
2025年は昭和元年から数えて100年目。時代を超えて愛される名店の味を紹介します。今回は静岡・沼津港のそばで朝早くから店を開くおにぎり店。作り方は40年以上変わりません。
<松風軒 浜村直洋さん>
Q. ガス窯を使う理由は?
「おいしく炊けるってところが一番。大量に炊くんで、電気釜だとなかなか」
ガス窯で炊かれたつやつやのごはん。沼津港の近くで昭和50年代に創業した「松風軒」は朝5時に開店するおにぎり店です。
<松風軒 原川節子さん(82)>
「もう長くやってるから。大きさは時たま違っちゃうけど」
40年以上、おにぎりを作る原川節子さん82歳です。形がちょっとだけ不揃いなのは、手で一つ一つ握っている証拠です。仕込みは午前2時ごろから始まり、午前4時ごろにピークを迎えます。
<松風軒 浜村匡次社長(89)>
「一個一個心込めて焼くんで、時間がかかっちゃって」
目が離せない焼きおにぎりは、89歳、創業者の浜村匡次社長が担当します。開店15分前。ほとんどのおにぎりが並べられました。定番の梅、明太子、緑のおにぎりは「しその実」。「とりめし」や「しらす」も開店に間に合いました。おにぎりは何種類あるのでしょうか。
「24、25、26、27種類ですね」
朝5時に開店するのは、沼津ならではのニーズがありました。
<浜村直洋さん>
「港が近いんで、港の仲買さんとか寄るし、あと、新聞の配達の方とか朝動いてる方」
早朝に仕事をする人のほか、出勤前に腹ごしらえする人も。
<出勤前の常連客>
「やっぱ手作りで、(味が)しっかりしてるなぁって感じで」
<朝のジョギング途中の常連客>
「しその実ひとつと五目ずしひとつ」
Q. よく来られますか?
「今週は多くて3回目。昔ながらの味とラインナップもなんか昭和っぽいじゃない。わくわくする」
細かくして混ぜられた鮭のおにぎりは、人気商品の一つです。まず、生の鮭を切り分けます。塩を振り3日ほど冷蔵庫で寝かせて旨みを引き出し、さらにー。
<松風軒 浜村圭一さん>
「1回焼いて、寝かせて、もう1回焼いてという形でお客さんの所に行くので。鮭は大変」
鮭を仕込み始めてから、おにぎりになるまで1週間かかります。
<浜村直洋さん>
「できるものは手作りしている。もう、ず~っと40年以上。虎の巻があるんですけど古~い。それと同じで作っている。ずっと。外に出さない。ほんと古い。例えば、(分量が)いくつ、いくつって書いてある」
おにぎりの包装紙も昭和のままです。
<浜村直洋さん>
「昔からこれでやってるのもあるけど、温かみがあるし、変わらないものがあるのもいいんじゃないかなと思う」
紙の包装紙を広げると、どこか懐かしい昭和の香りが漂ってきます。