国民スポーツ大会東海ブロック大会で攻守に躍動
国民スポーツ大会(国スポ)のサッカー少年男子で、静岡が2年ぶりの本大会出場を決めた。7月12日に行われた東海ブロック大会の三重県戦。ピッチの中央で抜群の存在感を放っていたのがU-16日本代表ボランチの小枝朔太郎(ジュビロ磐田U-18)だった。
持ち味は豊富な運動量とボール奪取力。ピッチの至るところに顔を出し、いざという時は体を投げしてピンチの芽を刈り取っていく。目指すのは「和製ガットゥーゾ」だ。
ただ、この日はそれだけにとどまらなかった。1−0で迎えた前半28分、左サイドから流れてきたボールを収めると、エリアの外から得意の左足を一閃。低い弾道でゴール右隅を射抜き、進化の兆しをのぞかせた。
小枝が最後まで攻守のかじ取り役を担った試合は4−0の圧勝だった。「静岡はやっぱり国スポの本大会に出場するのが当たり前。今年こそは行かなければと思っていました。しっかりクリアできてよかったです」。キャプテンマークを巻いた16歳の表情には重責を果たした安堵感がにじんだ。
世界を飛び回って感じたこと
浜松和田JFCからジュビロ磐田の下部組織に入り、年代別日本代表の常連になった。最近はUー16代表としてポルトガルやフランス、中国への遠征に参加。国内トップレベルの、さらには世界のレベルを体感しながら、自分にできることとできないことをしっかりと整理している。
「球際の部分では負けていないと思っています。自分の武器を世界でも発揮できているのは自信になっています。今はそこに攻撃の部分をプラスアルファで加えたいです。代表に行くとみんな個性豊かで、個の力でボールを前に運べたり、ラストパスを出せたりする選手がいます。徐々に視野も確保できるようになってきたと思うので、もう少しアイデアや工夫のあるパスを出せるようにして、一気にチャンスを演出できるようにしていかないと上には行けないと思っています」
小枝がどうしても意識してしまうのは年代別代表で一緒になっていたFC東京U-18の北原槙だ。15歳7か月でのトップチームデビューでJ1最年少出場記録を更新し、16歳になった7月7日にプロ契約を締結した逸材だ。
「自分も負けないように…。急ぎ過ぎもよくないですが、でも高みを目指してやっていかないといけないとも思っています」。まずはジュビロ磐田U-18で定位置を確保し、絶対的な存在になるつもりだ。
「いろんな個性を融合させたい」
国民スポーツ大会サッカー少年男子は滋賀県で10月に開催される。6年ぶり22度目の頂点を目指す静岡の中心で、ジュビロの未来を担うボランチはどんなプレーを見せてくれるだろう。
静岡の岡本淳一監督(浜松開誠館中監督)は小枝について「いつもいろんなことに気づいて、ピッチの中でも外でもチームをまとめ上げてくれる。課題に対しても、どんどんトライしてくれる」と絶大な信頼を寄せる。
本人からもチームの柱としての自覚がのぞく。
「静岡は優勝しなければいけないチーム。『これやれ、あれやれ』ではなく、下から支えていくようにしてチームを引っ張っていきたいです。大会までにもう少し時間があるので、いろんな個性を融合させて、よりよいアグレッシブなサッカーができるようにしていきたいです」
(シズサカ編集部・南部明宏)