静岡・青葉通り発『三保原屋LOFT』。見ているだけで癒やされる、美術館のような雑貨屋さんへ
見ているだけで癒やされる、ほっこり可愛らしい雑貨たち。実はそれだけでなく、期間限定で洋服や原画の展示など様々な企画展も行われていて、美術館のような洗練された雰囲気もあるお店です。
そんな店舗設計に至った経緯について、大学の卒業研究でも本店を取材した”三保原屋ファン”であるアットエス編集部・花島が、株式会社三保原屋常務の堀高輔さんにお話を伺いました。
アートな雰囲気が漂う店内
「三保原屋LOFT」の名前の通り、江戸時代から続く静岡の超老舗家庭用品店「三保原屋」の姉妹店として1982年にオープンしました。「作り手の心をお客様の心に」をコンセプトに、作家さんの器や紙もの、北欧雑貨、洋服などを扱っています。
店内では期間限定で洋服の展示会や原画展など、様々な企画展も開催。作家さんの作品だけではなく、障がいのある子供たちがデザインした雑貨販売もしています。その他、トークイベントやライブ、ワークショップなども行っています。
こうした、買い物にプラスαの楽しみを提供する取り組みや快適なお買い物時間を追求した店舗づくりが評価され、2022年には「地域のお店デザイン表彰」で県知事賞を受賞しました。
店内で企画展を行うようになった経緯は?
花島:商品販売だけでなく、作家さんの原画展や子どもたちの手作り雑貨などの展示を企画するようになったきっかけはあるのでしょうか?
堀さん:主にLOFT店の経営を担っている母親が、温かみのある商品が好きというのがあります。量産型じゃないというか、作り手の思いが使い手に伝わるような商品ですね。
花島:たしかに、お店の中に作家さんの展示のスペースがあると、お客さんは「商品」を「作品」として意識するようになる気がします。「作り手の思い」が可視化されるというか。
堀さん:時代的な相性もあると思います。今はナチュラルなテイストに収まっていますが、建物を建てた40年程前は、1階が雑貨屋さんで2階がカフェギャラリーでした。当時は斬新すぎて、一度挫折してしまったのですが...
そこから紆余曲折を経て、今は細く長く、商売をするような形になっていますね。量産品ではなくて、お客さんのニーズに沿った商品を置くようにしています。
花島:三保原屋さんの本店では、店舗スタッフさん自身が商品の仕入れも担当しているのが特徴と伺いました。三保原屋LOFT店でも、商品の仕入れは店舗スタッフさんが担当しているのでしょうか?
堀さん:作家さんの中には母と付き合いのある方が多いのですが、通常の商品仕入れは本店と同様に店舗スタッフが行なっています。もうひとつの姉妹店の「NEST焼津」でも同様です。
店舗スタッフが直接商品を仕入れることで、お客さんの声を拾いやすくなるメリットがあります。実際に入荷してからも、店頭でお客さんに例えば「これは、前にあった似たような商品と何が違うの?」と聞かれても、すぐに答えられますよね。それぞれ何かしらの意図があって仕入れると思うので、自ずと商品への愛も深まるのかなと思います。
作り手と使い手、双方の思いが共存する場所
三保原屋LOFT店には、作り手の思いが使い手に届くような温かみのある商品が並んでいます。そしてそれだけではなく、使い手になるお客さんの声を生で聞ける店舗スタッフが直接仕入れまで行なっているので、作り手と使い手、双方の思いが合わさった商品ラインナップになっているといえそうです。
「このお皿を使ったら、いつものごはんももっと美味しくなるかな?」「このクッションをソファに置くだけで、何だか違った印象になりそう!」私はいつもお店に行くと、そんな楽しい妄想が止まりません。
「ここに行けばきっと、私の心は躍るはず!」そう確信できるのは、作り手と使い手双方の思いを大切にする姿勢が垣間見える店舗づくりの影響なのかもしれません。
みなさんも、ぜひアートに触れるような感覚で、何気ない日常にちょっとワクワクをプラスするモノたちとの出会いを求めに足を運んでみてください。
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■三保原屋LOFT店
住所:静岡市葵区両替町2-4-1
TEL:054-251-1771
(アットエス編集部 花島瑞希)
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