​【鉄道王国・静岡の象徴「グランシップトレインフェスタ」】2026年は富山地鉄が『鉄道むすめ』の縁で初出展 。JR東日本や駿河屋傘下となったカツミも

静岡県のアートやカルチャーに関するコラム。今回は、5月16、17の両日、静岡市駿河区のグランシップで開催された国内最大級の鉄道イベント「グランシップ トレインフェスタ」を題材に。
(文と写真/経営戦略室・天野大輔)

2026年5月16日(土)、17日(日)の2日間、静岡市駿河区のグランシップで、鉄道模型の展示や鉄道写真展、鉄道会社のオリジナルグッズや駅弁の販売などが行われる大規模鉄道イベント「グランシップトレインフェスタ2026」が開催され、家族連れや鉄道ファンなどでにぎわいました。

このイベントは、グランシップを管理運営する静岡県文化財団と静岡県が主催し、毎年5月中旬に開催されています。グランシップが開館した1999年から続いており、2020年のコロナ禍による中止を挟み、今年は26回目を数えます。

圧巻のスケール!全館で数千輌が走る鉄道模型展示

大ホール・海の鉄道模型の展示


「トレインフェスタ」の一番の見どころといえば、何と言っても鉄道模型の展示です。期間中はグランシップ全館で数千輌もの車両が走行します。今年は北は秋田県、南は福岡県から35の鉄道模型サークル(個人参加含む)が集まって自慢のジオラマや模型を披露し、サークル関係者だけでも350人近くが参加します。

鉄道模型は館内の各所に展示されていますが、中でも圧巻なのは、半数のサークルが集結するグランシップ内最大のホール「海」です。広大なホール一面に鉄道模型のレイアウトが広がる光景は壮観で、2、3階の客席から見下ろして楽しむこともできます。

午前中に完売続出!人気の駅弁コーナー

1日目開場直後の駅弁コーナー


開場の午前10時前には、イベントを待ちわびた鉄道ファンや家族連れなどで長い列ができました。開場直後からにぎわったのが、人気駅弁が集うコーナーです。

「自笑亭」「東海軒」「東華軒」「桃中軒」「富陽軒」そして愛知県の「名古屋だるま」という六つの名店が集結。例年午前中に売り切れが続出するほどの人気ぶりで、この駅弁を目当てに訪れるという来場者も多いようです。大ホールの2、3階客席は休憩スペースとして開放されており、鉄道模型を眺めながら駅弁に舌鼓を打つ来場者も多く見られました。

静岡ならではの『鉄道むすめ』やアニメコラボ

来場者で賑わう県内鉄道会社ブースのフロア


3階の共通ロビーで展開する静岡県内の鉄道会社コーナーも、来場者の大きな楽しみの一つです。今年は県内を走るJR東海、JR東日本、JR貨物のJRグループ3社に加え、東から伊豆急行、伊豆箱根鉄道、岳南電車、静岡鉄道、大井川鐵道、遠州鉄道、天竜浜名湖鉄道の私鉄7社が出展し、各社の関連グッズなどを販売しました。

静岡県内の鉄道事業者はアニメの舞台モデル地などに恵まれていることからコラボグッズが多く、また『鉄道むすめ』に参画している事業者も多いため、ブースにはさまざまなキャラクターが並び、華やかな雰囲気でした。これは静岡の鉄道事業者が一堂に会するイベントならではの光景と言えます。

JR東日本も初出展

“Suicaのペンギン”がかわいいJR東日本グッズ


前述の『鉄道むすめ』とは、トミーテックが展開する、全国の鉄道事業者などで働くスタッフをキャラクター化したコンテンツです。県内の私鉄では天竜浜名湖鉄道、岳南電車を除く5事業者が参画しています。今回は、遠州鉄道のグループ会社で「かんざんじロープウェイ」のキャラクターを擁する「遠鉄観光開発」や、昨年12月に静岡支社から新たに2人のキャラクターをデビューさせたJR東海を含めた計7社がコラボしたクリアファイルが登場。トレインフェスタの会場で先行発売され、来場者から熱い視線を浴びていました。

出展した10社のうちJR東日本は今回が初出展。静岡県内では営業距離16.9キロの伊東線を運行している同社ですが、今回は子会社のJR東日本クロスステーションと総合車両製作所の2社の名前でブースを出しました。関連グッズなどが販売され、特に「Suicaのペンギン」グッズが人気を集めていました。

県外からの出展や意外な「縁」が生んだコラボ

グッズを手にする富山地鉄の担当者


鉄道会社の出展は県内だけにとどまりません。千葉県から銚子電気鉄道、富山県から富山地方鉄道が参加しました。銚子電気鉄道は2024年の初出展から3年連続となり、看板商品として全国的に知られる「ぬれ煎餅」などを販売しました。

富山地方鉄道は今回が初出展。物販に活路を見出し、全国のイベントへ積極的に出展している銚子電気鉄道は広く知られていますが、北陸の鉄道会社が静岡のイベントに出展することを意外に思った方もいるかもしれません。実は、前述の『鉄道むすめ』において、同じイラストレーターがキャラクターをデザインした縁で、遠州鉄道とのコラボレーションが実現しています。その繋がりが今回の出展につながりました。同社の鉄軌道部営業課の坂本祥一次長は「鉄道むすめのグッズはもちろんですが、チョロQなども好評です。こうした場所でグッズを見ていただくことで、新鮮さを感じてもらえるのではないかと思います」と話していました。

老舗「カツミ」が初出展

コンテナキットを組み立てるワークショップが人気だったカツミのブース


鉄道会社だけでなく、鉄道模型のメーカーも出展し、グッズ販売や体験コーナーなどを提供していました。TOMIXブランドで知られるトミーテックや、磁力で浮上走行する模型を主力とするノエルコーポレーション、Nゲージのパイオニアとして知られるKATOに加え、今回は老舗鉄道模型メーカーのカツミが初出展となりました。1947年創業の歴史を持つカツミは、2023年にエーツー(現・駿河屋)が全株式を取得し、現在は駿河屋グループとなっています。ブースではコンテナキットの組み立て体験などを実施し、子どもたちの人気を集めていました。

トレインフェスタは毎年「静岡ホビーショー」と同時期に開催されていますが、ここ2年は一般公開日と同日の開催となっています。トミーテックとKATOは、グランシップから2キロほど離れたツインメッセ静岡(ホビーショー会場)にもブースを出展。両イベントは相性が良いこともあり、会場をハシゴする人も多く、ホビーショーの紙袋を持った来場者の姿も散見されました。

鉄道文化の魅力に迫る充実のトークステージ

会期中テーマを変えて4回開かれた「ふじのくに鉄道トーク」


見る、買うといった体験だけでなく、「ふじのくに鉄道トーク」と題されたトークイベントで、さまざまな視点から鉄道文化を楽しめるのもトレインフェスタの大きな魅力です。各日2回、鉄道ファンとして知られるホリプロマネージャーの南田裕介さんと、フリーアナウンサーの松井佐祐里さんの進行のもと、鉄道の魅力に迫るトークが繰り広げられました。

初日の午前中には、鉄道ライターの栗原景さんが「鉄道とアニメ」をテーマに登壇。鉄道のアニメラッピングの歴史などについて講演し、参加者は興味深そうに耳を傾けていました。また、このテーマの後半には、今秋から放送が始まるアニメ『てつりょー!meet with 鉄道むすめ』の折原こだま役を務める声優・庄子真央さんがゲスト出演。自身も鉄道ファンだという庄子さんの熱いトークに、会場は大いに沸きました。

誰もが楽しめる多彩なアトラクションと連携イベント

家族連れで賑わう11階会議ホールのプラレールコーナー


会場内には鉄道写真の展示や、子どもたちに大人気のミニ電車乗車会、巨大なプラレールが広がるキッズコーナーもあり、鉄道ファンから家族連れまで誰もが満喫できる内容でした。イベントに合わせて横浜から静岡まで運行された臨時列車や、JR東海の「さわやかウォーキング」、静岡鉄道が長沼車庫で実施した「しずてつトレインフェスタ」など、関連イベントも盛況でした。

26回目となった「グランシップトレインフェスタ」は、「静岡ホビーショー」とともに静岡の風物詩として定着しています。東名阪の3大都市圏を除く地方において、最多クラスの鉄道事業者を擁する静岡県。これほど大規模で熱気あふれるイベントを開催できることは、まさに「鉄道王国」の確かな証しと言えるでしょう。

静岡県に関係する文化芸術、ポップカルチャーをキュレーション。ショートレビュー、表現者へのインタビューを通じて、アートを巡る対話の糸口をつくります。

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