ジュビロ磐田の藤田俊哉SDが考える若手の海外移籍「行って来い。そういう時代じゃないですか」

J1昇格を決めたジュビロ磐田・藤田俊哉スポーツダイレクターに今季を振り返ってもらうインタビューの続編。これからのクラブ運営や若手の海外移籍の考え方について聞きました。

ー今季は後藤啓介選手をはじめ若手の出場機会が増えた。
「彼らにとっては、どういう巡り合わせか分からないけど、すごくチャンスができたシーズンだった。非常にポジティブなシーズン。厳しい見方をすれば(補強禁止がない)普通に争っている状況で、出られるかどうか。これからの彼らの成長度合いや実力になってくる」

ー昨季ガンバ大阪戦で降格が決まり「こんなに悔しいとは思わなかった」と言った。今季悔しかった試合はあるか。
「ありますよ、いっぱい。もちろん開幕戦は悔しい。ポイントを取れなかった試合は全部悔しい。大宮戦も攻めに攻めてどうしてあれで負けるのか。エコパでの清水戦も先制したが(引き分け)。町田のアウエーは最初から相手にやられている悔しさもある。思い起こせば全部悔しいよね」

ー横内昭展監督について。
「いつもベストを尽くしてやってくれる。毎日クラブハウスで話した。監督の部屋に僕が行って、コーヒーを飲みながら話をするのがスタイルだった」

ー戦力を補強するのがスポーツダイレクターのメインの仕事。それが今年はなかった。
「何やっているのかと言われる、暇だろと(笑)。そういう動きができない分、内部の動きを整えることができたし、考えることもできた。リサーチしたり周りを見たりすることができた。

選手時代とは全く違うものだから、今まで幅広くジュビロのことを見ようと思わなかった。いまは全部を見ようとして今の自分たちを考えようとするかな。いまはチームがよりうまく回るため、成長するためどうした方がいいのか。どう情報をもらい、意見をもらうか」

ーオランダはじめ欧州でクラブ運営を学んだ。
「参考にすることはいっぱいある。社会とクラブが近い。コミュニティーの場としてある。どうすればクラブと周囲の距離が近くなるか。気軽に試合や練習を見に来ることができるか。

スケールにもよるが、変えられるものはすぐ変える。計画を立てて大きくやらなくちゃいけないことは3~5年後。練習環境、クラブハウスは十分なのか。室内のトレーニング環境はこれでいいのか。ミーティング施設は狭すぎないか。

サポーターが来た時に楽しいか。お茶の一杯ぐらい飲めないか、などと考える。いいものは残して改善点があれば変えていく。見直すつもり」

ー今季ホームタウンが県西部に広がった。
「僕の時(現役時代)は磐田だけだったが、広域化した。やることも、やれる可能性も広がった。そこに対しての準備計画はもっともっと立てる。スケールが大きくなる準備はできている。

あとは自分たちがどう実行していくか。実行するスピード。強いに越したことはないが。何十年もやっていく中でずっと強い成績を残せるクラブはそんなにない。どういうチーム成績だろうがやることは変わらない」

ー後藤啓介選手について。夏場に海外移籍含めてメディアが騒いだ時期があった。
「行くだろうな、もう止められないだろうなと。実際オファーもあったし。その時期が来たらまず行ってこいとは言う。そういう時代じゃないですか、もう。

さすがに夏はまだ早いだろうとは言ったけど。そんなの何回も言えないだろうし。誇らしいことじゃないですか。そういうオファーをもらえる選手がここにいるということは。アカデミーの強化にもなるし、クラブの価値も上がるし、注目度も高くなるし」

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