
静岡県内で生まれた手作りのフルートが世界に羽ばたいています。
静岡県湖西市にある小さな工房は、楽器の生産だけでなく編み出した技術を広く業界全体に広めようとしています。その理由とは。
■"すべてが手作り"のフルート

ドイツのバイエルン放送交響楽団で主席奏者を務めるヘンリク・ヴィーゼさん。世界トップクラスの奏者が吹いているのは「マスターズフルート」。
この楽器を生んだのは県内の小さな工房です。湖西市の楽器メーカー「フルートマスターズ」は従業員9人の小さな会社。
すべてが手作りのため、月に生産できるフルートは1本から2本。修理できるのは35本程度です。
この会社を立ち上げたのが社長の野島洋一社長。大手楽器メーカーに勤めた後、34年前に独立しオリジナルのフルートを開発しました。
<フルートマスターズ 野島洋一社長>
「(目指しているのは)長く使える楽器。それがこだわりの根本なんです」
■業界に革命を起こした職人の感覚と「オールピンレス」の独自技術

野島社長が開発したフルートは業界に革命を起こしました。
フルートの命ともいえる息を吹き込む歌口。多くのメーカーがコンピューターを駆使して削る歌口は、内側が左右対称になります。
この会社では職人の感覚で歌口の微妙なカーブを調整。わずかな息遣いを表現できるそうです。
もう一つの技術が「オールピンレス」。こちらもオリジナルのつくりです。
<野島社長>
「(マスターズの場合は)ネジはつくけど穴があかない。シャフトが曲がったり、強度が落ちることがない」
従来のフルートには指の動きを伝えるシャフトにピンを打ちます。オールピンレスはピンをひとつも使わないためさびにくい上、直しやすく結果、楽器は長持ちします。
様々なこだわりを込めた世界に2つとないフルート。その独自性ゆえにだれにでも吹ける楽器ではないといいます。
<野島社長>
「初心者が吹きやすいものが本当にハイグレードな楽器に必要なのか」
■「特許を取らずにほかのメーカーに教える」
会社を設立してから数年はなかなかフルートが売れず苦難の日々を歩みました。
そんな中、野島社長がかつて大手メーカーにいた時の縁で、世界で活躍する奏者たちがこのフルートを知り愛用するように。
そこから徐々にマスターズフルートの存在が広まるようになったといいます。野島社長には大切にしているポリシーがあります。
編み出した技術の特許を取らず、他のメーカーに教えていくということです。
■「後の人たちに技術をオープンに」
<野島社長>
「我々は古い楽器から教えられたことを生かして新しい技術を生み出してきたので、後の人たちに同じように我々の技術をオープンにして、それをどんどん使ってもらいたい」
もちろん、会社の従業員にも自らの技術を惜しみなく伝えます。
<嶌川さん>
「すごいですよね。ずっとフルートのことを考えてるんだなって」
<野島社長>
「嶌川のことも考えてるよ」
<嶌川さん>
「それはちょっとやめてほしいな(笑)うそですよ」
目指すは100年先も吹ける楽器。そのフルートは未来の音楽業界で技術や文化を守ることを大きな目標に見据えています。









































































