安倍川に架かる最長の橋『静岡大橋』と リバーシブルレーンを導入している『駿河大橋』を取材した。
静岡大橋
静岡大橋は安倍川に架かる一般道の橋の中で最長であるとともに、デザインも特徴の一つだ。この橋は、1992年に開通したが、当時はまだ東西の道路整備が進んでいなかったことから、暫定的な2車線だった。その後、東西に延びる丸子池田線が整備されてきたことで予定されていた4車線化を実施し、2007年に完成。
南北に東名高速道路やJR東海道線の線路があるなど、多くの人の目に留まる位置にあることから“見せる橋”や“市のシンボル橋”として、また、富士山や日本平が望めるなど貴重な景観があることから自然に配慮して、設計デザインされているという。
大きな象徴といえるのは、橋の四隅にある親柱とアーチを描いた照明柱だ。親柱は、市政と未来を結ぶ懸け橋として“メッセージロケット”をイメージ。駿河湾の荒波を一気に吸い上げる大波の雰囲気をモチーフにしているそうだ。
照明柱は、曲線を用いることで長い橋のイメージを和らげ、柱の色は周囲の緑と同調させ違和感のないようしているという。また、高欄の上部は駿河湾の荒波を、柵の丸みは南アルプスをイメージして作られ、渡る人たちがここでしか見られない景観を楽しめるようにバルコニーも設置されている。
橋の中央のコンセプトボードには「橋を行き来するそれぞれが主役であり、車や自転車は小道具。富士山や風景はバックセット、そして川の音や鳥の声はバックミュージックです」と書かれている。橋自体、もしくは橋から続く静岡市全体が舞台で、そこで起こるストーリーが劇の一部のように捉えてデザインしたようにも思える。
様々な思いが込められた静岡大橋。橋を渡るとき、デザインの意図を感じながら歩いてみると面白いかもしれない。
駿河大橋とリバーシブルレーン
安倍川を渡る橋の一つ駿河大橋は、3車線のうち中央の車線を時間帯によって入れ替える中央線変移システム(リバーシブルレーン)を導入している全国的にも珍しい橋だ。リバーシブルレーンが設置されたのは1978年のこと。焼津市や藤枝市などが静岡市のベッドタウン化したことから静岡市の中心街へ向かう車が増加し、交通渋滞が恒常的に発生。幅の広い橋を新たに設置するのが困難だったことから、このシステムを導入したという。
渋滞緩和に一定の効果を示してきたが、慣れていないと車線がわかりにくいというデメリットもあり、長年にわたり様々な意見が交換されてきた。
1992年に静岡大橋が開通し、2018年には静清バイパスが全線4車線化するなど、導入時に比べて使う道路の選択肢が増えたことで交通量が分散化。駿河大橋の交通量はピークだった1985年と比べると2020年には4割ほど減少し以前ほどの渋滞がなくなったことや、機器が老朽化し、交換部品の調達も難しくなってきていることから今年度をめどにリバーシブルレーンの廃止が決定された。
廃止後は、手越原交差点から駿河大橋までは中央にゼブラ帯を設けた片側1車線に、駿河大橋は上り線を2車線に変更予定だという。それに伴い、周辺交差点の交通規制も一部見直されるそうだ。
<問い合わせ先>
■静岡県警察本部 交通規制課 規制係
TEL:054-271-0110
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