
書家が「ウエルカムウォール」を揮毫
さまざまな競技での使用に加え、ビックアーティストのコンサートでも活用されている袋井市愛野のエコパアリーナ。施設の関係者は長年、ある懸案に頭を悩ませてきました。それは「せっかくエコパアリーナに来場されたのに思い出に残る写真スポットが無い」問題。このほど、満を持してモニュメントがお目見えしました。静岡市清水区出身の書家 岩科蓮花さんが手がけた「ウエルカムウォール」です。

3メートル四方のボードに岩科さんは「静岡エコパアリーナ」と揮毫(きごう)。朱色の「蓮」の署名を添えました。エントランスロビーに設置され、来場者の皆様をお迎えします。きっと文字の迫力に圧倒される事でしょう。

通用口エリアにも
揮毫はもう一つあり、「WELCOME TO ECOPAARENA(ウエルカムトゥーエコパアリーナ)」と書かれた作品。こちらは、競技のため会場入りする選手やコンサートなどで利用するアーティストの皆さんなど、関係者をお迎えする通用口エリアに設置されました。
躍動感あふれる書体はウエルカムウォールと共通で、富士山をイメージさせるこちらは「A」の文字のデザインが特徴です。残念ながら、一般の人は自由に出入りできないエリアにあります。運のいい人は見られるかもしれませんが、せっかくですのでこちらも作品の写真と制作風景をお届けします。
施設名の看板は金属板や石碑などがおなじみ。ですが、エコパの担当者は東京の国立競技場のインタビューゾーンやフィールドへのアプローチ部分に設置された「TOKYO JAPAN」「NATIONAL STADIUM」の揮毫作品にインスパイアされ、エコパならではの歓迎看板を検討してきました。担当職員は「生で見て、作品の迫力を感じていただければ」と話しています。
書家 岩科蓮花さん

作品を担当した書家 岩科蓮花さんが書道を始めたのは6歳。静岡商業高校を卒業後、広告会社に在籍していた当時、書いた筆文字が「面白くない」という理由で採用されなかったことがありました。それならばと実験的にタイポグラフィ作品を紹介するブログ「きょうの筆文字」を始めたところ、宝島社発行のガイド本『このブログがすごい! 2006』で、年間ベストブログ7位と紹介され、それ以来筆文字制作の依頼が来るようになったのだそう。
40年以上書道を習い続けており、現在は東京の師匠のもとで月6回稽古を受けているとか。書道だけでなく、篆刻、現代アートまで表現の幅を広げ、東京や京都など年3回ペースで作品展を開催するなど精力的に活動されています。