
「声掛けあっていこう!」。同市中央区の野球場に野球少年たちの声が響く。4月に始動したばかりのノバエーラ浜松は現在、中学1年生と練習生の小学6年生の計23人が所属し、浜松球場など市内の公共グラウンドを拠点に週5日の練習に励んでいる。
子どもたちは浜松全域から参加していて、通っている学校もバラバラ。橋爪敦志監督(47)は「今はとにかくボールに触れてバットを振り込み、野球に慣れることに重点を置いている。野球のために集まった子たちなので、みんな高い意識で練習に取り組んでくれている」とうなずく。
中学校4校で監督を務め、市選抜チームを率いて全国大会での優勝経験もある橋爪さんをはじめ、中学野球での指導実績の豊富なコーチがそろう。教員経験者が運営するクラブチームは全国的にも珍しい。軟式野球連盟浜松支部に登録し、今秋にも公式戦に参加する予定だ。
浜松市立高野球部などで指揮を執り、市内中学校で校長を歴任した藤田裕光さん(61)が、指導者のスキルを生かし、子どもたちが思う存分野球に取り組める環境をつくりたいとの思いからスポーツ支援の会社「Fエデュケーショナル静岡」を立ち上げ、1年かけて発足の準備を進めてきた。5~12歳を対象に体作りをメインとしたキッズ・小学生の部も用意し、教員経験を生かして進路指導や学習支援も一貫して行えるのも強み。セレクションは設けず、随時入団を受け付けている。
ノバエーラという名称は、今までにない野球チームを作りたいとの思いを込めて「新しい時代」という意味のラテン語「ノバ」と遠州弁の「えぇら」を組み合わせた。藤田さんは「ノバエーラなら思いっきりスポーツに打ち込める。子どもたちが『入って良かった』と感じて、自信を持って社会で活躍してくれたらうれしい」と力を込めた。