中小経営者クラブ 企業視察や勉強会“リアル”で再開 静岡県内信金活発化

 静岡県内各信用金庫がコロナ後の経営支援策として、中小企業経営者クラブの活動を活発化させている。複数が県内外での企業視察や対面の勉強会を再開。コロナ禍でオンライン中心だった経営者らに業種を越えた対面の場を積極的に提供し、原材料高騰や人手不足など中小に共通する経営課題の解決につなげる。

刃物メーカーなど地場企業を視察した「せいしんビジネスクラブ」メンバー=5月下旬、新潟県
刃物メーカーなど地場企業を視察した「せいしんビジネスクラブ」メンバー=5月下旬、新潟県


 静清信金は5月下旬、経営者組織「せいしんビジネスクラブ」の県外視察を3年半ぶりに実施した。県中部17社の経営者が、新潟県の航空機部品メーカーや酒造業者など6社を訪ね、各社トップから直接、独自の技術開発や生産性向上策の説明を受けた。刃物メーカー「藤次郎」(同県燕市)では、ものづくりで観光客を誘致する「オープンファクトリー」の取り組みや、女性の職人が活躍している同社の人事施策を学んだ。
 同クラブの石橋教志会長(石橋鉄工所社長、静岡市清水区)は「直接人と会うことはやはり大切。価格転嫁の対応策も含め、互いの経営課題について腹を割って話すことができ、大いに刺激を受けた」と手応えを語った。視察の道中、参加者の間で原材料高や人材育成について意見を交わす場面が多かったという。
 対面での勉強会も既に再開し、今後は「コロナ後の提案型営業」をテーマにした社員向け研修を計画中。同信金経営相談部の担当者は「経営環境が激変する中、今の時代に必要な情報を提供していく」と話す。
 三島信金も5月、「さんしんチャレンジクラブ」の企業視察を再開した。「信金の活動の原点に回帰した感覚。参加者の反応も良い」と担当者。県東部4エリアを7月まで巡回し、今冬には富山県も訪問する予定。
 「未来塾」を運営する浜松いわた信金も視察研修の再開を検討中。6月以降の定期勉強会は対面式で展開する予定で、「グループワークを取り入れるなど、リアルならではの内容にしたい」と質の向上を図る。

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