【静岡の高校サッカー戦後史Vol.25】碓井博行を擁した1971年度の藤枝東、5年ぶり2度目の全国総体制覇!
【藤枝東高⑯】総体Vチームに県の壁
※2011年3月〜11月に「静岡の高校サッカー 戦後の球跡」のタイトルで静岡新聞に掲載した連載を再掲しています。年齢等も掲載当時のままです。本県の高校サッカー全盛時代、よく耳にした。「全国で勝つより静岡の方が難しい」と。1971年(昭和46年)度の藤枝東も、そんな言葉を身をもって味わったのではないだろうか。
新チームは、まず県新人戦で優勝した。だが、県スポーツ祭は準々決勝で浜名に競り負け、総体県予選は決勝で清水東に苦しめられた。
全国行きを懸けた戦いは、立ち上がりから清水東の出足に圧倒された。前半終了寸前に先手を取ったものの、後半5分に追い付かれた。その後も守勢は変わらなかったが、残り5分前の岡本勇(藤枝市在住)の決勝弾で辛うじて県を制した。
事実上の決勝、浦和市立を延長で撃破
徳島で行われた全国総体は、順当に勝ち上がって4強入りし、準決勝で浦和市立(現・さいたま市立浦和)と対戦した。事実上の決勝戦と目された一戦は、1−1で延長にもつれ込んだが、前半8分、1年生中村一義(藤枝市在住)が決勝点をたたき出した。広島工を相手にした決勝は、終始、余裕を持って戦い、3−0で快勝した。シュート数は16−1。GKの石神隆(現・大沢、浜松市北区在住)は「ボールにさわった記憶はなく、暇だった」ことを覚えている。
5年ぶり2度目の全国総体制覇。他を寄せ付けない戦いぶりは高い評価を得たが、石神は「県の方が大変だった」との印象が強かったという。
選手権で“静岡県予選の壁”
後に日本代表でも点取り屋として活躍する碓井博行(千葉県柏市在住)、それに主将の滝井敏郎(東京都青梅市在住)、大畑行男(藤枝市在住)ら前年度から主力だった3年生を軸に、実力派で固めた布陣は攻守に隙がなかった。当然のように、選手権も全国Vの期待が高まった。しかし、県予選の壁は厚かった。
県予選は1、2次トーナメントを経て藤枝東、清水商、浜名、藤枝北が決勝リーグに進出した。さて、決勝リーグ。藤枝東は1勝2分け、勝ち点4で戦い終え、浜名が勝ち点3にとどまったため、残る清水商(勝ち点2)―藤枝北(同1)戦の結果を待った。
清水商は勝てば勝ち点4となるが、藤枝東は得失点差で5の大差を付けていた。全国行き間違いなし―。そう確信しながらロッカールームで着替えをする選手たちの耳に、大歓声が届いた。清水商が何と7−0で大勝したのだ。
藤枝東は土壇場で優勝を逃し、県を勝ち抜くことの厳しさを実感する。(敬称略)
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