地球にもやさしい茶畑へ「バイオ炭」秘めた可能性 循環型農業目指した実験の最終年度は実用化を意識=静岡

「バイオ炭」をご存じでしょうか。木やもみ殻など生物由来の有機物「バイオマス」から作られた炭のことです。静岡県内ではいま、この「バイオ炭」を使って土壌改良だけでなく、CO2も減らそうという実験が続いています。

8月6日、静岡県菊川市の茶畑で行われた作業。大型機械などで、畝の間に撒かれたのは、「バイオ炭」です。茶畑の土壌改良剤として、活用する狙いのほかに温室効果ガスの削減を目指しています。

木材や農作物はそのまま廃棄するとやがて朽ち果てるものの、微生物などによってCO2が排出されます。一方、「バイオ炭」にすれば、このCO2を封じ込めることができるといい、大気中のCO2削減につながると期待されています。その効果は100年以上続くともいわれています。

この実験は、中部電力とJA遠州夢咲などが3年前から続けていて、さまざまな課題解決に取り組んできました。例えば、酸性の土壌を好む茶樹にアルカリ性の「バイオ炭」を撒いても影響がないことがわかりました。

さらにバイオ炭をまくことで、別の温室効果ガス「一酸化二窒素」が増えるのではないかという懸念もありましたが、調査の結果、これも解消しました。

最終年度を迎えた実験は実用化を意識したものになっています。これまではもみ殻からできた「バイオ炭」を使っていましたが、今回はエゾマツやカラマツを炭にしたものを使用。2000平方メートルという広い畑にどう撒いていくか、その作業方法などを確認します。

<中部電力電力技術研究所 赤羽根恒宏研究主査>
「これだけの広範囲のもの(茶園)に撒こうとすると人間では無理だと思っている。農家も効率経営を目指すとなると機械化は避けて通れない。最終的には事業として成り立つかどうか、トータルでCO2が減るのかどうかが今後課題として残っているので研究の中で評価を出していきたい」

お茶の品質向上だけでなく、地球にもやさしい茶畑にする。「バイオ炭」は、大きな可能性を秘めています。

これまではもみ殻からできた「バイオ炭」を使っていましたが、今回はエゾマツやカラマツを炭にしたものに変えたといいます。これは今後、耕作放棄地に残されたままの茶樹や老いた木を「バイオ炭」にしたいという狙いがあるようです。

目指すは循環型農業、静岡の茶業は未来を見据えています。

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