
大井川鉄道は全線の約半分が3年以上、運休しています。
2029年の全線開通に向け試行錯誤が続いていますが、「ローカル鉄道再生請負人」と呼ばれる社長が大きな決断をしました。

<大西晴季記者>
「こちらの現場、沢の上流では作業員が手作業で土砂をかきだしています」
大井川鉄道は2022年の台風被害のため、現在も川根温泉笹間渡駅と千頭駅の間、全線の半分ほどが不通になっています。復旧工事はようやく2025年末から始まり、全線の開通は2029年春になる見込みです。
「再生請負人」鳥塚社長が新たな一手

<食堂車アナウンス>
「こちらアラーム時計で汽笛が録音されています。電車の中でしか購入できない商品です」
運休が長期化するなか、大井川鉄道は2025年12月に「食堂車ツアー」を開催しました。乗客は山あいを走るSL列車の車内で、景色を楽しみながら静岡県内の食材をふんだんに使った弁当を楽しみました。
<大井川鉄道 鳥塚亮社長>
「大井川鉄道の食堂車オハシにご乗車いただきましてありがとうございます」
このツアーを企画した鳥塚亮さんは、2024年6月に大井川鉄道の社長に就任しました。ローカル鉄道の「再生請負人」として知られ、新潟県の「えちごトキめき鉄道」や千葉県の「いすみ鉄道」を立て直してきました。
鳥塚社長の大鉄での夢は、かつての「ブルートレイン」を静岡の地でよみがえらせることです。
<大井川鉄道 鳥塚社長>
「やっぱり憧れの列車が走っている地域って、東京や大阪の人から見たら『あそこへ行ってみたい』となる。憧れの地域になるんじゃないですかね」
大鉄再生の切り札として投入したのが、かつて国鉄やJRで活躍した「12系客車」です。2026年1月には、初の夜行列車ツアーを実現させました。

<大井川鉄道 鳥塚社長>
「この駅の雰囲気が良いですよね、深夜の駅。もともとブルートレインは夜の雰囲気だから良いと思う」
<鉄道ファン>
「北海道から来ました。稚内から来ました」
夜7時台に出発して翌朝9時まで約14時間、大井川本線を何度も往復。かつての寝台特急を彷彿とさせる企画に、全国からファンが集まりました。
<参加した人>
「昭和の汽車旅、夜行列車の雰囲気をここで味わえて楽しかった」
苦渋の「SL2両体制」 経営の現実と5%の希望
会社としてアイデアを形にし続けていたさなか、2025年にはアクシデントも起きました。
<大井川鉄道 鳥塚亮社長>
「実は去年、蒸気機関車が故障した。黒いSLが故障して、それが直るか直らないかのうちに今度はトーマス号が故障してというダブルで故障した」
トーマス号が故障すると集客力が落ちてしまうため、現状使える蒸気機関車2両を「トーマス号」と「パーシー号」の2両体制にします。
その結果、昔ながらの「黒いSL」は一時的に大鉄から姿を消すことになります。コロナ禍以降、赤字が続くなかでの苦渋の決断でした。

<大井川鉄道 鳥塚亮社長>
「会社の経営は現実なんですよ。現実はやっぱり最重要課題。ただ、その現実に押しつぶされたくはないじゃないですか。お客さんも『あーなんか夢ないね』では見向きもされなくなってしまうので。夢ばかり見ていて大きなことばかり言って、足元がぐらついちゃしょうがない。(現実は)95%ぐらい重要。残りの5%で夢を見させていただくと」
5%の希望を胸に、再生請負人の挑戦はこれからも続きます。
大井川鉄道は2027年秋ごろから部分的に開通させていき、全線開通は2029年春の予定です。
全線開通時には、現在整備が進められている別の黒いSL(C56形 135号機)を復活させ、トーマス、パーシー、黒いSLの3両体制を目指すとしています。








































































