
人手不足が深刻な中小の製造業にとって職人の技を次の世代へと伝え継ぐことが大きな課題となっています。そこでロボットを導入することで解決しようという動きが静岡県内でも増えています。
静岡県磐田市にある芝原工業です。創業61年、半導体製造装置や工作機械向けの部品を手掛けています。
<芝原工業 芝原利幸代表>
「こちらがロボットシステムになります。機械カバーの溶接を行っています」
この会社で活躍しているのが、溶接ロボットです。それまでは、すべて職人が手作業で行っていましたが、繊細なレーザー溶接は、誰でも操作ができ均一に仕上がると好評です。芝原さんの会社がロボットを導入したのには理由がありました。
<芝原代表>
「どうしても中小企業には人が集まらない状況があるので」
経済産業省によると、製造業の就業者数は2024年は1046万人。20年余りで約150万人も減りました。芝原さんの会社でも、コロナ禍前はコンスタントに大卒の採用をしていましたが、最近は採用できない年もあるといいます。
一人の職人を育てるのに約10年かかると言われる溶接技術などの継承が大きな課題でした。そこで取り入れたのがロボットでした。
<芝原代表>
「ロボットの動きだとか溶接の条件などを数値化して、教育のマニュアルとして、これから溶接を覚える人がどういうことを覚えたらよいのか、溶接技術の習得が体系化できた」
見よう見まねと比べ、マニュアルから学ぶことで、技術者の成長スピードが上がり、結果として、約3割のコストカットを実現しました。芝原さんの会社では今後、機械で代替できない業務は、差別化のポイントとして磨きをかけていくとしています。
<芝原代表>
「職人技を探求することとロボットなどの新しい設備をうまく活用すること。この両立ができて初めて製造業として成り立っていくと思うので、これからはハイブリットな製造業として発展していきたいと考えている」
デジタル技術と職人の技を融合させることは、ものづくりを持続可能なものしていくひとつの手段といえそうです。