
【ごみ減量】ごみ排出量が少ない掛川や三島の取り組みとは…? 今日からでもできる温暖化対策への一歩

(山本)日々の暮らしの中で生み出されるごみですが、県内で家庭や店舗から出される一般廃棄物は2021年度に年間112万トンでした。ごみは焼却によって温室効果ガスを排出するだけでなく、収集運搬や過剰な生産による環境負荷は大きく、ごみの減量は地球温暖化対策の第一歩とされています。
(山田)今日はいわゆるごみ問題ですね。
(山本)ちょうど今週「1.5℃の約束」と銘打って、SDGsを考えていきましょうということでわれわれも特集を組みました。
話の前提として「1.5℃の約束」について改めて話してみたいと思います。世界の平均気温が産業革命以降、急激に上昇しています。それを、なんとか2℃未満、1.5℃ぐらいに保って影響を抑えていこうという取り組みです。これは国連の会議で合意された長期的な目標なんですが、それに基づき、「1.5℃の約束」として私たちメディアの立場でも、いろんなキャンペーンを展開していこうということで新聞、テレビ、ラジオの各メディアが情報発信しています。
地球温暖化は相当進んでいて、世界的にも干ばつや豪雨が発生しています。日本も今年すごく暑かったですが、そこも地球温暖化の影響があると言われています。温暖化の原因である温室効果ガス、つまり二酸化炭素の排出を減らして平均気温の上昇を1.5℃に、抑えていこうという取り組みをしてはいますが、既にそれはもう難しいんじゃないかと。2030年代前半には1.5℃を超えてしまうという予測もある状況です。
そうした厳しい中で温室効果ガスを少しでも減らすために、われわれは生活の中で、何をしたらいいのかなって、私たちも考えました。いろいろな取り組みがありますが、ごみに焦点を当ててみようということで改めて調べた次第です。
(山田)その、ごみでございますけど。
(山本)一般廃棄物と言いますが、私たちは毎日何か食べていて、食品の残渣が出たり、あるいは何かパッケージを破いたりして、それをごみ箱に捨てていますよね。それを処理するにも、かなり環境への負荷がある。ごみを収集して、それを運んで燃やす、あるいは埋め立てるということに、かなりコストもかかっています。ごみの収集運搬などを担うのは各市町ですので、そこを減らすだけで、自治体にとっては税金を投入しなくてもいいことになる。コスト削減の観点から減らしていこうという取り組みは、もうずっと昔から続いています。
(山田)そうですよね。ごみを出さないのが大事。
(山本)1日大体何キロぐらいのごみが出ると思いますか。
(山田)自分が1日どんなものをどれぐらい捨ててるのかなって、考えながら、お話聞いてたんですけども。コンビニでおにぎりやサンドイッチ買ったときのあのパッケージのビニールとか…。あとは僕の知らないところで、妻がスーパーから買ってきたものや、子供のオムツを捨てている。今思いついただけでもそれくらいありますから、細かいのを合わせたら、もっとありますね。
(山本)一人暮らしだと案外出ないような気もするんですが、家族、集団だと、結構出ているようで、これを住民の数で割った数字にすると、2021年度は静岡県で住民1人1日当たり843g出ています。
(山田)結構、行ってますね。
(山本)これが、2005年には1キロを超えて1117gだった。だんだん減少傾向にある、ということですね。ごみの分別が進んだりだとか、減らす取り組みがあって減る傾向にはあるんだけれども、平均すると、1日にそれぐらい排出しているということです。
(山田)どこを減らせばいいのかな、とかも考えちゃいますね。
(山本)県内市町ごとに見ると、ごみ排出量が一番少ないのが掛川市で、住民1人1日当たり623g。平均よりも200g以上少ないということでした。逆に多いのは熱海市で1557g。熱海など伊豆半島は観光地で、観光客からのごみも出る。それから、別荘として暮らす方も多く、この調査では人口で割って計算するため、その方は入らないけど、ごみは出るという形にどうしてもなっちゃうので、ちょっと仕方ない部分があるんです。
ただ、市町で開きがあり、大体それぐらいの分量だということです。
ごみが少ない掛川、三島は分別に力
(山本)ごみ排出量が少ない掛川市では何をやってるのか、記者が取材をしに行ったところ、分別がかなり徹底されているということでした。市や町によって分別の仕方はそれぞれ違うんですけれども、掛川の場合はボランティアの推進員という方が679人も任命されていて、ごみの収集ポイントにその方がいらして指導するというようなことをずっとやっているそうです。
人口は大体11万5000人ぐらいの都市。それで減量に繋げています。
(山田)掛川、毎月行ってますけども気づかなかったな。
(山本)三島市はちょっと1人当たりのグラム数は多いんですが、やはりごみ減量アドバイザーという市民の方が任命されてましてね。三島の場合は、新聞や雑誌だけじゃなくて、レシートなどの紙類も、燃えるごみとは別に古紙として回収する仕組みができているそうです。アドバイザーの方が、啓発活動をしながら、自分でもやってみたところ、かなり紙のごみの量が多くて、分別すると排出するごみが半分ぐらいになったと証言していました。
(山田)そうなんですね。浜松もごみを減らすために、生ごみの水切りをやっていますし、各市町で頑張ってますよね。地域によっては袋に名前書かなきゃいけないとかもありますよね。
(山本)私も転勤でいろんな町で暮らしましたが、自治体によってすごく差があるなというふうには感じていました。
沼津市は、ごみの分別は昔からかなり細かくやっている町で、町内会で当番で立ってごみ出しの様子を確認したことがあります。ごみを意識する効果は確かに感じました。効果を上げているところのやり方をどんどん真似していき、横に展開していけばいいなっていつも思うんですけれども、引っ越すたびにちょっとやり方が違ったりして、そこはこれからの課題かなと思っています。
(山田)改めて話を聞いて不思議なのは、なんでこんだけ各地によってバラバラなんですかね。たぶん、焼却炉の規模みたいなのも影響していると思うんですが。
(山本)地方自治というのは、その地方でやり方を決めるということで、山田さんがおっしゃったように焼却場は地域ごとにありますから、そこに合わせたやり方をずっと昔から取ってきたんでしょうね。
ごみ減量が、生活を見直すきっかけに

(山本)温室効果ガス削減という点では、実はごみ減量っていうのはそれほどインパクトはないんですよね。
例えば、断熱性の高い住宅に住んだり、電気自動車に乗ったり、太陽光パネルで発電した電気を使ったりする方がよほど効果はあるんです。ただ、身近なごみの問題を考えることが、環境の問題を考えて生活を見直す一つのきっかけにはなるのではないかと、今回すごく感じました。
(山田)一番近くからやりますもんね。
(山本)「今日からでもやれること」ということですね。過剰に買ってしまってやっぱり使わず、消費期限が切れてしまって捨てるとか、そういった生活をちょっと見直し、自分がごみをどれぐらい出しているかを一つの基準にして考えてみるといいんじゃないかなと思います。
(山田)改めて気付かされたことがたくさんありました。今日の勉強はこれでおしまい!
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