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今さら聞けない…「地域おこし協力隊」って何をしているの?

外からの目線で地域を盛り上げる

みなさん、「地域おこし協力隊」って聞いたことはありますか? 活動場所の地域に移住をして、その地域を盛り上げる活動をするお仕事です。全国で5500人ほどの隊員がいて、静岡県でも16の市と8の町で活動されています。「地域おこし協力隊」はいったいどんな組織で、どんな活動をしているのでしょうか。菊川市の地域おこし協力隊の大山智世さんに、SBSアナウンサー牧野克彦がお話をうかがいました。
※1月19日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

牧野:大山さんはもともと茨城のご出身で、現在は静岡鉄道を休職されて、菊川市の地域おこし協力隊として活動されているんですよね。

大山:はい、大学進学で静岡市に来ました。卒業後は静岡鉄道に入社し、5年ほどは不動産部門で仕事をしていました。

牧野:静岡鉄道にはそういう休職制度もあるんですか? いい会社ですね!

大山:自己啓発休職制度というものがあるんです。静岡鉄道は多様な働き方や、新しい働き方を応援してくれる職場環境だったので、私もコロナをきっかけに新しい働き方に挑戦してみたいなと考え、制度を利用して昨年6月に菊川市で地域おこし協力隊になりました。社内には私の他にも語学留学した人や、大学院に進み勉強している人もいます。

地域おこし協力隊とは?

牧野:では、地域おこし協力隊とはどういうものなのか詳しく教えてください。

大山:都市部から条件不利地域に移住して、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域支援を行ったり、農林水産業など地域事業に従事したり、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図るような総務省の取り組みです。

牧野:任期もあるのですか?

大山:1〜3年までの任期の中で、自治体の委嘱を受けて活動しています。

牧野:「この町はいいですよ!」と発信することが活動になってくるのでしょうか?

大山: そういったPR活動をする人もいれば、地域の農業などに従事する人もいます。

牧野:いろんな形の地域おこし協力隊があるということなんですね。大山さんは、菊川市でどんなことをされているのでしょうか?

大山:私の地域おこし協力隊としての活動は、地域の魅力を外からの目線で発見し情報発信することで、菊川市に興味を持ってもらったり、足を運んでもらうことがミッションになっています。

牧野:菊川市地域おこし協力隊のインスタグラムを見たのですが、キャンプの様子を発信されたり、菊川市に行ったらこういうことができるんだとイメージできる発信になっていますね。

大山:ありがとうございます! SNSで菊川のおすすめの場所や美味しいもの、ステキな人を市内外の人に向けて紹介しています。

牧野:地元の人とコラボなどもあるんですか?

大山:菊川市に足を運んでもらう仕掛けとしてイベントを行っていますが、地元の人たちと協力しながらイベントの企画・運営を行っています。

菊川市の地域おこし協力隊に応募したきっかけは?

大山:もともと観光分野に興味があって、より地域に根差した活動がしたいと考えていたからです。コロナ禍で働き方が大きく変化する中で、自分自身もどんな場所でもだれとでも仕事を生み出せるスキルを身につけたいと思い、地域おこし協力隊に挑戦しました。
 
その中でも菊川市を選んだのは、自然も豊かでアクセスもいいので、田舎の自然環境を体験して地域との交流なども楽しめる「グリーンツーリズム」や、コロナ禍で提唱されはじめた、近場の魅力を再発見できる「マイクロツーリズム」によって周りの地域から人を呼び込めたら良いなと考えたからです。

牧野:大山さんの発信を見ていると楽しそうだなと思います。実際に地域おこし協力隊として活動されていかがですか?

大山:すごく楽しいです。地域おこし協力隊として菊川に移住するまでは知ることがなかった、たくさんの地域の魅力を知ることができました。牧野さんは、菊川といえば何かイメージありますか?

「菊川市」といえば?


牧野:お茶のイメージが強いですね。あとは、赤レンガの地域がありますよね?

大山:そうなんです! 駅前に「菊川赤レンガ倉庫」という国の登録有形文化財にもなっている、とってもステキなレトロかわいい倉庫があります。私も菊川に来るまでは全く知らなかったのですが、こちらに来たらすごくかわいい建物があって! しかもそこが明治時代に建てられて、文化的にもお茶の合組(ブレンド)をしていたような歴史的な場所であると知りました。すごくステキな施設だと思うので、より多くの人に知ってもらいたいと考えています。

そのほかにも、NPOや大学生たちが保全を行っている「せんがまちの棚田」など素敵な風景があるだけではなく、菊川でキャンプギアをつくっているガレージブランド「アイアンクラフト」さんなど素晴らしい技術があることも、こちらに来て知ることができました。美味しいものや素敵な場所もたくさんあります!

地域おこし協力隊に向いている人とは?

牧野:地域おこし協力隊って、どんな人が向いていると思いますか?

大山:地域おこし協力隊にもいろんな種類があるので一概には言えませんが、私の個人的な考えとしては、行政の求めている結果と、地域に必要とされていること、さらに自分のやりたいことを俯瞰して考えて、三方良しの行動がとれる人が向いているのではないかと思います。
 
牧野:バランス感覚も必要ですよね。

大山:そうですね! ただ何をやっててもいろんなご意見がやっぱり地域から出てくるので、「どんな状況でも楽しもう」といういい意味での鈍感力や柔軟性を持っている人が向いていると思います。

牧野:確かに地域によっては、尖ったことをやり過ぎると住民からえっ?という声も出てくるでしょうし……。そのときに行政とかみんなをうまく巻き込んで進めていけるのは、ひとつ適正としてあった方がいいかもしれませんね。もし、地域おこし協力隊に応募したいと思ったら、どこに問い合わせたらいいですか?

大山:地域おこし協力隊のホームページで、現在地域おこし協力隊を募集している市町村の情報を見ることができます。自分の興味ある地域や活動分野を探して該当した行政に問い合わせるのがいいかと思います。地域おこし協力隊になる前に、実際にどういう活動ができるのかといった短期インターンや、お試し移住を受け入れてくれる場所もあるようです。

牧野:そうなんですね。いやー、やってみたいなと思いました。あと、世の中いろんな会社がありますが、「1、2年地域おこし協力隊をやってこい!」という静岡鉄道のような会社がもっともっと増えるといいですね。

大山:社員のやりたいことを後押ししてくれるような会社が増えていくといいなと思っています。

牧野:最後に大山さんの夢を教えてください。

大山:今は自分のやってみたいことを、たくさんの人に応援してもらって楽しんでやることができています。菊川で、私は活動拠点が固定されていないので、「菊川市市民協働センター」でよく仕事をしているのですが、そこへ行くと、いろんな人が自分のやりたいことを応援してくれたり! そういうことがやりたいなら、この人とコラボすればおもしろいよと、いろんな人と繋げてくれたりするんです。菊川は人のやりたいこと、若者のやりたいことを応援してくれるような環境が根付いているなと感じています。なので、私もそういった人たちから学んで、私自身も誰かのやってみたいことを全力で応援できるような人になりたいというのが今の夢です。

牧野:人の夢も応援できるという、素敵な夢ですね!

大山:地域おこし協力隊の活動を通して得た人との繋がりですとか、素晴らしい学びからたくさんのことを吸収して、私自身も誰かを応援できるようなパワーとスキルと人脈を身につけていきたいと思っています。

牧野:大山さんの活躍も非常に楽しみにしていますので、どうぞ頑張ってください!
今回お話をうかがったのは……大山智世さん
茨城県出身。静岡県立大学を卒業後、静岡鉄道株式会社に入社。2021年6月から菊川市地域おこし協力隊として菊川市に移住。現在は、まちの魅力PRや観光交流客数の増加、地場産品の販路拡大を目指して活動。菊川のすてきな場所や人、美味しいお店をinstagram(@kikugawa_chiikiokoshi_tommy)で発信中。

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