焦り禁物、今からが伸びしろ 中学受験テーマに新著 秀英予備校講師鈴木さん

 秀英予備校清水本部校(静岡市清水区)の講師鈴木孝弘さん(46)が、中学受験をテーマにした小説「小さな挑戦者たち~サイコウの中学受験~」(ポプラ文庫)を出版した。受験生と親、家庭教師の3者のリアルな悩みや感動を描いたほか、さまざまな場面での効果的な勉強法も盛り込んだ。県内では年明けの入試に向けて受験ムードが高まる時期。鈴木さんは「受験は実際には厳しいことが多いが、物語を通して客観視したり、共感したりしてもらえたら」と思いを込める。

新著を手にする鈴木孝弘さん=静岡市清水区の秀英予備校清水本部校
新著を手にする鈴木孝弘さん=静岡市清水区の秀英予備校清水本部校

 「騎月孝弘」のペンネームで小説を執筆し、6作目で初めて本業に関わるテーマに挑んだ。舞台は中学受験が過熱する首都圏。東京大卒の家庭教師が、志望校も学力も家庭環境もさまざまの4人の小学生と向き合う物語。家庭教師の一言一言は、実際に自身が生徒や保護者にかけている言葉も多い。
 普段は国語を中心に小中学生を指導し、これまでに7千件以上の面談に応じた。この時期の受験生について「何から手を付けたら、と焦りが出てくる」と話す。過去問題を解き直し、間違えたことのある問題が今は解けるかどうかを確認すること、模試など客観的データで自分の学力を把握することが大切という。「自分が思うより点数が取れなくても、これからが“伸びしろ”だと捉えて」と呼びかける。
 一方、保護者から多く聞くのが「子供が趣味にのめり込んでいる」という悩み。「スマートフォンなどを介し、親の知らないところで子供の興味は広がっている」とし、毎日、勉強時間を固定し、メリハリを付けて趣味も楽しめる環境にするよう促す。「中学受験の目的はそれぞれで、親子の温度差も生じやすい。親は心配事ばかりだと思うが、ある程度の距離感が必要。子供に直接注意するのではなく、塾講師や学校の先生を介するのも手」。子供のモチベーションが下がっていたら、「志望校の文化祭などに出かけるなどしてイメージを膨らませて」とアドバイスする。
 新著は税込み814円。
 (教育文化部・鈴木明芽)

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