「2軍の舞台で投げられるのは間違いなくチャンス」くふうハヤテ躍進の“灯り”となれるか 巨人から派遣左腕 山田龍聖投手

いよいよ、NPB参入2年目のシーズンが開幕したプロ野球ウエスタンリーグ・くふうハヤテベンチャーズ静岡。開幕戦ではオリックスを相手に白星を挙げるなど、勝利にこだわったシーズンが始まった。

そんなチームに、2025シーズンも頼もしい助っ人がやってきた。3月10日、巨人から育成選手の山田龍聖投手の派遣が発表。背番号14を背負い、15日の開幕2戦目のホーム・オリックス戦で早速登板し、1イニングを三者凡退に抑える好救援を見せ、静岡のファンに挨拶代わりには、十分な好投となった。

以降は先発投手として登板を重ね、ここまで計4試合に登板し、防御率は1.13とウエスタン・リーグ3位、被打率は.167と、リーグ1位と素晴らしい成績を残している新戦力左腕に話を聞いた(成績は4月10日時点)

チーム合流は開幕前日

甲子園の常連校・高岡商業高校(富山)出身で、自身も春1回、夏は2回も甲子園に出場している山田。エースとして出場した3年夏には、3回戦で藤原恭大(現千葉ロッテ)、根尾昂(現中日)らを擁する大阪桐蔭と対戦。敗れはしたものの、この大会で優勝を果たす相手に対して8回3失点、11奪三振と好投を見せた。

高校卒業後は社会人野球の名門・JR東日本に進み、2021年のドラフト会議で巨人から2位指名。即戦力として期待されたが、プロの舞台で活躍するのは容易ではなく、ここまで1軍戦での登板はなく、一度は自由契約に。現在は育成選手という立場だ。

実は、くふうハヤテへの派遣が決まったのは、球団からの公式発表の直前だったそうで、本人も非常に驚いたそう。それでも気持ちは非常に前向きで、「3軍まであるジャイアンツにに比べて、2軍の舞台でしっかり投げられるのは間違いなくチャンスだと思うし、行きたい気持ちは強かった」と笑顔を見せた。

チームへの合流は開幕前日、初登板は、その2日後と目まぐるしいスピードでの対応。背景を知った上で初登板の好投を振り返ると、なお、活躍への期待は高まるばかりだ。

2人の「山田」

2024シーズンはイースタン・リーグで29試合に登板し、防御率1点台の実績を持つ左腕だが、驕りはなく、今季は救援のみならず、先発としても腕を振る。「僕も相手もお互いにデータを持っていない今だけでなく、シーズンが進み、データが取られた後こそ、どんどん精度を上げていきたい」と向上心を示した。

巨人からは昨季も木下幹也が派遣され、8試合で2勝2敗、防御率1.29の好成績をマークして帰還した。もちろん、その活躍はチェックしていたようで、「良いどころか、良すぎましたね」と笑う山田。チーム合流前には木下とも言葉を交わし、「接しやすいチームメイトが多いと聞いていたので楽しみだった」と話した。少しずつチームにも溶け込んでいっているようで、同級生でもある松田憲之朗とは、高校時代に対戦した際の話で盛り上がった。

なお、山田の加入によりチーム内には、山田性が2人となる事態に。さらに、山田門(りゅう)と山田龍聖で名前も非常に似ている。ユニホームの背中のネームに関しては『R.YAMADA』とまったく同じだ。

チームメイトも最初は困惑したというこの議論だが、決着はあっけなかったようで、後輩である山田門が「“もん”って呼んでください」と譲歩(?)したという。せっかくなら『右の山田門、左の山田龍聖』で両方覚えてほしいと“先輩”の山田龍は語る。

「左投げなので背ネームも“R.YAMADA”から“L.YAMADA”に変えてみるのは?」という提案には乗らなかったが、くふうハヤテの躍進に向けた「Light(灯り)」となる活躍をファンは待っている。
(SBSアナウンサー・松下晴輝)

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