知っとこ 旬な話題を深堀り、分かりやすく。静岡の今がよく見えてきます

静岡の新施設「ARTIE」 ”大人の遊び空間”はどんな所?

 静岡市葵区七間町に、新しいエンターテインメント施設が誕生しました。名称は「ARTIE(アルティエ)」。ホログラムシアターやイベント会場など、ワクワクする仕掛けが満載です。経営側には「若者の人口流出に歯止めを」という思いもあるようです。”おまち”の新たなにぎわい拠点をまとめました。
 〈静岡新聞社編集局未来戦略チーム・石岡美来〉

映像シアター、ボウリング場…複合型施設が誕生

 シネマコンプレックス運営などの静活(静岡市葵区、江崎和明社長)が手掛ける複合型エンターテインメント施設「ARTIE(アルティエ)」(同区七間町)が25日開業し、現地で記念式典が行われた。

テープカットに臨む式典参加者=25日午前、静岡市葵区のアルティエ
テープカットに臨む式典参加者=25日午前、静岡市葵区のアルティエ
 施設は、立体的な映像でライブや演劇を鑑賞できるホログラムシアター「LIVLIV(リブリブ)」や、食事を同時に楽しめるボウリング場「Bolo(ボーロ)」などが入る。七間町通りに面して全天候型のイベント空間「ARTGARDEN(アートガーデン)」も備える。
 式典では江崎社長や田辺信宏市長らがテープカットに臨んだ。江崎社長は「ここを発信地に静岡がエンターテインメントの光であふれる街になるよう全力を尽くす」とあいさつした。
〈2022.2.26 あなたの静岡新聞〉

2019年から計画進む テーマは“大人の遊び空間”

 映画興行などの静活(静岡市葵区、江崎和明社長)は、1970年から営業を続けてきた同市七間町の静活プラザボウルを、体験型の映像イベントが楽しめるホログラムシアターや新たなコンセプトのボウリング場からなる複合エンターテインメント施設に建て替える。8日(※2019年7月)までの同社への取材で分かった。2021年のオープンを目指す。

施設予定地
施設予定地
  計画によると、新施設は地下1階、地上2階建て。敷地面積約2400平方メートル、延べ床面積約4千平方メートル。中核のホログラムシアターは1~2階に入る。客席全体を覆う3面スクリーンにアーティストがまるでその場にいるように映し出され、ライブ感を味わえる。来場者が登場アーティストと写真撮影できるインタラクティブ(双方向)な楽しみも提供する。
  地下1階は最新マシンを導入するボウリング場(18レーン)で、約260平方メートルのダイニングエリアを併設して“大人の遊び空間”を演出する。七間町通りに面した1階敷地には約550平方メートルのアートガーデン(仮称)を整備し、全天候型のイベント空間として活用する。このほか、市内最大級のアミューズメントテナントも出店を予定する。
  一連の開発は「プロジェクト オリオン」の計画名で展開する。東海地区最大スクリーンを擁した映画館「オリオン座」(2011年閉館)にちなむ。七間町のシンボルとして市民に親しまれたかつての旗艦館の名を冠すことで、中心市街地の新たなにぎわい創出拠点としての役割も広く発信する。
〈2019.7.9 静岡新聞朝刊〉

若者集める仕掛けさまざま プロジェクトリーダー・江崎亮介氏

 静岡市中心部で1970年から営業を続けた静活ボウリングビル(同市葵区)が、2021年に複合エンターテインメント施設に生まれ変わる予定だ。「プロジェクト・オリオン」と銘打った開発のリーダーとして、中心市街地の新たなにぎわい創出を模索する。

江崎亮介氏
江崎亮介氏

  -プロジェクトの内容は。
  「施設の中核となるのは体験型の映像イベントが楽しめるホログラムシアター。例えばアーティストがその場にいるように映し出される。ボウリング場はダイニングエリアを併設し、内装にも気を配った“大人な雰囲気の遊び場”に。七間町通り側はアートガーデンとしてイベント空間を整備し、新たな興行の形を提案する」
  -背景にあるものは。
  「静岡市が抱える若者流出による人口減少。20代に話を聞くと、娯楽施設や2次会で行く場所の選択肢が少ないことが課題の一つであると分かった。CDの売り上げが低迷する現代に動画配信サービスのライブ映像が人気を集め、実際にライブに足を運ぶ若者がいる。ライブハウスは夜の営業が中心だが、ホログラムシアターは日中も集客が見込める。一方、ボウリング場の数は全国的に減少傾向にあるものの、飲食との融合により、今までにない施設をつくることで、新たな客層にもっと楽しめる場を提供できると考える」
  -施設を整備する七間町の特徴をどう見るか。
  「江戸時代から寄席や芝居小屋などが立つ興行エリアとして栄えてきた。11年以降にわれわれが運営していた映画館が移転したが、今もDNAは息づいている。ただ、JR静岡駅からは距離があるため集客拠点がなければ回遊性が生まれない。中国上海や米ラスベガスなどの建築物を参考に、1施設で完結させるのではなく一帯に人が集まる仕掛けをしたい」
  -周辺エリアとのまちづくりの構想は。
  「中心市街地の人の流れを見ていると、飲食店が立ち並ぶ両替町の周辺にある個性的な店に若者が集っている。七間町近くの人宿町では再開発が進んでいるため、連携してエリアの魅力を高めていきたい。空き店舗が目立っているのも事実。商店主に『戻ってきたい』と思ってもらえるまちづくりを目指す」

  えざき・りょうすけ 静活のほか、江崎新聞店や静岡オリコミを抱える江崎グループの取締役社長室長。東京大卒。30歳。
〈2020.3.20 静岡新聞朝刊〉※肩書、年齢は当時のまま

懐かしい人も多いのでは? 「ARTIE」は静活プラザボウルの跡地です

 映画興行などの静活は5日(※2020年1月)、1970年から営業してきた静岡市葵区七間町の静活プラザボウルの建物の解体に伴う閉店セレモニーを開催した。多くの市民や常連客が詰め掛け、ボウリングを楽しみながらほぼ半世紀にわたり慣れ親しんだ施設との別れを惜しんだ。今後はボウリング場も入った複合型エンターテインメント施設に建て替えられ、2021年内の開店を目指す。

別れを惜しみながら一球を投じる常連客ら=静岡市葵区七間町の静活プラザボウル
別れを惜しみながら一球を投じる常連客ら=静岡市葵区七間町の静活プラザボウル
  記念セレモニーでは白沢克也支配人が「長い間のご愛顧に感謝するとともに、最後にこのウッドレーンを目に焼き付けていただきたい」とあいさつ。投げ放題のイベントなどもにぎわい、来場者が思い出話に花を咲かせながら渾身(こんしん)の一球を投じた。
  オープン当初から通っていたという鈴木澄さん(73)=同市駿河区=は「友人との思い出が詰まった施設がなくなるのは寂しいが、新装開店を楽しみにしている」と話した。
  新施設は地下1階、地上2階建て。体験型の映像イベントが楽しめるホログラムシアターやアミューズメントテナントなどの出店を予定している。ボウリング場には最新のレーンとマシンを導入し、ダイニングエリアも併設する。
〈2020.1.6 静岡新聞朝刊〉
地域再生大賞