国際的な活躍で知られる松島誠さん(写真上)が、香港からやってきた11人の俳優たちと1カ月間、文字通り寝食を共にして作り上げたパフォーマンスは、森のつくりだす陰影と草の香り、斜面と平場が接近する地形を有効に活用した、見る側の立地点をも問う作品だった。
静寂の中に川のせせらぎや鳥のさえずりが響く場所で、中央アジアの喉歌のような女声の旋律で幕開けした約30分の演目は、演者と演者、あるいは演者と観客の間に言語によるコミュニケーションをあえて存在させていなかった。それなのに、分断と協調の物語がはっきり立ち上って見えたのは、場の空気を吸って出来上がったこの演目ならではだろう。
声のアンサンブルあり、群舞あり、観客を一部巻き込むようなパフォーマンスありで、意外に「エンタメ性」が高いのも特徴。なにより、整然と並ぶ木々はもちろん、斜面ややぶ、道なき道を巧みに「舞台化」していた点に恐れ入った。
森の中に身を置いた「観劇」は、記憶から消し去ることのできない体験となった。パフォーミングアーツの自由さという点で、こちらの先入観を鮮やかに覆す演目だった。(は)
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■原泉アートデイズ!
会場: 掛川市原泉地区全域
受付場所:旧原泉第2製茶工場(掛川市萩間702)、旧田中屋(掛川市黒俣545-1)
入場料:ドネーション(寄付)方式
会期:11月24日(日)までの木、金、土、日。午前10時~午後4時
問い合わせ:https://haraizumiart.com/artdays/