<静岡高校サッカー>浜松湖北がシード校連破で初の決勝トーナメントへ “歓喜の涙”に包まれ、監督「いいチームになった」
<全国高校サッカー選手権静岡県大会1次T4回戦・浜松湖北 1−1(PK5−4) 浜松東>
決勝トーナメントへと続く扉を初めてこじ開け、浜松湖北イレブンの涙が止まらない。試合後、就任1年目の太田修弘監督(31)はこみ上げる感情を必死に抑えながら言葉を絞り出した。
「絶対的なエースはいないけれど、一人ひとりがチームのために頑張れる。自分の子どもたちながら、本当にいいチームになってくれたと思う。最後まであきらめない姿勢を出して、タフに戦ってくれた」
CB八木が土壇場で同点弾
この日の相手は第5シードの浜松東。真っ向勝負を挑んだ浜松湖北は序盤からボールをつなぎ、互角以上の内容で何度も相手ゴールに迫った。しかしネットを揺らせずにいると、後半34分にフリーキックをつながれて失点。敗色は濃厚に見えた。
だが、選手たちはあきらめなかった。起死回生のゴールが生まれたのは1点を追う後半残り1分。MF西尾慎之介(RBA FC 浜名湖出身)のロングスローを1年生兼子歩(浜名JY出身)が頭でそらし、ゴール前に混戦を生んだ。
ボックスの外でこぼれ球に反応したのがセンターバックの八木亜南(浜北北部中出身)。「いいところに転がってきたので、右足を振り抜いた。気づいたら仲間がバァーって駆け寄ってきてくれたので、決まったんだと分かった」。土壇場で試合を振り出しに戻してみせた。
直後に突入したPK戦で浜松東の1人目のキックがポストを直撃したのに対し、浜松湖北は5人全員が成功。決勝トーナメント進出が決まると、メガホンを片手に声を張り上げていたベンチ外の選手たちが一斉にピッチになだれ込み、膨れ上がる歓喜の輪の中でイレブンが雄叫びを上げた。
「パス&ゴー」
浜松湖北は2015年に引佐、気賀、三ケ日の3校が統合して誕生した。現在は県西部ユース2部リーグに所属。今年は新人戦も高校総体も西部地区予選で敗れ、県大会に出場することさえできなかった。しかし、今大会に入ると選手たちが躍動。第4シード聖隷クリストファーを2−1で撃破した3回戦に続き、再びシード校を打ち破った。
チームが意識しているのは「パス&ゴー」。守備一辺倒ではなく、相手がどんな強豪でもむやみにボールを蹴ることはしない。人もボールもよく動くスタイルを実践している。
中盤には大石隆翔(積志中出身)、竹内侑空(浜名JY出身)、伊藤龍生(浜名JY)らボールを持てる選手がそろい、ボランチの土井琉生主将(RBA FC 浜名湖出身)が汗かき役としてテクニシャンたちを支える。
指揮官は「スピードのある選手、体が強い選手、ヘディングが強い選手とバランスよくそろっていて、それぞれが得意なプレーをしてくれている」と目を細める。
「感謝の気持ちを胸に」
新しい歴史を刻んだチームの快進撃はどこまで続くのか。決勝トーナメントに向け、土井主将は「どこが相手でもすべて格上。自分たちはこれまでチームに尽くしてくれたスタッフや保護者の方々への感謝の気持ちを胸に戦いたい」と力を込めた。目標に掲げたベスト8まで、あと1勝だ。「静岡サッカーが、好きだ!」そんなあなたにうれしいサッカー情報を、プロから高校、ジュニア世代まで幅広くお届けする無料アプリ。静岡新聞SBSのサッカーコンテンツが大集合しています。すべての静岡サッカー愛は、ここに集まる!