110番対応のプロ 技能伝承に奮闘 静岡県警広域指導官二俣警部、経験を後輩へ

二俣雅人警部(奥)が見守る中、強盗致傷事件の発生を想定した通信指令訓練=11日、県警本部 「110番通報を受けるプロ中のプロ」として警察庁から通信指令部門の広域技能指導官に指定されている静岡県警通信指令課の二俣雅人警部(60)が、技能伝承に奮闘している。広域技能指導官の同部門の指定は全国で10人。指定から約3年間、全国の15県警などに出向き、初動対応の重要性を伝えてきた。「常に訓練を積まないとパフォーマンスは落ちる。経験や知識を少しでも継承したい」。2025年度以降も広域技能指導官を続け、後輩の能力を引き出していく。

 3月11日、一人暮らしの高齢者宅を狙った強盗致傷事件の想定で行った訓練。被害者宅の隣人からの一報を受けて緊急配備を敷き、その後も連続して入ってくる当て逃げ事故や不審車両の目撃情報など複数の通報に対応し、容疑者を確保するまでの流れを確認した。
 「騒音がしたというなら今日だけか、それとも普段からか―も聞いてほしい。指令をもっと滑らかにし、協力要請を書いて伝える方法も、もう少し分かりやすくするとより良くなる」
 二俣警部は総括で、110番受理と指令をこなした巡査部長2人の能力を高く評価した上で、改善すべき点などを端的に助言した。
 こうした訓練想定は「闇バイト」強盗事件など社会情勢の変化に応じて柔軟に変えている。巡査部長の2人は、被害者宅周辺で前日までに不審車両や不審者の目撃情報があったことも通報の中から収集。車や容疑者の特定などにつなげた。
 2人にとって、二俣警部は「尊敬する目標の人」。「二俣さんのような声の太さは訓練で培われないが、現場が納得のいく言葉で、自信を持った指令ができるよう精進したい」と話す。
 2024年に県警が受理した110番は暫定値で22万1167件(前年比1万378件減)。1日当たり604件で、2分23秒に1件は入電している計算だ。
 12年から通信指令室に勤務してきた二俣警部は「一つ一つの通報全てに神経を使った」という。異動が伴う警察だが、「全国の効果的な取り組みや態勢の良さも後輩に示しながら、県民のためしっかりと技能を伝えていく」と強調する。
 

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