ネット上の有害情報の削除拡大!求められる個々のリテラシー

インターネット上の有害情報について、警察庁は2023年2月、削除要請の対象を大幅拡大しました。詳しいことを刑事コメンテーターの佐々木成三さんにSBSアナウンサー原口大輝がうかがいました。

※2023年3月9日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

忍び寄る闇バイトの恐怖

原口:インターネット上の有害情報の削除要請の対象拡大の動きは、何が大きなきっかけだったのですか。

佐々木:昨年起きた安倍晋三元総理の銃撃事件において、容疑者がネット上の情報で銃や火薬を自作したと説明しています。その他にもSNSやインターネットから起因した犯罪がかなり増えました。そういった背景から有害情報の削除要請の対象を拡大することになりました。

原口:ここ最近、闇バイトの多発が、対象拡大の時期を早めたと聞きました。

佐々木:闇バイトの問題は、ここ最近始まったものではなく、数年前から問題視されていました。指示役がSNSを使って実行犯を募り、海外からも指示ができる状態になっています。警察としても取り締まるのが難しく、強化に至ったということだと思います。

原口:どういった内容のものが削除要請の対象ですか。

佐々木:削除要請の対象拡大前は売春、児童ポルノ、大麻・覚醒剤などの違法薬物の取り引き、通帳・携帯電話の売買、ネットの不正アクセスなどが多かったです。

拡大後は拳銃の譲渡、爆発物や銃器等の製造、殺人・強盗・放火などの凶悪犯罪、臓器売買、人身売買、硫化水素ガスの製造、ストーカー行為等の7つが加えられました。

有害な情報を見つけたら「インターネット・ホットラインセンター」へ相談を

原口:直接的にこういった書き込みをしないように思いますが、「隠語」と呼ばれるものはあるのですか。

佐々木:闇バイトに絡む事件としては、受け子を「UD」、強盗を「叩き」、大麻を「野菜」、覚醒剤を「氷」と書き込んで、ネット上で堂々と売買したり、犯罪を誘引する書き込みが多くあるんです。

原口:有害情報は誰がどのように見つけるんですか。

佐々木:警察だけのサイバーパトロールだけでは難しいので、民間や大学生にも委託して強化しています。

原口:ちなみに我々一般人が有害情報を見つけた場合は、どのようしたらいいですか。

佐々木:警察が一番オススメしているのが「インターネット・ホットラインセンター」への問い合わせです。ここは一般の方からの情報を収集するためのセンターで、インターネットで検索すると、通報の仕方が詳しく書いてありますのでぜひ見てみてください。

原口:そういった有害情報がないのが理想ですが、書き込んだ人はどんな形で罰せられるのでしょうか。

佐々木:闇バイトに関しては実行犯と同様の犯罪と同じ実刑になります。大麻など違法薬物の取り締まりに関しても、同様の犯罪で立件する姿勢を示しています。

原口:今後さらにインターネットからの犯罪も増えてくる恐れもありますが、事件に応じて解釈や有害情報が拡大するということが今後ありえますよね。

佐々木:SNSのサイバー空間において、犯罪の誘引・起因になっているものがかなりあるため、私たち見る側が情報モラル、ネットリテラシーを高く持たないといけません。

実際、闇バイトを手伝うことによって、5万円や10万円などの目先の欲だけで人生に大ダメージを受ける若者がいることを知っていてください。デジタルでのコミュニケーションも大切ですが、その前にアナログなコミュニケーションも大切です。物事を見極めるためにデジタルとアナログの両方で鍛えていってほしいです。

原口:インターネットの中は、正確な情報だけではないので、情報の取捨選択や不特定多数の人との関わり方を気をつけるようにしてください。
今回お話をうかがったのは……佐々木成三さん
元埼玉県警察本部刑事部捜査第一課警部補。22年間埼玉県警で勤務。捜査一課ではデジタル捜査班の班長として活躍し、サイバー犯罪捜査の経験豊富。2017年に退職。その後、犯罪を生まない環境作りを目指し、学校や企業などでの講演活動やメディア出演など、幅広く活躍中。

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