国は3月21日、富士山が噴火した場合の火山灰の対策についての報告書を公表しました。降る灰の量に応じた避難行動を4つの段階に分けて示し、静岡県は避難基本計画への反映を検討する方針です。
<首都圏における広域降灰対策検討会 藤井敏嗣座長>
「火山灰被害は基本的にはそれで命を失うことはほとんどありません。住民は自宅等で生活を継続していただくことを基本とする。そのために日頃から十分な備蓄が重要であることを、基本方針として打ち出しています」
国の試算によりますと、富士山が大規模噴火した場合、住宅地や道路などに降り積もる火山灰の量は、約4.9億立方メートル、東京ドーム400杯分ほどにのぼり、生活や経済活動に大きな影響が出ると想定されています。
この対策について国は有識者会合で検討し、3月21日に報告書を公表しました。報告書では、降る灰の量「降灰量」に応じた避難行動を4段階のステージに分けました。

降灰量が30センチ未満のステージ1から3では、原則、自宅での生活を続けるよう求め、降灰量が30センチ以上のステージ4では原則、避難を促す方針が示されました。そのうえで、影響の長期化に備えて1週間分の備蓄を推奨し、可能であれば、2週間分の備蓄を備えておくことが望ましいとしました。
静岡県では富士山の噴火に備え、山梨県、神奈川県などと富士山火山防災対策協議会を開いて、ハザードマップや避難基本計画を策定しています。
<静岡県危機管理部 酒井浩行部長>
「降灰について、その量ごとの影響や避難方法等について、今回の首都圏の検討会と同様の対応の必要性を示してまいりました。来年度、(国の)報告書をふまえ、降灰による対応に係わる分析、検討を進めるとともに、避難基本計画への反映を検討してまいります」
一方、火山灰の除去や処理も課題となっていて、今後、仮置き場や最終処分地の機能などについても研究していく必要があるとしています。
<酒井部長>
「災害というのは、やはり正しく恐れていただくということが非常に重要で、どういうことが起こるかあらかじめ知っておくことは、何か起きた時に非常に対応ができるようになりますので、富士山にも皆さん関心を持っていただいて、こういうことが起こるんだと」