
2024年2月、静岡県湖西市の浜名湖近くの川に暴行を加えた男子高校生を転落させ、溺死させた罪などに問われた19歳の男に、静岡地裁浜松支部は懲役18年を言い渡しました。
判決を受けたのは、浜松市中央区の無職の男(19)です。判決文によりますと、被告は2024年2月、湖西市の公園で仲間と共謀して、静岡県袋井市の男子高校生(当時17)に暴行などを加え、浜名湖近くの川に転落させて溺死させました。
検察側は「湖に落とせば生命の危険性が高いことは常識的にわかることで、あまりに短絡的で、残忍、非道」などとして懲役19年を求刑。一方、被告の男は「殺すつもりはなかった」と殺意を否定し、弁護側は「水に入れたのは指紋を消すためで口封じのためではない」として、少年院送致による保護処分、もしくは傷害致死罪の量刑の懲役8年が妥当としました。
7月18日午後、静岡地裁浜松支部で開かれた裁判員裁判の判決公判で、來司直美裁判長は「被告は被害者を浜名湖に突き落とせば、死亡する危険性が高いことを認識していた。口封じをするためであることしか考えられず、被害者を殺害する動機はあった」などと、被告が一貫して否認してきた殺意について認定しました。
さらに、弁護側が主張した少年法55条による家庭裁判所移送については「犯情はかなり重く保護処分を許容得る特段の事情は認められない」としました。その上で「当時17歳であった被害者が被告らから激しい暴行を受け、真冬の浜名湖に突き落とされて殺害されたばかりか、被告は不合理な弁解をして殺意を否認していることからすると、遺族の厳しい処罰感情は当然で量刑上考慮すべき事情」だとして、被告の男に懲役18年の実刑判決を言い渡しました。
來司裁判長は、被告に対し「懲役18年はこれまで生きてきた同じ時間、刑務所で過ごすことを意味している。被害者の時間を永遠に奪った責任を果たさない限り、社会で生きていく資格はない。刑務所で罪と真剣に向き合って、他人を幸せにする人生を送ってほしい」と説諭しました。
この事件を巡っては、被告は改正少年法で実名公表が可能な「特定少年」にあたり、静岡地検浜松支部が実名を公表しました。