
宝島社『田舎暮らしの本』2月号、「2022年版住みたい田舎ベストランキング」
牧野:私も実はこの『田舎暮らしの本』をよく読んでいたんですが、すてきな雑誌ですね! どんな雑誌なのかご紹介からお願いします。柳:地方移住の実現をお手伝いする月刊情報誌です。1987年の創刊なんですが、田舎の不動産情報、移住者ストーリー、自治体の支援策、田舎暮らしで必要になる家庭菜園、DIYなどの情報を掲載しています。読者はやはり都会で暮らしている人が多く、特長として移住を前向きに真剣に考えていらっしゃる人が多いです。
牧野:私は移住は考えていなかったのですが、この雑誌を読むと、テレビであまり出てこないような町の情報も載っていて、こんな暮らしが日本にあるんだなと想像するだけでも楽しめました。この雑誌の「田舎」の定義はどういうところを指していますか?
柳:定義は人によってそれぞれだと思うので、私どもとしては、「こうじゃなきゃ田舎ではない」という言い方はしていません。東京都心よりのんびりしていたら田舎だという人もいれば、里山が広がっていないと田舎じゃないという人もいます。ですから、ゆるやかに「心豊かに暮らせる、人と自然に恵まれた場所」くらいに考えていただければと思います。
「住みたい田舎ベストランキング」
移住したい都道府県ランキング
牧野:歴代「住みたい田舎ベストランキング」を見ていると、移住したい都道府県ランキングでけっこう静岡県が健闘してまして、ほぼほぼ2位に入っている年が多いですよね。柳:ここのところ6年続けて2位ですね。
牧野:全国的にみると静岡県はどういうところの評価が高いんですか?
柳:読者に東京や名古屋圏の人が多いので、高ポイントですね! 東京の人にとっては伊豆のイメージで非常に慣れ親しんでいるので、良さを実際によくわかっていることも大きいと思います。
牧野:これはアンケートの結果をもとにランキングを作ってらっしゃるのですか?
柳:「移住したい都道府県」に関しては、読者のハガキとネットのアンケートですね。
牧野:ほかには具体的にはどんなランキングが載っているのでしょうか?
東海エリア「子育て世代が住みたい町」「シニア世代が住みたい町」1位:静岡市
柳:「住みたい田舎ベストランキング」は、編集部が独自に作成したアンケートを自治体に送りその回答を数値化してランキング形式にしています。アンケートは毎回見直しますが、内容は移住支援策、医療、子育て、自然環境、就労支援、移住者数などを含む276項目!今回は全国の751市町村から回答がありました。2013年2月号から毎年実施して、今回で10回目を迎えました。牧野:静岡県内の町もわりと入っていますね! 例えば東海エリアでいうと、「子育て世代が住みたい町」1位が静岡市、「シニア世代が住みたい町」も1位が静岡市。そのほか藤枝市、富士市、富士宮市、焼津市あたりも子育て世代上位に入っていたりしますね。
柳:熱心ですよね。
牧野:市町が子どものいる家庭に対して、熱心な施策をしていることが評価されているのでしょうか?
柳:ランキングは、人口を1万人、3万人、5万人、20万人を区切りにして5つのグループに分けて、グループ内で比較しています。静岡市は大きな町ですので、「人口20万人以上」というカテゴリーで、都市機能が整っていてオクシズなどの自然も豊かであると。そうした魅力が両方あって、しかも市として移住定住に熱心ということがありますよね。
若い世代の移住希望者が増えている
牧野:近年、田舎暮らしに対する考え方の変化は感じられますか?柳:新型コロナが流行したということもあり、移住相談件数、移住者数ともに昨年と比較して伸びているところが多いです。相談窓口の担当者からは「以前より具体的で熱意を感じる」という声も聞きます。
牧野:移住したい人は、主にどんなことを求めているように感じますか?
柳:特に最近は若い世代が増えているので、仕事と子育てを気にされている印象です。
牧野:老後を田舎で過ごしたいというニーズは、最近ではどうでしょうか?
柳:依然としてありますよ! 根強い人気を感じますが、比較すると若い世代の移住希望者の方が増えています。私の周りでも地方に移住する人もパラパラいますし、田舎暮らし、地方移住、菜園をするなどのライフスタイルを求める人が増えています。
牧野:若者と老齢者では、町に求めるものが違うと思いますが、静岡県が両方から評価されているのは嬉しいなと思いました。
柳:魅力的なところなので、ぜひたくさんの移住者を受け入れていただければ、読者も喜びますのでお願いします(笑)。
牧野:『田舎暮らしの本』の編集方法も10年前、20年前と比べて変わってきていますか?
柳:昔は、自治体発信の情報はほとんどなかったんです。基本的に地方自治体は、地元の住民サービスをやっているところなので。「移住情報はありますか?」と聞くと「なんでそんなことをしなくてはいけないの?」という反応だったんです。
牧野:今は、町発信の情報も充実してきたんですか?
柳:充実どころじゃありませんよ!
牧野:編集長の立場から、町の担当者に発信のコツを伝えるとしたらどうしますか?
柳:窓口の顔が市町の顔になりますので、にっこり笑って、セールスマンだと思って優しく対応していただければと思います。
牧野:静岡県の自治体のみなさんにも、全国発信をがんばっていただきたいと思います! 今回はありがとうございました。