【直木賞候補作を読む①柚木麻子さん「あいにくあんたのためじゃない」】「個」と「連帯」の対比

静岡新聞教育文化部が200字でお届けする「県内アートさんぽ」。今回から不定期で、7月17日に選考発表がある第171回直木賞の候補作を紹介する。第1弾は柚木麻子さん「あいにくあんたのためじゃない」。10日のSBSラジオ「3時のドリル」では、同賞の選考予想を行った。
弱肉強食が幅をきかせるウェブ上のラーメン評論家たちの、栄枯盛衰と復讐劇。長寿ドラマを論じるコミュニティーで出会った匿名アカウントとの接近、すれ違い。ユーチューバーに悪態を交えて正論を吐き、突如注目を浴びる「MCワンオペ」の正体。六つの短編はそれぞれ独立しているが、その深層には「個」と「連帯」の対比がさらさらと流れる。その水が澄んでいたり、濁っていたり。作者一流の語り口で清濁が巧みに調節されている。(は)

静岡県内の音楽、美術、文学、演劇、パフォーミングアーツなど、さまざまな表現活動を追いかけます。教育分野の動きもフォロー。最新情報は公式X(旧Twitter)で。

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