」が浜松・静岡市を拠点に活動している。アイマスクを着用した4人のフィールドプレーヤーとゴールキーパーの5人で構成される。ゴールキーパーは、アイマスクを付けず、晴眼者(目が見える人)か弱視者が務める。

ブラインドフットボールでは、ボールが両サイドを越えないように、サイドラインに壁を設置する
電動車椅子サッカーは重度障がいの選手が多い。静岡県では「SFCデルティーズ」が浜松市を拠点に活動する。車椅子で直径約32.5cmのボールを追う。車椅子に付いたコントローラーを手やあご、足で巧みに操作し、パスやドリブルを行う。

電動車椅子サッカーは車椅子で直径約32.5cmのボールを追う。写真は浜松市を拠点に活動する「SFCデルティーズ」の普段の練習風景(SFCデルティーズ提供写真)
瀬戸脇さんは「IAIパラスポーツパークからパラスポーツを発信したい。清水の人に応援してほしい」と期待を寄せる。サッカー文化が根付く清水なら、サッカーを応援する楽しさや喜びを知っている人が多いだろう。障がい者サッカーに興味を持ち、応援したいチームができたら、日常に彩りを与えてくれるはずだ。
障がい者サッカーについて知ろう
IDサッカー
知的障がい者の11人制サッカー。1月25日、26日には「もうひとつの高校選手権大会」と呼ばれる全国知的障害特別支援学校高等部サッカー選手権が藤枝市で開催された。県代表は袋井特別支援学校磐田見付分校が出場した。アンプティサッカー

日本代表経験を持つ「ガネーシャ静岡AFC」の後藤大輝選手(左)にアンプティサッカーを教わるパラフットボールフェスティバルの参加者
CPサッカー

「AQエスフォルソ静岡三保」の普段の練習風景
ソーシャルフットボール
精神障がい者のためのフットサル。1月14日から18日にかけて「第1回精神障がい者フットボールアジア大会」が大阪府で開催され、日本代表は優勝を飾った。デフサッカー・フットサル

静岡県出身のデフサッカー元日本代表で現・日本代表のコーチを務める塩田知弘さん

静岡県にはまだ、デフサッカーチームはないが、瀬戸脇さんは聴覚障がいの子どもたちにもサッカーを楽しむ機会を作っている
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■IAIパラスポーツパーク基本情報
住所:静岡市清水区庵原町1210
開館時間:火~日曜、10:00〜20:30
定休:月曜
利用料:無料
問合先:瀬戸脇・天野
TEL:090-2775-6348/FAX:054-209-2888
施設:人口芝のコートは、ブラインドフットボール専用のフェンスを常設。多目的エリア電動車椅子サッカー、車椅子バスケットボール、ボッチャに対応。夜間照明完備。観客席は160人収容
IAIパラスポーツパークでは、パラアスリートの大会や遠征、体験会などの活動をサポートするため、旅費の補助を目的とした寄付を呼び掛けている。寄付は1口1,000円から受け付け。施設の予約方法含め、詳細は「IAIパラスポーツパーク」で検索を。
※シミズ毎日2025年2月23日発行号を一部再編集し掲載しています。

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