「ドラム缶にはあと1両分しか入っていない」ディーゼル列車の“心臓”守るエンジンオイルが足りない 減便の可能性も…イラン情勢の影響がローカル鉄道にも

■ディーゼル車両が主力の天浜線に影

イラン情勢の影響がいま、地域の足・ローカル鉄道にも広がっています。静岡県西部を走る天竜浜名湖鉄道で、車両の運行に欠かせないオイルが残りわずかとなり、このままでは、運行に影響が出かねない事態に陥っています。

掛川駅(静岡県掛川市)と新所原駅(静岡県湖西市)間67.7キロを結ぶ天竜浜名湖鉄道は、静岡県内の鉄道で唯一全線電化しておらず、主力はディーゼル車両です。

燃料は軽油。運行を終えた列車は、天竜二俣駅にある車両区に戻り、給油します。1日当たり全15両の総量は約2000リットルにのぼります。

車両担当の谷友孝さんによると「1両あたり500リットル入れるが、走るのはリッター2キロぐらい」。決して、安くはない燃料費ですが、イラン情勢の影響で一気に高騰したといいます。 

■「価格がここまで上がったことはない」

「3月の第1週に1リットル73円、翌週82円になり、18日には一気に123円まで上がって、4月には137円まできた」

平岩清運転課長は、パソコンの画面に表示されたグラフを見ながら、ため息をつきました。軽油は複数の業者から納入してきましたが、3月下旬には相次いで見積りが出せないと言われ、いまは、1社に頼っている状態だといいます。

平岩課長は「価格がここまで上がったことはない。燃料が高くても使う量を減らすことはできないので」と頭を抱えます。

■運行を直撃するエンジンオイル不足

この軽油よりも深刻なのが、車両の心臓・ディーゼルエンジンを維持するのに不可欠なエンジンオイルです。車同様、定期的な交換が必要ですが、天浜線では4月に入り、仕入先に発注できなくなりました。

保管庫に置かれたドラム缶は、わずか1つだけ。200リットル入りで「1両で50リットル使うので1缶で4両分だが、もうあと1両分ぐらいしか入っていない」(谷さん)という状況です。

■苦肉の策

天浜線の主力車両は、導入から20年以上を超えたものばかり。長寿命化を図るため、エンジンへの負担をかけまいと、45日に1回のペースでオイル交換を行ってきました。しかし、この緊急事態に「大きな検査の時に交換するようにした」(谷さん)。交換期限は、運輸局との取り決めで90日に。これ以上交換しないとエンジンへの負担が大きくなり、故障のリスクも増えるといいます。

このエンジンオイルですが、エンジンの型が違うとオイルの種類も異なるため、ほかの鉄道会社から借りることも難しく、天浜線でも近隣の鉄道会社に融通できないかお願いしたものの、実現できませんでした。ここにきて、注文の受け付けが再開したものの、納入時期はまったく見通せないといいます。

■場合によっては減便の可能性も

「この状況が続くと5月中旬にも走れない車両が出てくる。場合によっては減便せざるを得ない」。松井宜正社長は、地域の足を守るためにも、1時間1本の運行は死守したいとしていますが、運行ダイヤの変更を見据えた準備も並行して行っているといいます。

「走るための原料がないというのは開業以降、初めての経験。公共交通として国にもお願いするなど、できることはすべてやるが、石油問題の原因が早く解決することを願うしかない」(松井社長)

列車を走らせたいのに、それができなくなるかもしれない。地域の足を守ってきたローカル鉄道がいま、苦境に立たされています。

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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