静岡大発ベンチャー、ベトナムで冠婚葬祭事業 衣装やヘアメーク、遺体の衛生保全技術など 日本品質提供へ

遺体衛生保全技術「エンバーミング」の導入で、ベトナムの医療機関と連携するグェン社長(右)=2024年、ベトナムの首都ハノイ 日越両国でコンサルティング業を展開する静岡大発のベンチャーN&Vホールディングス(浜松市中央区)が、ベトナムで冠婚葬祭事業に乗り出す。リゾート地で日本人向けに結婚式事業を手がけ、日本の遺体保全技術を導入した葬儀ビジネスにも参画する。経済成長が続くベトナムで日本企業と合弁を組み、高付加価値型のサービスを提供して市場開拓を進める。
 ベトナム中部の最大都市ダナンで今秋、リゾートウエディング事業を開始する。海沿いのリゾート施設と契約し、日本品質の衣装やヘアメークなど挙式に必要なサービスを完備。数十万円から挙式可能にする。
 同社は2018年に結婚式事業を企画したが、新型コロナ禍で断念していた。ダナンは沿岸部の砂浜や周辺都市の世界遺産が楽しめることから人気が上昇しており、成田から直行便が就航している。夏には関西便が再開予定。2泊3日の日程で訪問できる利便性を生かし、年間350組ほどの利用を見込む。
 同社は年内に、日本の冠婚葬祭業大手との合弁で、遺体の衛生保全技術「エンバーミング」を導入した葬祭業を始める。高温多雨の気候のベトナムで、故人の遺体を生前の状態に近い形で保ち、葬儀を迎えたいと考える富裕層は増えている。コロナ禍を経て衛生意識が高まり、遺体の消毒や防腐の必要性が認識され始めた状況から事業化を決めた。エンバーミングの専門人材を育成し、現地の病院や葬儀会社との連携で高価格帯の葬儀事業の確立を図る。
 N&Vは、ダナン出身のグェン・ボ・フェン・ユーン社長(43)が静大留学を経て浜松市で起業した。不動産や人材などの事業を拡大するほか、日本の食べ放題の焼き肉チェーンや居酒屋店のベトナム進出に携わってきた。グェン社長は「日本の技術や信頼性を生かし、ベトナムにまだないコンテンツや、誰もやっていない事業を広めていきたい」と話す。

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