(聞き手、写真=論説委員・橋爪充)
演劇祭のオープニングを飾る演目の稽古に励むアートひかりの杉山雅紀さん(手前左)と地元住民(10月中旬、島田市の川口公会堂)
-初開催の演劇祭ですが、何が発端だったのですか。
仲田:伊久美地区に2年前から住ませてもらっている中で、面白い方にいっぱい会ったんです。そういう方々一人一人をつなげて表現できることをやってみたいという気持ちがまず最初にありました。
-そこから地元の文化や資源を紹介する演劇祭を構想したのでしょうか。
仲田:茶畑に劇場作りませんか、平屋の古民を使いませんかといったチャレンジしがいのある“舞台”候補をたくさんいただきました。それも理由の一つですね。今回は、かつての小学校や神社も使います。
-「アートひかり」の仲田さん、俳優の杉山雅紀さんが伊久美に移住して2 年。たったそれだけの期間で地域の人たちと演劇祭を開くにまで至ったことに驚きます。
仲田:みなさんのおかげです。2021年から(アートひかりの演目)「JapanTea物語」の上演で(伊久美には)通っていたんですが、演目を見に来た方が「ここでやらないか」と言ってくださって。人から人へ、どんどん繋がっていく感じで活動を続けています。
-伊久美地区の住民にとっても、演劇団体を受け入れるのは初めてのことだったのではないでしょうか。
仲田:そうですね。今回の演劇祭にも出演される方が、私たちが来た頃、いいことを言ってくれました。「緑の風景の中に一輪の花が咲いたみたいだ。お茶と椎茸の茶色しかないところに、ちょっと鮮やかな色が加わった」って。
演劇祭の打ち合わせをするアートひかりの仲田恭子さん(右)と、杉山雅紀さん(10月中旬、島田市の川口公会堂)
-「伊久美茶話クラブNEO」名義で、伊久美小のオペレッタを受け継ぐ取り組みも2年目に入りましたね。地元の資産をつなぎ直す活動だと思いますが、そうしたことは最初から意識されていたのでしょうか。
仲田:そもそも引っ越してきたのは、ここなら演劇で何かできることがありそうだという気持ちがあったからなんです。可能性と魅力は最初からあった。それが2 年間ではっきりしました。
-演目にはアートひかりが主体的に作ったもの、これまでのキャリアの中で知り合った方々のもの、それに加えて地元の方々を引き引き込んで作ったものの3パターンがありますね。ただ単に、外から来た劇団を次から次へと並べてみせるという形になっていないところが素晴らしい。
仲田:私の演劇に対する考え方が「どこでも誰でもできるもの」であって、ありとあらゆる視点があればいいんです。そういう形になればいいと思って組み立てました。
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■伊久美劇場
(演目の一例)
▼11月1、2日
◎オープニングアクト「川口絵巻~長田致光」
構成・演出:仲田恭子
出演:百鬼ゆめひな、杉山雅紀、堀崎大二郎、堀崎敏春
太鼓:堀井智之
◎人形創作神楽「風~わらべの御子と風の女神のものがたり」
作・構成・美術・出演:百鬼ゆめひな
音楽:木並和彦
照明:伊東千晶
◎会場 川口八幡神社
◎時間 午前11時、午後6時
◎入場料 一般2000円、高校生以下1000円、未就学児無料、伊久身地区在住者半額
▼11月29、30日
◎アートひかり「JapanTea物語」
原作:西野真「大井川連環の譜 近代日本茶物語」
脚色・演出:仲田恭子
出演:加藤久美子、杉山雅紀、中村クラゲ、古市裕貴(ユニークポイント)、山田愛(同)
音楽:のまど舎(ホリゴメミホ、紺野将敬)
照明:木村義晴
書:松竹由紀
◎会場 旧伊久美小学校
◎時間 午後1時半
◎入場料 一般2000円、高校生以下1000円、未就学児無料、伊久身地区在住者半額
問い合わせ:project291@gmail.com(アートひかり)







































































