
■そばどころにニューフェイス登場

静岡市生まれで鎌倉時代の高僧、聖一国師に起源を持つとも言われる蕎麦。江戸時代に庶民の食事として広がりましたが、蕎麦好きだったとされる徳川家康公が駿府に隠居した際に蕎麦食文化も持ち込んだ結果、静岡市には数多くの蕎麦店ができた、と伝えられています。
そんな蕎麦好きが多い静岡市に先日、東京の新形態の蕎麦店が開店しました。
店の名前は「Sobasay(そばせい)」。JR静岡駅北口の複合ビルcosaの地下にオープンしました。グレーの壁に赤いネオンの店名が光る店構えは蕎麦店というより、隠れ家的なバーのようです。店内もモノトーン、無機質がテーマの内装で、これまでの蕎麦店とは一線を画します。
■機械打ちの十割そばで勝負

オーナーの梅澤豪さん(50)は日本橋小伝馬町で「Sobasay(そばせい)」、渋谷区で同じく蕎麦店「Umebachee(うめばち)」を展開しています。「Umebachee」では蕎麦職人が打つ本格十割そばを提供。一方「Sobasay(そばせい)」では同じ十割でも機械打ちの蕎麦を出しています。
「手打ちの十割蕎麦が打てるようになるにはある程度の期間が必要です。また蕎麦打ちは体力勝負。手首や腰などを痛めてしまうこともあるので職人が体調不良になると店のオペレーションが止まってしまうリスクがあります。しかし、機械打ちでは食感が均一、平坦すぎて、食べて美味しいと感じません。美味しい蕎麦を安定的に提供できないか-。さまざまなメーカーを調べ、香川県のある会社に行きつきました」
使い勝手が良く、コンパクトで綺麗な麺が打てるようになると、梅澤さんはさらに改良を加えたと言います。
<梅澤さん>
「均一な麺になりすぎないように、機械の調整を重ねました。わざとバランスを崩すことで手打ちに近い『アナログな食感』を加えることができました」
■静岡との出会いは日本酒

落語好きだという梅澤さん。落語には蕎麦にまつわるたくさんの話があり、扇子をつかってあたかもそばを啜っているような音を立てるのが噺家の芸の見せどころです。そして、そばと一緒に出てくるのが酒。梅澤さんは自分の店で全国の日本酒を提供しているということです。
梅澤さんが美味しい酒を求めていた時に静岡出店を決めた出会いがあったと振り返ります。
<梅澤さん>
「都内で開かれた日本酒のイベントで静岡市の酒蔵さんに出会い、その美味しさに驚きました。酒がうまいのは水がいい証拠です。そこからたびたび静岡市を訪問するようになり、海の幸、山の幸がこんなにも豊富な都市があるんだと興味がわいたのがきっかけです。しかも私は徳川家康公と誕生日が同じ12月26日(旧暦)。駿府城公園を散策しながら強いつながりを感じました」
■若者との距離を近づける工夫

店の狙いは「蕎麦文化と若者の距離を近づける」こと。店構えから内装まで、意識して若者の感性に訴えるデザインで統一しています。またメニューにも工夫が。鰹節に卵黄というシンプルな構成の「TKS(たまごかけそば)」に添えられているのはライム。恐る恐るライムを絞ると、卵黄で、クリーミーになった蕎麦に絶妙な酸味が加わり、意外な味の調和が楽しめます。
<梅澤さん>
「メニュー開発では、香りの成分と組み合わせを大事にしています。ワサビとダイコンの辛味成分は同じなんですよ。西洋野菜のセルバチコはゴマの風味を持っています。カクテルの知識も生かして、意外な組み合わせだけどちゃんとおいしい蕎麦メニューを生み出しています」
■蕎麦文化を広げる手伝いできれば

梅澤さんが蕎麦に近づけたい若者はお客さんだけではありません。少しの時間のトレーニングで誰もが一定の品質の蕎麦を打てるようにマニュアルを作成しました。
<梅澤さん>
「現在飲食業界では熟練したそば職人が不足しています。このままでは日本が誇れる食文化が先細ってしまう恐れがあります。おいしい機械打ち蕎麦の店で働く若い人を増やして、奥深い蕎麦の魅力に触れて欲しいと願っています」
梅澤さんはこれから在来蕎麦など地域の食文化なども吸収し、手軽だけどしっかりおいしい蕎麦が「蕎麦どころ静岡」に広がる手助けができればと話しています。










































































