【永井紗耶子さんの直木賞候補作「木挽町のあだ討ち」】現場は芝居小屋でなくてはならない

静岡新聞教育文化部が200字でお届けする「県内アートさんぽ」。今回は7月19日に選考結果が発表される第169回直木賞の候補に入っている、島田市出身の永井紗耶子さん「木挽町のあだ討ち」(新潮社)。

山本周五郎賞受賞作で、直木賞の最右翼(当社比)。芝居小屋の前で華麗に仇討ちを果たした若侍の物語が、元幇間の木戸芸者、元御徒士の殺陣師、元旗本の戯曲作家ら5人の語りで別の話になっていく。仇討ちの現場は芝居小屋でなくてはならなかった。これぞ核心部分。5人が語る各エピソード、涙腺決壊箇所多数。特に第四幕で夫婦が粥をすする場面は号泣必至。静かな長屋、縁側に雀、黙って食べる夫。何という詩的な場面だろう。

静岡県内の音楽、美術、文学、演劇、パフォーミングアーツなど、さまざまな表現活動を追いかけます。教育分野の動きもフォロー。最新情報は公式X(旧Twitter)で。

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