小説の世界をより深く。「本と音楽の素敵な出会い ラブカは静かに弓を持つ」に行ってきました

小説と音楽のクロスオーバー

みなさん、こんにちは。
編集局紙面編集部の遠藤竜哉です。

10月15日、グランシップ(静岡市駿河区)で開かれた「本と音楽の素敵な出会い ラブカは静かに弓を持つ」の公演を拝見しました。作家とチェリストのトークや演奏が交互に展開され、演奏会を「聴く」というより、トークと演奏を通して小説を「より深く味わう」、もしくは「味わうきっかけを提供するー」といった感じの興味深い企画でした。
「ラブカー」は、2023年本屋大賞第2位に輝いた、スパイ小説と音楽小説を掛け算したような作品です。私は普段小説をあまり読みませんが「音楽と著作権法」というジャーナリスティックな背景が面白く、展開にドキドキしながら読みました。

作者の安壇美緒さんが執筆の舞台裏を披露したと思えば、世界的に活躍するチェリスト横坂源さん(浜松市在住)が作品からインスパイアされた自身セレクトによる小品を演奏してくれました。
曲目は、必ずしも作中に登場する作品ではありませんでしたが、主人公が弾いていてもおかしくないなと思える、練られた選曲でした。


当日のプログラムから1曲紹介すると、ラフマニノフの「チェロ・ソナタト短調 作品19」。ピアノのイメージが強いラフマニノフですが、彼が書いた室内楽作品の傑作として名高い一曲です。当日は最もよく知られた第3楽章が演奏されました。


私にとってはトロンボーン編曲版で親しんできた作品で、原曲の生演奏は初めて!

チェロの懐の深い音色が、ラブカがすむ深海のイメージと重なって、作品を取り巻くイマジネーションに一層の深みが加わったような印象でした。

安壇さん、横坂さんの人柄に触れファンになった人も多いのではないでしょうか。

遠く感じる「舞台」と「客席」をぐっと近づけてくれる県文化財団の企画。これからも大いに期待しています。

(舞台写真は県文化財団提供)

静岡新聞SBS有志による、”完全個人発信型コンテンツ”。既存の新聞・テレビ・ラジオでは報道しないネタから、偏愛する◯◯の話まで、ノンジャンルで取り上げます。読んでおくと、いつか何かの役に立つ……かも、しれません。お暇つぶしにどうぞ!

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