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視覚障害の子へ新聞授業 沼津視覚特別支援学校 「読む」ハードル下げ 未来の力に

2024年09月21日(土)付 朝刊


 沼津市の県立沼津視覚特別支援学校(田渕尚子校長)が、新聞を学校教材に活用する「NIE(教育に新聞を)」の実践校に指定され、9月から活動が始まった。視覚障害の特別支援学校としては県内初の参画で、児童生徒がどのように読み、学びにつなげるのか、その手法に関心が集まっている。
 4年の佐藤葵依さん(10)は18日の授業で、8日付の本紙朝刊と週刊子ども新聞「YOMOっと静岡」に載っていたパリ・パラリンピック競泳の鈴木孝幸選手の記事を比較した。顔を紙面に近づけたり、iPad(アイパッド)のカメラ機能や専用の読書機で拡大したりして読んだ。
 石川紗恵子教諭と話す中「本紙は写真や話題の数が多い」と気付いた半面、紙面が大きく読むのに苦労した。一方、横書きの子ども新聞は、佐藤さんにとって程よいサイズで記事にふりがなが付き、機械で拡大しながら文字を追いやすいことも分かった。佐藤さんは「二つの特徴や工夫を発見して、自分に合った読み方を考えるのが楽しかった」と振り返った。
 同校は幼稚部、小学部、中学部、高等部(成人)で構成し、計26人の児童生徒が通う。児童生徒は弱視や全盲、別の障害との重複など多様で、機材も読書用の拡大機や音声読み上げ機、点字新聞など幅広くそろう。NIEは情報収集スキルの向上を狙いにエントリーし、県NIE推進協議会の推薦で日本新聞協会から24~25年度の2年間で実践校の指定を受けている。三田薫子教頭は「新聞の構成は日頃読んでいる教科書とは違う。どういうものが見やすいか、何を使うと便利か、児童生徒が試しながら自己理解を進めることが、将来の社会生活を後押しすると考えている」と話す。
 小4以上を対象に、発行日や新聞社名の位置といった構成の確認から始め、将来的には意見交換や新聞作りなどを計画している。(教育文化部・大須賀伸江) 

 

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本紙を読む佐藤葵依さん(左)=18日、沼津市の県立沼津視覚特別支援学校

新聞使い 思考・表現力を 矢沢さん(静岡新聞NIEコーディネーター)島田五小で講座

2024年09月06日(金)付 朝刊


 島田市の島田第五小は5日、5年生を対象に新聞を活用した「NIE授業」を実施した。静岡新聞NIEコーディネーターの矢沢和宏さんが講師を務め、普段の学習での新聞活用方法などを説明した。
 5年1組では23人の児童が授業に臨んだ。矢沢さんは全国学力テストで、新聞を読む人ほど成績が高い傾向にあるという文部科学省の分析を紹介。新聞記事を使ったワークシートを解くことで、思考力や表現力を身につけることができることを伝えた。
 児童はワークシートを使い、見出しの考案に挑戦した。矢沢さんは「問いやキーワードをしっかり理解し、誰でも分かる文章を作ることが大事」と助言した。
 同校では3年生から新聞記事を基にしたワークシートを使い、週に1度NIEの時間を設けている。松浦葉那さん(11)は「授業やテストでも、今日教わった勉強法を生かしたい」と話した。
 (島田支局・赤池泰輝) 

 

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矢沢さんから新聞を使った学習を教わる児童=島田市の島田第五小