捜査機関へ判断委ねた思惑は...静岡・伊東市の田久保真紀市長が辞職と市長選再出馬を表明 敗れた前市長は出馬に意欲

学歴詐称疑惑を巡り、7月7日に辞職と出直し選挙への出馬を表明した静岡県伊東市の田久保真紀市長。市民から厳しい声が上がる一方で、出直し選挙に向けて田久保陣営には戦略と思惑があるのではないかという見方も浮上しています。

渦中の田久保市長は、7月8日の夕方、職員を集めての謝罪の場を設けました。昼過ぎには幹部を前に一連の騒動について一言、謝罪があったそうです。

<伊東市役所 近持剛史企画部長>
「『個人的な理由で皆さまにご迷惑をかけてる。心からお詫びします』その一言です」

<伊東市 田久保真紀市長>
「必要な手続きを終えましたら速やかに辞任をいたしたい。市民のみなさまの判断を仰ぐために私は再度、市長選に立候補をしたいと考えています」

田久保市長は7月7日夜、辞任と出直しの市長選に出馬する考えを示しました。自らの学歴詐称疑惑を巡り偽物ではないかと疑われている卒業証書については、遅くとも2週間以内に静岡地検沼津支部に提出し調査を委ねるとしました。学歴詐称疑惑の説明責任は捜査機関に委ねられた形です。こうした姿勢に市民からは厳しい声も…

<市民>
「もっと早い段階で辞任すべきじゃないかなと」

<市民>
「自分が卒業したか卒業していないか分からない状態がどうして起こったのか、そもそも疑問ですよね」

検察は田久保市長の届け出を受け付けるのか?元・東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は懐疑的です。

<元検事 若狭勝弁護士>
「結論から言うと、この時点で受けるということは考えられないと思います」

田久保市長を巡る公職選挙法違反の疑いは、すでに伊東警察署に刑事告発されています。しかし検察はまだ事件として扱っておらず、届け出を受け取らないのではないかという見方です。では、なぜ捜査機関に判断を委ねたのでしょうか?

<若狭弁護士>
「選挙をするにあたって、捜査や卒業証書が本物かという結論は先延ばしにする。先延ばしにしてその前に選挙で戦うという戦略があるのではないか、と見られるおそれはある」

仮に田久保市長が2週間後に辞職した場合、伊東市長選挙は50日以内に実施されることになります。一方、若狭弁護士の見立てでは公職選挙法違反の捜査は短くても3か月程度かかるということで捜査結果が出る前に選挙は終わることになります。

地方自治に詳しい法政大学の白鳥浩教授は出直し選挙を有利に持っていきたいという思惑があるのではと指摘します。

<法政大学大学院 白鳥浩教授>
「まず第一に早期に選挙を行ってしまうということであれば、なかなか市長選の候補者を他の陣営が見つけることは難しくなってしまう」

さらに今回の動きにはモデルケースがあるのではないかと推察しています。

<白鳥教授>
「兵庫県知事選で斉藤知事が行ったように田久保氏も今回は自分が華々しく有権者の前に登場する。一つのブームを起こすことによってふたたび市長の職に収まることを目指しているんじゃないか」

一方、市長選挙に向けては早くも動きが出始めています。

<小野達也前市長>
「やっぱり小野じゃなきゃだめだったという声がですね、日に日に増えていく中で、私自身も4年後であろうとも、自分が健康であればまたご支援いただけるのではないかと」

前回、田久保市長に敗れた小野前市長は市長選挙への出馬に意欲を見せています。

一方、市長選で田久保市長を支援した市議は出直し選挙でもサポートする考えを示しています。

<選挙で田久保市長を支援した重岡秀子市議>
「彼女の掲げたクリーンな政治を作っていくとか、公約はやってもらいたいなという思いは凄くありますので、彼女の決意、心構えだと思います」

伊東市政はいつになったら正常化するのか。市民の選択に注目が集まります。

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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