
静岡県特産のクラウンメロンですが、33年ぶりに新たな生産者が加わりました。元・会社員の須山弘明さん。目指すのは、一番おいしいメロンです。
須山弘明さんの温室は静岡県磐田市にあります。1921年、今の静岡県袋井市から始まったメロンの栽培。生産者番号「986」番は、須山さんに与えられたクラウンメロン農家の「証」です。
<メロン農家 須山弘明さん>
「夏場は暑いです」
2025年も厳しい暑さで、温室の中は約40~50℃になります。
<LIVEしずおか 井手春希キャスター>
「もう初出荷は終えたんですか?」
<須山さん>
「これが僕が出荷した最初のメロンになります。早く自分で独立をして、最初から最後までずっと作りたいなと思っていたもんですから、出荷できたということはすごく感無量という感じですね」
1棟で栽培するメロンは約360玉。7棟の温室で出荷するメロンの目標は年間8000玉です。
<井手キャスター>
「どうしてクラウンメロンの農家になろうと思ったんですか?」
<須山さん>
「以前は僕は会社員をしていたんですけど、職人みたいな仕事がしたいと思って」
須山さんがメロン農家で修業を始めたのは4年前のこと。静岡大学農学部を卒業後一般企業に就職しましたが、農家になりたいという夢を持ち続けていました。
「一木一果」。クラウンメロンは職人の技が生かせる果実だといいます。
<須山さん>
「やっぱり、この網目をいかにきれいに出すかっていうところが、結構職人っぽい作業だと思います」
<井手キャスター>
「このネットの部分をきれいにするためには、どの工程に一番気をつけるんですか?」
<須山さん>
「最初に割れ目が入るんです。その割れ目が、かさぶたみたいに修復していくとネットになっていく感じです。割れ目を発生させるときの水と温度管理、そして湿度の管理、この辺に多分メロン農家さんはこのメロンの一生の中で一番気をつかう」
須山さんには毎日欠かせないルーティンがあるんです。
<須山さん>
「朝、各部屋に入った時にメロンにあいさつをするんですよ」
<井手キャスター>
「あいさつ?」
<須山さん>
「おはようって言って。その方がメロンの状態を感じとりやすい」
<井手キャスター>
「おはようございます。きょうも美しいです。きれいになって、おいしくなって皆さんのもとに行ってくださいね」
<須山さん>
「頑張るよ~って今、声が聞こえてきました」
<井手キャスター>
「新人農家ならではの戸惑いはありますか」
<須山さん>
「雨が2、3日続くと木が弱ったりする。そのときに水をかけた方がいいのか、かけない方がいいのかとか判断に迷うんです。けっこういろんな人に聞くんですけど皆さん丁寧に答えてくれるんです」
須山さんをサポートする横井義明さん(78)。50年間クラウンメロンを育てていましたが、2025年4月に須山さんに温室を譲りました。
<井手キャスター>
「今年デビューした須山さんはどう目に映っていますか」
<横井義明さん>
「何しろいいものを採ってもらいたい。一生懸命やってくれるのが一番大事」
<井手キャスター>
「食べ頃のクラウンメロンを切っていただきました。いただきます。うん!ジューシーですね。おいしい!どんどん食べちゃう」
<須山さん>
「クラウンメロンの品評会が定期的に開催されているんですけど、これから作っては自分で食べてみてを繰り返して、一番おいしいメロンを目指していきたい」
クラウンメロンには等級があり、中でも外観・味ともに最高品質で「1000玉に1玉」ともいわれる幻のメロンが「富士」と呼ばれています。