
スーパーの青果売り場で見かけるアボカド。このアボカドに長年情熱を注ぐ寿司職人たちがいます。栄養価の高いアボカドですが、実はいま、静岡県が産地化計画を進めていて注目の食材なんです。
<LIVEしずおか 井手春希キャスター>
「アボカドを持って来ました」
<寿し宗佐次本英人さん>
「うれしいな、うち60年ぐらい前からアボカド(寿司)をやっているんですよ」
<井手キャスター>
「まさに元祖と言ってもいいですよね」
創業65年を誇る静岡県島田市の「寿し宗」。「メキシコ寿司」の看板が目をひきます。
<井手キャスター>
「贅沢。どうしてアボカドを寿司にしようと思ったんですか」
<佐次本さん>
「うちの親父さんがメキシコに60年前に渡り、なんとかメキシコの人たちにお寿司を食べさせようとして考えたのがアボカドのお寿司」
回転寿司などで人気の「アボカドの寿司」。当時、メキシコはもちろん、日本でも知られていませんでした。英人さんの父・宗平さんが異国の地に渡った理由は。
<佐次本さん>
「うちの親父は警察官だった。伊勢湾台風で親父は家族を亡くした。それから、うちのおふくろと出会って、僕らが産まれた。『もう台風みたいに怖い目にあうのは嫌だ』とメキシコに渡りました」
寿司職人になった宗平さんは、外国で暮らしたいという夢を持っていました。そして、知人の勧めでメキシコに移住。日本の寿司を広めたいと現地の食材・アボカドを寿司ネタに選びました。
<佐次本さん>
「海苔と醤油とお寿司とよくあう食材です」
<井手キャスター>
「だから軍艦なんですね。アボカドの濃厚なクリーミーな味と、しょっぱい醤油がすごくマッチしています。海苔との相性も抜群」
<寿し宗贄田マンサノ貴志フランシスコさん>
「トロみたいな味と言われている」
<井手キャスター>
「まさにトロみたいな舌触りもしますし、うまみも感じます。おいしい」
日本人とメキシコ人のハーフ・贄田マンサノ貴志フランシスコさんは30年前、寿司職人になりたいと来日。寿し宗でアボカド寿司を作っていることを知り、弟子入りしました。
<贄田さん>
「僕が生まれた時はアボカド寿司はあったんですけど、30年前にやっていた人がいたのはすごく感動しました。少しでもメキシコのことを知ってもらえればうれしいです」
『森のバター』と言われるアボカド。脂肪分やカリウム、ビタミンを豊富に含み、栄養価の高い果実として知られています。英人さんは、あえて若いアボカドを仕入れ、うまみを引き出しています。
<佐次本さん>
「熟成のさせ方にこだわりがあって、強いて言えば1週間ぐらいがベストなんですけど、方法は言えません」
中南米で生まれたアボカドは今、気候変動に対応した新たな食材として期待が寄せられています。
<井手キャスター>
「ここ静岡でもアボカドの産地化計画が進んでいます。それについてはどう思いますか?」
<佐次本さん>
「地元でアボカドが生産されるとね、うちもありがたいし、どんどん使って行きたいし、もっともっと多くの人に知ってもらいたい」
<贄田さん>
「新たなお寿司もできればいいなと…チャレンジですね」
英人さんはアボカドが静岡のお茶やみかんのような食文化になってほしい、アボカド寿司はかっぱ巻きのような存在にしたいと話しています。