【知っておきたい薬の豆知識】お茶で飲むのはダメ?「食間」っていつ?今さら聞けない薬のあれこれ、教えます!

感染症や体調不良で薬を服用することも多い季節になりました。「知っておきたい薬の豆知識」について、薬剤師で「All  About」薬ガイドの三上彰貴子さんに、SBSアナウンサー井手春希が聞きました。

井手:これから寒くなってくると、体調不良になる人が増えてくると思います。風邪などのときにお世話になる薬ですが、飲み方を間違えてしまうと危険ですよね。

三上:そうですね。以前、友人が「体が大きいから2倍飲んでるんだ」って言っていたのですが、それはちょっと危ないのでやめさせました。薬の量は、抗がん剤など体の大きさで決まるものもありますが、ほとんどが肝臓や腎臓の機能に関係して決まります。体の大きさが違っても、肝臓の機能や腎臓の処理能力はあまり変わらないです。「風邪がなかなか治らず薬が効かないからたくさん飲む」という方もいるかも知れませんが、用量を守らないのは大変危険なのでやめていただきたいですね。

万一、薬によって入院するような副作用が出た場合には「副作用救済制度」という国の制度があります。薬のパッケージにもその制度のことが書いてありますが、治療費などいろいろな費用を5年間請求可能です。でも、薬の使い方を間違えていたり、説明書通りに使っていなかったりして副作用が起きた場合はこの副作用救済制度が使えなくなるので、制度のためだけではなく体のためにも、きちんと用法用量を守っていただきたいんですよね。

井手:やはり自己判断で飲む量を変えたりすることは絶対にやってはいけないですね。

お茶や牛乳で飲むのはダメ?

井手:今回は基本的なことから伺います。まず、薬を飲むときに、水以外で飲むというのはだめなんでしょうか?

三上:そもそも、薬の効果を確かめる「治験」の際には、必ずコップ一杯の水で効果を測っています。この「コップ一杯の水」というのは、180mLから200mlぐらいを想定していて、薬を胃の中でよく溶かして腸で吸収できるようにしています。一口しか水を飲まない人もいますが、それだと薬がよく溶けないだけでなく、喉や胃に張り付いてしまって粘膜がただれたりするので危険なんです。だから、ちゃんと「コップ一杯の水で飲む」っていうのが原則なんです。

そして、水以外の飲み物についてですが、どうしても水がなければ近くにある水分でもいいと思います。麦茶などカフェインが入ってないものがいいですね。全く水分を取らないよりは、別の飲み物でも飲んでいただきたいということなんです。

井手:緑茶は良くないんですか?

三上:水分が他になければ緑茶でも良いのですが、鉄を補給する薬である鉄剤と緑茶を一緒に飲むと、お茶のタンニンと結びついて鉄が吸収されにくくなるということがあります。ただ、コップ一杯の緑茶ぐらいでしたらそこまで問題になりませんし、鉄以外の普通の薬の場合はそれほど影響もないので大丈夫です。できれば、水が良いということですね。

他には、牛乳も適さない場合があります。例えば、一部の抗生物質と反応して吸収しにくくなってしまったり、腸で溶けるような便秘の薬が胃で溶けてしまったりします。薬の効果が落ちることがあるため、牛乳をなるべく避けていただきたいです。

井手:リスナーの方からは「グレープフルーツジュースとの飲み合わせが悪い薬があるそうですが、それについても教えて欲しい」とメッセージが来ています。

三上:グレープフ​ルーツ​ジュースによって、高血圧の薬などの吸収が抑えられるということがあります。また、フェキソフェナジンという成分が入った鼻炎やアレルギーの薬とグレープフルーツジュースと一緒に取ると、吸収されにくくなってしまうので、鼻水を抑えるなどの効果を感じられなくなることもあるんですね。グレープフルーツジュースをよく飲むならば、3時間以上空けて、別のときに飲むのがいいですね。

井手:やっぱり「水」が基本になるんですね。何か近くに飲み物がない場合に、「水なしで飲んじゃえ​」​っていうのは危険ですか。

三上:絶対やめていただきたいですね。以前、痛み止めを水なしで飲み、胃カメラで撮影するという動画を見ました。薬が胃にくっついてそれが徐々に溶けていって、どんどんただれて胃壁が黒くなっていくんですが、すごく怖くて印象的でした。必ず一杯の水で飲んでほしいですね。

今は、「水なしで飲める」という薬も出ているので、車の運転の際や映画館などでトイレになかなか行けないような場合は、水なしタイプを選ぶのも良いと思います。病院の薬でも、パッケージに「OD錠」や「OD」と書いてあるものは水なしで飲めるお薬なので、必要であれば先生に「水なしの薬がいい」と相談していただくといいかと思います。

食事が取れない時の「食後」の薬はどうする?

井手:例えば朝起きて、体調不良でご飯を食べる気にはならない場合など、空腹のときに薬を飲む状況もあると思うんです。そんな時はどうしたらいいですか。

三上:よく「1日3回食後」などと、食後の指示が書いてありますね。胃に負担があるものや、食べた後に飲む方が効果的な薬は必ず食後に飲んで欲しいということからそう書かれています。ただ、「食後」といっても、便宜的なタイミングとして書いてある場合もあります。「3回飲んでくださいね」という意味で、別に食事と関係ないということです。

薬剤師さんに「ご飯が食べられなくても飲んで大丈夫ですか」などと聞いていただくと、飲み方を教えてくれると思います。どうしても食事が取れない場合は、相談していただきたいと思います。

「食間」に飲む薬はどうすれば?

井手:たまに「食間に飲んでください」っていう薬もあるんですが、「食間」って何ですか?

三上:人によっては、食事と食事の間に飲むことを知らず、食べている途中で「今薬飲まなきゃ」と飲んでしまう方もいます。ですが、それは食事中に飲む「食中」というお薬です。食間というのは、朝ご飯と昼ご飯、あるいは昼ご飯と夜ご飯の間に飲むようなお薬になります。

井手:食中と食間って全然違うんですね。

三上:食べ物が入っていると薬が吸収されにくいものは、食間に飲むようになっています。 食間とは、食後2時間、食前30分~2時間ぐらいで、空腹で飲む薬なのです。

井手:なるほど。気をつけて飲みたいと思います。

三上:漢方の薬によくありますね。ほかにも、食事と食事の間の空腹のときに飲んでほしいものもありますので、飲み方を見てみてください。

井手:そうですね。いくつかの薬を飲んでいる方はその薬ごとで飲むタイミングも違いますから、ちょっと気をつけていただきたいですね。

車内や風呂の近くに置くのは危険

井手:薬を保管する方法については、ベストなのはどんなところでしょうか?

三上:涼しい日陰に置いていただくのが一番いいんですが、絶対ダメなのは、高温と光と湿度です。夏の車の中に置くのは本当に危険です。高温で光が当たると、薬が分解して変化してしまい、危ない成分になる可能性もあるので絶対やめていただきたいです。

特に眠気覚ましの目薬や酔い止めを車の中に置きっぱなしにしておく方がいますが、 変質の原因になるので、絶対にやめてくださいね。

井手:目薬でも危ないんですね。家庭の中では、どのように保管すればいいんでしょうか。

三上:よくお風呂のそばに置く方もいますが、それもやめた方が良いです。食品のそばも避け、日陰のところがいいと思います。どこにしまったかわからなくならないように、すぐ飲めるようなリビングなどに置いていただくのが一番いいかなと思います。

井手:開けた後は、消費期限みたいなものはあるんでしょうね

三上:市販の薬はパッケージに書いてある日付が消費期限です。シートを開けてしまって薬が丸出しになってしまったらすぐ飲んでいただきたいんですが、開けない限りは記載の消費期限で大丈夫です。ただ「1日3回7日分」などと処方されたお薬に関しては、原則7日分までが消費期限になります。お医者さんからもらったお薬をずっと棚にしまっている場合は消費期限が切れている可能性があるので、気をつけてください。いつもらったかわからない置きっぱなしの薬は危険なので、捨てるようにしてください。

井手:ちょっと心当たりがあるので、帰ったらすぐに処理したいと思います。改めて聞くと勉強になりました。三上さん、ありがとうございました。

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