
同地域局や県危機対策課によると、同日、同地域局で賀茂地域の防災職員を対象に「ふじのくに防災情報共有システム(FUJISAN)」の操作研修を行っていた。システムを操作した際、本来は「訓練モード」を選択すべきところを、誤って「実際に配信する」を選んだため、誤配信された。直前に県職員は「実際に配信しないように」と注意喚起していたという。
町防災課によると、通知直後に「本当なのか」との問い合わせが町に多数寄せられたという。約10分後に緊急速報メールや町の配信メール、同報無線で訂正情報を伝えた。町幹部は取材に「混乱を与えてしまい申し訳ない」と陳謝した。
町内には混乱が広がった。「海を目の前にしている町だからこそ、観光客の津波への不安を助長しかねない」と憤るのは町内の旅館経営男性。宿泊客から問い合わせはなかったものの「こういうミスがあると、この地域の防災対応は大丈夫なのかと思われてしまう」と眉をひそめた。
熱川バナナワニ園(同町)の神山浩子園長も「有事には一刻も早く情報を得たいが、訓練中だったのなら慎重になってもらいたかった。観光施設にとって客の安全が第一で、当園は動物への対応も必要になる」と苦言を呈した。