
静岡県警の音楽隊の演奏に合わせてダンスやフラッグを使い、広報活動を展開する「カラーガード隊」がいま、ピンチに直面しています。警察と市民をつなぐ“架け橋”という大事な役割を担う隊が深刻な人手不足に陥っているのです。
6月25日昼過ぎ、静岡県庁で行われた静岡県警音楽隊の演奏会に登場したのが、音楽隊のカラーガード「ピュア・エンジェルズ」。キレキレのダンスを披露したのが、2025年度の新人隊員・鈴木柚花さんです。
県警のカラーガード隊は、1日7時間ほどの練習を積みます。
<新人隊員 鈴木柚花さん>
「ダンスを元々やっていたので、踊ることを仕事にできたら良いなと思ったのが最初のきっかけ。幼稚園のころから親しんできた」
演奏やダンスだけでなく、治安を守るための広報も担うのがカラーガードの役目です。「市民と警察の架け橋」とも言われる存在ですが、いま、隊員は4人のみ。深刻な人材不足に陥っているのです。
<指導役 鈴木里奈さん>
「募集はずっとかけているんですけど、パートタイムという所ですかね、正規社員じゃないところでしょうか、やっぱり」
カラーガード隊員は、いわゆる「パートタイマー」で時給は約1200円から1400円ほど。週4日勤務ですが、出演イベントは、土日や祝日が多くなりがちです。獲得競争が過熱している現在の就職市場においては、不安定で不規則な雇用体系が人材の獲得に向けた足かせになっているのが事実です。それでも、カラーガードには存在意義があると新人隊員の鈴木さんは感じています。
<新人隊員 鈴木柚花さん>
「私自身もここに入るまでは、警察の組織=怖い、強いというイメージでしたが、音楽隊は市民に近い存在でありたいなと」
25日の演奏会は、盛り上がりを見せて無事終了しました。ただ、今回で指導役の鈴木里奈さんは引退。もう1人の隊員も7月いっぱいで契約満了となるため、このままでは、8月からカラーガードは2人になってしまうのです。
<新人隊員 鈴木柚花さん>
「2人だけだと、画的な寂しさもあるし、よりたくさんいた方が華もあっていいかなと思う」
静岡県警はホームページでカラーガードの隊員を募集していて、今後、待遇面や活動方針など改善に向けた検討を重ねていく考えです。