犬を飼っている高齢者は介護リスクが低い!?患者さんの心をケアする!セラピードッグ

捨て犬がセラピードッグに!

国立環境研究所や東京都健康長寿医療センターの研究チームによれば、日本の高齢者1万人以上を対象にした調査で、犬を飼っている人は飼ったことがない人に比べて、介護などが必要になるリスクが低いことが分かったのだそう。みなさんの中にも動物と触れ合って、元気をもらっている人も多いのではないでしょうか?

今回は、静岡県沼津市を中心に、ケガや病気を抱えた方や心のケアが必要な方に寄り添う、セラピードッグの普及・啓蒙を行うNPOしずおかセラピードッグサポートクラブ(以下、「クラブ」)で活動されている笠井清美さんに、SBSアナウンサー牧野克彦がお話をうかがいました。
※3月7日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

牧野:笠井さんは普段、どんな活動をされていますか?

笠井:セラピードッグの普及・啓蒙活動を行っています。セラピードッグたちが元捨て犬ということもあるので、捨て犬問題についても「捨て犬ゼロ」を目指して保護・愛護活動をしています。

牧野:改めて、セラピードッグについて教えてください。

笠井:直訳すると「治療犬」で、高齢者施設や障がいを持っている人、がんなどの病気で治療を必要とする患者さんの、心と身体の機能回復を補助する活動をしているのがセラピードッグです。一緒に歩いたり触れあったりすることで、患者さんの心をケアして前向きにする役割をしています。

牧野:捨て犬を育ててセラピードッグにするというのは、犬に特殊なトレーニングをされるんですか?

笠井:そうですね。だいたい40種類以上のトレーニングを経てセラピードッグに認定しています。トレーニングでは、例えば、目と目を合わせるアイコンタクトや利用者と同じペースで歩く同速歩行、ベッドで一緒に休むなど。あとは、杖を使って歩くような、動きがぎこちない人とも一緒に歩く練習もしています。

牧野:犬と暮らすことや一緒に過ごすことによる効果や、その魅力とはどのようなものでしょうか?

笠井:一緒にいるだけで元気がもらえますし、つらい治療でもがんばろう!という前向きな気持ちが出てきます。やる気を引き上げてくれるのは、セラピードッグの魅力でもあると思います。触れ合うという行為自体が、エネルギーの相互交流とでも申しましょうか、心が穏やかになると言われています。セラピードッグに触れたい、一緒に歩きたいという思いが、利用者さんの動きにくい手や足を動かせたりすることが起きています。

牧野:昔から良い面はあるなと思っていましたが、今はデータとしてもしっかり出てきているんですね。クラブでは、捨て犬ゼロを目指し、新たな飼い主探しの活動もされているそうですね。

笠井:当クラブでは、保健所に成犬譲渡の登録をして、保健所に収容された捨て犬が飼い主に戻らなかった場合、その犬を引き出して、飼ってくれる方を探す活動をしています。

牧野:実際は、どういう形で巡り合えているのでしょうか?

笠井:すぐに新しい飼い主さんに巡り合うということではなく、譲渡会やイベントを通じて犬たちを紹介しています。そこで希望する人がいたら、本当にその人が飼えるかなどを聞き取りして、トライアルしてみるところからサポートし、正式譲渡までつなげます。

牧野:実際に犬を飼うのに向いている人、向いていない人の傾向はありますか?

笠井:年齢のことや家族環境もあります。あとは住宅環境で、ペットの飼えない家で飼いたいといわれてもそれはできませんね。

牧野:セラピードッグや譲渡に興味がある人はどこへ連絡すればいいでしょうか?

笠井:まずセラピードッグに関しては、私たちの母体でもある一般財団法人国際セラピードッグ協会にお問い合わせください。譲渡に興味のある人は、お近くの市町の保健所や市役所か、クラブまでお問い合わせいただきたいと思います。詳しくは各HPをご覧ください。

牧野:これまで活動してきて、印象的なエピソードはありますか?

笠井:時代によって犬を手放す理由はさまざまですが、逆に犬と巡り会って本当に嬉しかったといってくださったり、その方自身が元気になっていく様子を垣間見れます。あとは、犬たちも笑顔になっていく様子もわかりますので、やっていてよかったなと思います。

牧野:私も子どものころから犬を飼ってきましたが、やはり家族ですよね。

笠井:本当に家族だと思うのですが、一方でペットを捨ててしまう人もいます。ですので、本当に飼えるのかということをしっかり家族で相談した上で、迎えていただきたいと思います。

牧野:わかりました。これからも活動がんばってください!
今回お話をうかがったのは……笠井清美さん
NPOしずおかセラピードッグサポートクラブ会長。昭和48年生まれ。小さい頃から動物大好き。富士サファリパーク就職後、アニマルセラピーに関心をもつ。現在は動物病院で働く傍ら、ライフワークでの保護犬問題、人と動物の豊かな共生について考え活動中。

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