経済部 高松勝
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景気回復の見通し慎重 半年後「拡大傾向」3割 静岡県内主要企業
静岡新聞社が18日までにまとめた県内主要企業トップの景気動向アンケートは、半年後の景気見通しを拡大傾向とみる企業が約3割にとどまり、約4割が横ばいと答えた。新型コロナウイルスの感染再拡大や原材料・エネルギーの高騰を踏まえ、景気回復に慎重な見方が広がっている現状を示した。 7月下旬に製造業、非製造業50社ずつに送付し、8月上旬までに88社から回答を得た。1・1%が「拡大」、29・5%が「緩やかに拡大」と答えた一方、20・5%が「緩やかに後退」とした。 1月の前回調査では、22年夏の景況について63・0%が「拡大傾向」と予想していた。急速に進んだ円安が一部輸出型企業には追い風となったものの、
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原材料・資源高が経営圧迫 静岡県内主要企業、価格転嫁進まず
静岡新聞社が18日までにまとめた県内主要企業トップへの景況アンケートで、原材料やエネルギーの価格上昇を受けて自社の製品・サービスに価格転嫁できているかを聞いたところ、転嫁度合いが50%未満と答えた企業は約4割だった。原材料・エネルギー高が自社の事業に影響が出ていると答えた企業は全体の約9割を占め、幅広い業界で経営を圧迫している状況が浮かんだ。 価格転嫁できている割合を「49~25%」と答えた企業が19・3%、「25%以下」が14・8%、「全くできていない」も12・5%あった。一方で「全て転嫁済み」は4・5%にとどまった。 転嫁できない理由は「業界内の競争が厳しい」「取引先が応じない」「客
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上場企業6割最終減益 静岡県内4~6月期 原材料高が直撃
静岡県内に本社や主要拠点を置く上場企業の2022年4~6月期決算が12日、出そろった。静岡新聞社の集計対象企業のうち11社が前年同期比増収減益、9社が減収減益で、全体の約6割で最終減益となった。急激な円安進展が一部輸出型企業にプラスに働いた一方、原材料・エネルギー高騰が多くの企業の収益を圧迫している現状が浮かんだ。新型コロナウイルス禍だけでなく、半導体不足の収束もいまだ見通せず、先行き不透明感が強まっている。 金融機関と国際会計基準(IFRS)採用企業を除く33社を集計した。売上高合計は前年同期比で17・6%増えたが、経常利益は21・4%、純利益は35・3%それぞれ減少した。増収減益の企業
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自販機で発信「静岡県産缶詰」 試験運用、販売動向を分析
静岡県内缶詰メーカーでつくる静岡缶詰協会などは12日、缶詰専用の自動販売機事業のビジネスモデル確立に向け、産学連携の販売実験を静岡市清水区で開始した。自販機2台を来年2月まで試験運用し、購入者層など販売動向を分析する。若者や国内外の観光客向けに「売れる缶詰自販機」を開発し、将来的に観光地などへの普及を目指す。 自販機は清水魚市場の直販施設「河岸の市まぐろ館」2階に設置した。ビンナガマグロのオリーブオイル漬け、生カキの油漬けなど同協会加盟11社の缶詰20種類を販売する。価格帯は300~650円と比較的高級な製品をそろえた。 静岡産業大経営学部(磐田市)の熊王康宏ゼミの学生が自販機をデザイン
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スター精密 通期上方修正 設備投資の需要継続
スター精密は9日、2022年12月期の連結業績予想を上方修正した。世界的な設備投資需要の継続や円安効果を踏まえ、純利益は期初予想比23・4%増の79億円とした。 売上高は16・5%増の805億円、経常利益は24・7%増の111億円にそれぞれ引き上げた。医療、自動車関連で工作機械の販売が大幅に増加するほか、小型プリンターも米国市場で堅調に推移すると判断した。 第3四半期以降の想定為替レートは1ドル=110円から125円に、1ユーロ=125円から130円にそれぞれ変更した。 同日発表した22年6月中間連結決算は、売上高が前年同期比40・5%増の392億5200万円、経常利益は約2・0倍の5
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静岡ガス 3年ぶり増収増益、販売量は過去最高 6月中間
静岡ガスが3日発表した2022年6月中間連結決算は、大口顧客や卸売りのガス需要増を受け、中間期としては3年ぶりに増収増益となった。 売上高は前年同期比51・7%増の947億9500万円。原料費調整制度に伴う販売価格の上昇も寄与した。経常利益は36・2%増の88億3500万円、純利益は37・7%増の59億6100万円だった。ガス販売量は5・2%増の8億4千万立方メートルで過去最高を更新。各産業で工場の操業度が上がり、自社発電で電力を賄う企業からの需要も伸びた。 円安と原油高を踏まえて22年12月期の連結業績予想を修正し、経常利益は期初予想比7・7%減の65億9千万円、純利益は8・5%減の3
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静岡県勢2チーム、EV披露 9月の学生フォーミュラ日本大会出場
学生が自作のレーシングマシンの性能を競う「第20回学生フォーミュラ日本大会」(自動車技術会主催)の開催を前に、静岡理工科大と静岡大の2チームの代表が2日、県庁で電気自動車(EV)を披露し、意気込みを語った。 大会は9月6~10日に袋井市のエコパで開かれ、EV部門とエンジン車部門に約60チームが出場予定。県勢2チームはいずれもEV部門に出場する。新型コロナウイルス禍の影響で、レース形式の審査会は3年ぶりになる。 2009年度以降、EVで参加している静岡理工科大は外装にCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を使い、欧州製の高性能モーターを搭載するなど軽量化に努め、前年より20キロ軽い250キロ
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半導体検査装置、インドで増産 ショールームも新設 協立電機
協立電機は、インドで半導体基板検査装置の生産を増強する。10月をめどに同国3カ所目となる新工場を設置し、生産を2倍に増やす。家電や自動車分野での半導体搭載部品増に伴う検査ニーズの拡大を見込み、現地法人の売上高を8年後に約3倍に伸ばす。 西部マハラシュトラ州プネーに約5億円を投じて建設する。年間で検査装置150台、装置内で基板を固定し通電させる治具4500台を生産する。従業員は約60人を予定。 同国拠点で初のショールームを設け、顧客のメーカーへの情報発信やアフターサービスを強化する。現地法人の2022年3月期の売上高は約3億2千万円で、30年3月期に10億円を目標とする。 協立電機は日本
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通期業績を下方修正 ポーラHD
ポーラ・オルビスホールディングスは29日、2022年12月期の通期連結業績予想を下方修正し、経常利益を4月28日公表の前回予想比11・3%減の157億円、純利益を13・6%減の140億円とした。 売上高は8・6%減の1700億円を見込む。新型コロナウイルス禍の長期化で、ポーラブランド化粧品の国内委託販売が想定を下回ると判断した。中国・上海の都市封鎖の影響も受けた。 同日発表した22年6月中間連結決算は、売上高が前年同期比11・6%減の787億4800万円、経常利益が15・3%減の88億7600万円、純利益が53・9%増の109億400万円だった。
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車減産受け通期業績修正 小糸製作所、原材料高騰響く
小糸製作所は27日、2023年3月期の通期連結業績予想を修正した。中国・上海の都市封鎖に伴う完成車メーカーの生産減や原材料費の高騰が響き、純利益は期初予想比23・9%減の350億円を見込む。 22年4~6月期に、米国ベンチャー企業の投資有価証券評価損を特別損失に計上したことも影響した。経常利益は10・1%減の620億円。通期の想定為替レートを期初の1ドル=115円から126円に修正し、売上高は0・3%増の8740億円を予想する。 同日発表した22年4~6月期連結決算は、売上高が前年同期比5・2%増の1934億4300万円、経常利益が48・3%減の84億5500万円。純損益は10億5700
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環境、省力化に配慮した水圧駆動装置 日本アキュムレータが開発
油圧機器製造の日本アキュムレータ(静岡市清水区)は、水道水を動力とする機械駆動装置を開発した。モーターなど部品を丸洗いできるため、従来の油圧や電動式の装置と比べて衛生的に使える。静岡県に集積する食品加工業向けに提案し、維持管理作業の省力化や工場の環境負荷低減につなげる。 資源価格高騰やSDGs(国連の持続可能な開発目標)への対応として、安価でクリーンな駆動源を求める企業ニーズを踏まえた。潤滑油使用に伴うオイルミスト発生や漏電のリスクをなくし、労働環境の改善にも寄与する。 水圧式の新装置「NADSシリーズ」は出力200~750ワットの3種類のステンレス製モーターやポンプ、バルブなどで構成す
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SDGsでツナ商品変革 資源保全認証、鶏代替も はごろもフーズ
はごろもフーズが主力のツナ事業で環境・健康を重視した商品開発にシフトしている。原料のマグロ・カツオ類の資源保護を経営計画に明記し、海洋資源保全の国際認証「MSC(海洋管理協議会)認証」を取得した一本釣りカツオのツナ商品を8月下旬に発売する。代替材に鶏肉を採用したり、食塩やオイル不使用の商品群も展開したりと、SDGs(国連の持続可能な開発目標)を重視した戦略で若年層を軸に需要開拓を図る。 MSC認証の商品は同社初。一本釣り漁法で採捕した原料に限定した。タイの協力工場で製造し、漁獲、生産、流通工程を併せ認証を受けた。若者に人気のパウチ詰め商品で提案し、年間約57万個の販売を目指す。認証は国際N
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円安や原料高、影響焦点 静岡県内上場企業4~6月期決算
静岡県内に本社や主要拠点を置く上場企業の2022年4~6月期決算発表が27日始まる。急激な円安の進展は輸出型企業には追い風とみられるが、原材料・エネルギー価格の高騰も続いているため、プラス・マイナス両面で各社の業績に及ぶ影響が焦点となる。9月中間期、23年3月期の業績予想修正の有無も注目される。 金融機関や国際会計基準(IFRS)採用企業を除く県内32社の23年3月期初時点の通期業績予想は、円安の影響などで27社が前期比増収としたものの、19社が最終減益を見込み、先行きへの警戒感が表れた。 輸出型企業の多くは期初の想定為替レートを115~125円程度に設定した。6月以降に130円台へ急進
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静岡県産ワサビ ドミノ・ピザが初採用 茎ソースで食感、風味
ドミノ・ピザジャパン(東京都)は22日までに、同社で初めて静岡県産ワサビを使ったピザを全国発売した。国内大手宅配ピザチェーンで初とみられる。原料供給した万城食品(三島市)は「新型コロナウイルス禍による飲食店休業などでワサビ消費が減る中、生産者支援につながる」と“ワサビピザ”の誕生を喜んでいる。 商品名は「静岡県産本わさびソース&炭火焼ビーフ」。国産食材を発信する夏の4種盛り新商品の主力に位置付けた。刻んだワサビの茎にしょうゆなどを加えたソースを肉やチーズに絡め、ワサビの食感や風味も残した。 8月下旬まで全国約900店舗で扱う。静岡市内の店舗で開いた発表会で、ドミノ
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記者コラム「清流」 町工場の叫びは届くか
「経済の回復に賃上げが必要なことは十分理解している。でも、そんな余裕はないんだ」。参院選の選挙戦のさなか、取材で訪ねた県中部の町工場で、経営者は声を絞り出した。 電気代高騰でエアコンの使用を抑えざるを得ず、蒸し暑い工場内で、従業員が年代物の機械を黙々と操っていた。原材料価格や光熱費は軒並み上がる一方、取引先に対しての製品の価格転嫁は思うように進まない。「物価・エネルギー高が続いたら、会社が持たない」。経営者の表情はやるせなさに満ちていた。 政府・日銀は、物価高は賃上げで克服できると説く。ならば中小零細が賃上げできるために、政治が処方箋を示してほしい。選挙戦で各党・候補者が訴えた経済政策の
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半導体不足から回復 静岡県内、エアコン工場フル稼働
静岡県内でエアコンの生産が本格化している。新型コロナウイルス禍での半導体不足や中国・上海のロックダウン(都市封鎖)の影響から回復し、大手工場は最盛期の生産態勢に入った。部品製造も活況で、一部の企業は新工場を立ち上げ受注増に対応する。今夏は猛暑に電気料金の高騰が重なるため、電機メーカーは省エネ性能の高い製品を軸に、家計と環境双方への負担軽減を提案して需要を喚起する。 三菱電機静岡製作所(静岡市駿河区)では7月から家庭用全3ラインがフル稼働し、組み立て作業が忙しく続く。7~9月の生産は前年同期比20%増を計画する。昨年は半導体不足の影響を受けたが、今年は調達ルートの変更などで部品を確保。上海の
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はごろも教育助成賞 50団体に静岡で授与
公益財団法人はごろも教育研究奨励会(静岡市清水区)は12日、本年度のはごろも教育研究助成賞の授与式を同市葵区で開き、県内の学校など教育関連50団体に研究助成金を交付した。 単年度35件(50万円助成)と複数年度15件(各年40万円)を選出した。各団体はものづくりやICT(情報通信技術)教育の推進、授業改善、コミュニティスクール活動など多彩な研究を進め、本県の教育の向上につなげる。同事業は本年度で22回目。 3年ぶりの開催となった授与式で後藤康雄理事長は「グローバルな人材の育成に向け、児童生徒と向き合った充実した内容の研究がそろった。先生方の熱意に感謝したい」と述べた。
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「エネルギーの未来示して」 新電力、燃料高で苦戦 契約打ち切りも企業困惑【参院選しずおか】
ロシアのウクライナ侵攻などに伴う燃料高で新電力事業者の事業縮小や撤退が相次いでいる影響を受け、新電力から契約を打ち切られる企業が県内でも出始め、困惑が広がっている。各地の工業団地では新電力と契約中の工場も一定数あり、操業への影響を不安視する声も出ている。エネルギーの国際需給は当面好転しないとの見方は根強く、県内の工場経営者らは「国のエネルギー戦略、制度設計が不十分だ」と残り少ない参院選期間での論戦を注視する。 「何とか電力を確保できたが、生きた心地がしなかった」。静岡市内の部品加工の工場経営者は5月末、新電力から契約を打ち切られた。 「大手電力より安い」との触れ込みで6年前に契約し、単年
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スター精密 工作機械、世界需要に対応 日中タイで生産増強
スター精密は新型コロナウイルス禍で落ち込んだ設備投資の世界的な復調を見据え、国内外で工作機械の生産販売態勢を強化する。中国、タイで生産を増強し、国内の菊川工場(菊川市)は2025年に大規模改修する。販売支援拠点のソリューションセンターを日本、中国、欧州に整備して顧客提案力を高め、得意とする小型・精密部品加工機分野で戦略的に需要確保を図る。 2月に増床した中国・大連の工場と、現在設備を増強中のタイ工場で、22年末までに生産能力を25%程度引き上げる。マザー工場の菊川工場は総事業費約100億円を投じて改修。基幹部品を含めた生産強化と工場全体のデジタル化・自動化を推進する。 ソリューションセン
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物価高 耐える中小企業「支え、育てて」 長期的政策も切望【参院選しずおか】
10日の投開票に向け選挙戦終盤に入った参院選は、物価高を主要争点の一つに各党や候補者が舌戦を交わす。ロシアのウクライナ侵攻などに伴う資材・エネルギー高、生活必需品の相次ぐ値上げは、企業経営や家計に暗い影を落とす。本県経済の本格回復、県民生活の安定は―。経営者や消費者は「政治が役割を果たして」と鋭い視線を向ける。 掛川市の工業団地に建つ栗田工業(静岡市駿河区)の鋳造工場。1500度の高温で鉄スクラップなどを溶かす容量6トンの大型電気炉が稼働していた。「金属も電気代も全てが高騰している」。汗が噴き出る熱気の中、栗田鉄也社長(66)は険しい表情で炉内の炎を見つめた。 溶かした金属を鋳型に流して
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双腕ロボットで省人化 検査装置市場に本格参入 三明(静岡)
産業用機械製造販売の三明(静岡市清水区)は、工場生産ラインの検査装置市場に本格参入する。カメラ2個とアーム型ロボット2機を組み合わせた人型の検査用ロボットを新たに開発した。機械への代替が難しいとされ、工場自動化の障壁となっている検査工程の省人化ニーズに対応する。 新型機「EYESBOT(アイズボット)」は、高さ、奥行きとも約1・5メートル。カメラ内蔵の機体の左右に、長さ約1メートルの6軸多関節のアーム型ロボットを配した。自動制御のアームが検査対象の製品をつかんでカメラの前に持ち上げ、傷の有無など外観を点検する。左右で同時に別の作業ができる点が特長。片方のアームの可搬重量は約4キロ。 双腕
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はごろもフーズ ツナ缶値上げ 9月1日出荷分から
はごろもフーズは27日、キハダマグロの価格高騰を受け、ツナ缶など計41品目を9月1日出荷分から3・3~31・6%値上げすると発表した。 シーチキンLフレークEO(70グラム)の参考小売価格(税抜き)は190円から200円に、シーチキンL(140グラム)は350円から370円になる。
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中小のICT人材育成 静岡県、学習・交流拠点整備へ
静岡県は本年度、県内中堅中小企業のICT(情報通信技術)人材育成に向け、大学の講義などのオンライン受講や、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の相談などに対応する学習・交流拠点を整備する。人工知能(AI)を含めた高度ICT技術を活用できる人材を育てることで、県内からのイノベーション創出につなげる。 静岡市内の民間施設や県内の県有施設への設置を目指す。大学、大学院の協力を得て、オンライン上のサテライトキャンパスとして位置付けるなど、先端技術の受講環境を整える方針。国の交付金を活用し、県議会6月定例会に本年度補正予算案として約3400万円を計上した。 企業のDX化やICT活用策
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次世代センサー 米企業と開発強化 小糸製作所
小糸製作所は、自動運転向けの次世代センサー「LiDAR(ライダー)」の開発を強化する。27日までに、出資済みの米ベンチャー企業セプトンと、短・長距離用ライダーの共同開発をすることで合意した。 セプトン社とは2017年から、射程100~200メートルの中距離用ライダーの共同開発を進め、23年の実用化を目指す。国際基準でレベル3以上の自動運転車の普及を見据え、車の近くから遠方まで幅広く検知できる高精度ライダーの開発を急ぐ。 ライダーは赤外線レーザーを使って対象との距離を計測するセンサー。小糸製作所はライダーを組み込んだ次世代ランプ製品の開発も進める。
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新食肉センター指定管理者 静岡県、JA静岡経済連で調整
静岡県は27日の県議会産業委員会で、2025年度に県が菊川市に指定管理者制度を導入して整備予定の新食肉センターについて、稼働後5年間はJA静岡経済連を指定管理者とする意向を明らかにした。 これまでは指定管理者として民間事業者を公募する方針を示していた。JA静岡経済連は現在、再編予定の小笠食肉センターを運営する。 県は指定管理者の選定条件に、高度な食肉加工技術を保有▽食肉流通加工施設再編を巡る県施策と連携可能▽施設運用に習熟―の3点を挙げた。 吉田慎畜産振興課長は、県が21年度に県内食肉事業者に意見聴取した結果、3社が指定管理者の申請に意欲を示したと説明。その上で「JA静岡経済連のみが選
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7月4日に実行委発足 浜名湖花博20周年事業
静岡県は27日、2024年春に浜松市で開く「浜名湖花博」20周年記念イベントについて、7月4日に同市内で実行委員会の初会合を開くと発表した。 実行委は川勝平太知事を会長、浜松・湖西両市長を副会長とし、県内の農林水産や商工、観光、緑化関連団体で組織する。初会合では開催期間を含めた基本構想を協議する。県によると、現時点では浜名湖ガーデンパーク、はままつフラワーパーク、庄内半島を会場として、花と緑を基軸にデジタル分野などの先端技術を連動させた展示を検討する方針。 20周年記念事業は、浜松商工会議所や浜松市などが県に開催を要望していた。04年の浜名湖花博は約540万人、14年の10周年記念事業は
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株主優待にESGの波 自然保護寄付、授産製品採用…SDGs意識
静岡県内上場企業の間で、株主優待相当額を自然保護団体に寄付するなど、株主に優待制度を通じて環境、社会活動支援の機会を提供する動きが広がっている。ESG(環境・社会・企業統治)投資への関心の高まりを背景に、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を組み込んだ新たな財務戦略を打ち出し、新型コロナウイルス禍の厳しい経営環境の中で株主に訴求を図る。 スクロールは本年度、これまで自社グループ商品の割引に換えていた優待券の相当額を、県グリーンバンクに寄付できるよう変更した。寄付金は緑化ボランティア団体の支援などに充てる。保有株式100株から参加できる。担当者は「環境のために行動したいと考える株主を後押しし
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温泉効果データ検証 静岡県、3事業採択 伊豆旅行開発へ
静岡県は15日、伊豆地域で温泉を核としたヘルスケア産業創出を図る「ICOIプロジェクト」で、実証事業3件を採択した。温泉に情報通信技術(ICT)や食、スポーツを組み合わせた事業を展開し、参加者計約90人の身体データを測定して健康増進効果を科学的に検証する。健康への数値的根拠を伴った伊豆発の新たな温泉旅行商品の開発を目指す。 竹屋旅館(静岡市清水区)は沼津市で、身体装着型の携帯端末を使ったスマートヘルスツーリズム事業を提案。温泉と健康食、軽運動などを組み合わせ、睡眠の質の向上やストレス軽減効果などを実証する。竹内佑騎社長は「分かりにくいとされる温泉の効果を『見える化』できれば、他の温泉地との
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船舶のCO₂排出抑制へ 赤阪鉄工所 脱ディーゼル、LNGエンジン開発
海運業界で温室効果ガス排出削減の規制が強まる中、赤阪鉄工所が液化天然ガス(LNG)を使った同社初の非石油燃料の船舶エンジン開発に注力している。現行のディーゼルエンジン比で二酸化炭素(CO₂)排出量を25%削減する。2023年度の実用化を目指す。 開発中のエンジン「USE30G」はガス専焼式で、全長約5・5メートル、出力約1900キロワット。点火プラグを内蔵し、着火時も含め石油由来の液体燃料を使用しない。CO₂削減に加え、国際規制対象となっている大気汚染物質の硫黄酸化物(SOx)も排出しない。国内外の一部で配備済みの船舶用LNGエンジンの多くはディーゼル併用式で、ガス専焼式は先進的という。
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就職見据えた心構えは 静岡商議所青年部、静岡商高で講座
静岡商工会議所青年部は13日、高校生を対象にしたキャリア教育講座を静岡市葵区の静岡商業高で開いた。 同青年部メンバー6人が、1年生約200人に将来の就職を見据えた心構えや働くことの意義を説いた。 同区の企業で子育て関連事業を手掛ける小谷正成さんは、社会人の学び直しを意味する「リカレント教育」について説明し、「就職しても学びに終わりはない。自分なりの勉強の仕方、学習スタイルを身に付けて」と助言した。 パン店経営の長谷川誠さんはパン作りの魅力を語り、「社会に出て外の街と比較する視点を持つと、静岡の良さがよく分かる。皆さんも今のうちに、古里の良いところを学び、感じてほしい」と呼び掛けた。
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新アルミ製ひさしで建材事業強化 理研軽金属工業「第3の柱に」
アルミ製品製造の理研軽金属工業(静岡市駿河区)は、建築外装資材事業を強化する。商業施設や店舗向けに施工性や排水性を高めたアルミ製ひさしの新製品を投入し、5年後の同製品群の売上高目標を現状から約10倍の10億円に引き上げる。企業の省エネ、環境意識の高まりを背景に、遮熱や豪雨対策として外装建材の需要はさらに高まるとみて、製販一体戦略で業容拡大を図る。 同社のひさしは一体成型でなく、幅10センチの薄型中空のパネルを並べて組み合わせる方式。今年3~5月に発売した新製品2種類はパネルの断面形状を改良し、工具不要で簡単に接合可能にするなど、現場作業の省力化につなげた。 新製品の一つは先端部の高さを上
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巴川製紙所、半導体装置向け開発強化 冷却用シートや固定台
印刷用トナーや電子材料を手掛ける巴川製紙所が、半導体製造装置メーカー向けの開発を強化している。世界的な半導体増産の追い風を受け、2022年3月期の関連売上高は前期比1割強増加と好調を維持。既存の紙事業がデジタル化で市場縮小する中、極薄素材の高度な加工技術を生かし、冷却装置などの半導体関連製品群を新たな成長の柱に据える。静岡市内の拠点が生産を担う。 独自に開発した銅繊維シートやステンレス繊維シートを活用し、ヒートシンクと呼ばれる冷却装置や、紙のように貼って使える薄型ヒーターの量産化準備を進める。高い熱伝導性とシート形状を利点とし、装置の小型、軽量化につなげる。世界の製造拠点で半導体の高性能化
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4月の静岡県内求人1・27倍 2カ月連続全国上回る
静岡労働局が31日発表した県内4月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0・03ポイント上昇の1・27倍で、全国値(1・23倍)を2カ月連続で上回った。 単月の1倍台は15カ月連続。製造、卸売・小売業、宿泊業などで採用意欲が堅調に推移し、有効求人数は0・6%増の6万7356人と6カ月連続で増加した。 石丸哲治局長は県内雇用情勢は改善しているとしつつ、「原材料高騰の影響で企業からは利益率が落ちているとの話も聞く。非製造業も含め、今後の雇用動向を注視する」と述べた。 業種別の新規求人数は宿泊・飲食サービス業が前年同月比31・3%増、運輸・郵便業が28・2%増と伸長した。企業の生産回復を背景に
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株主総会、収益強化や企業統治注目 静岡県内、3月期決算上場企業
静岡県内に本社や主要生産拠点を置く3月期決算の上場企業の株主総会が、31日のスクロールからスタートする。6月中旬に本格化し、29日に13社が集中する。原材料高騰や円安が継続する中での収益強化策や、4月の東京証券取引所の市場再編に伴う企業統治の推進など、海外市場を視野に持続的な成長を模索する各社経営陣の発信力が注目される。 2022年3月期は新型コロナウイルス禍の影響が前年より緩和し、県内関連の多くの上場企業が増収増益を果たした。一方で、23年3月期は調達コスト増を織り込んで最終減益を見込む企業が目立つ。 22年3月期連結決算が3年ぶりの増収増益となったヤマハは、アジア市場での販売強化な
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記者コラム「清流」 会社選びの決め手は
「基本の休みは水曜と日曜。土日の連休は月に一度。でも、やりがいがある仕事です」。来春卒業予定の学生向けの就職説明会で、県中部の食品会社の人事担当者が熱弁を振るっていた。 食肉加工の会社で、全国で人気の商品にも原料を提供しているという。仕事は面白そうだ。それにしても、休日の説明がやたら長い。「最近の学生は休みを気にするので」。会場にいた各社の担当者が声をそろえた。 本当だろうか。複数の学生に聞いてみると、「休みも大切だが、もちろん業務内容で決める」「どうしてもやりたい仕事がある」と前向きな答えが返ってきた。福利厚生の説明は当然としても、やはり本業の魅力を熱く伝えることが、採用成功の近道だろ
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輸出型企業 円安継続で収益増見通し 1ドル115~126円想定
為替相場で歴史的な円安が続く中、輸出型の静岡県内上場企業各社は2023年3月期の通期業績予想で、根拠となる想定為替レートを個別に定め、円安効果を織り込んだ収益増を見通す。静岡新聞社の集計では、1ドル115~126円の範囲内で一定の円安継続を見込む。大半の新興国通貨に対しても円安で推移するとみられ、各社は各国為替の推移をにらみつつ、新型コロナウイルス禍から回復基調にある海外からの上乗せを狙う。 工作機械のエンシュウは、ドルを前期比約9円増の120・8円、ユーロを0・8円増の131・3円と設定した。受注環境改善を好材料に販売増を掲げ、今期の営業利益は66%の大幅増を見込む。同社は国内金融機関の
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EV、自動運転に照準 横浜で展示会 静岡県内企業が提案
国内最大規模の自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展」(自動車技術会主催)が25日、横浜市のパシフィコ横浜で始まった。電気自動車(EV)や自動運転車などの開発が急速に進む中、県内に本社や主要拠点を持つ約20社が国内外の企業と共に、次世代車に対応した新技術を発信した。27日まで。 変速機メーカーのジヤトコは、2020年代半ばに市場投入予定のEV向け駆動ユニット「eアクスル」を初披露した。佐藤朋由社長は30年に年間生産500万台を目指す方針を示し、「競争力のある商品を展開し、今後間違いなく進む電動化時代に対応していく」と強調した。 エフ・シー・シーは、クラッチ製造で培った加工技術を生かし、
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21社が人材確保へ発信 静岡市駿河区 新卒者向け合同説明会
2023年春卒業予定の大学、専門学校生らを対象にした「新卒のかんづめ・合同企業説明会」(静岡新聞社主催)が23日、静岡市駿河区のグランシップで開かれた。 製造、情報、福祉など主に県中部の21社がブースを設け、事業内容や福利厚生などを説明した。学生らはメモを取りながら熱心に聞き入った。 自動車部品メーカーの担当者は「電気自動車(EV)化や脱炭素化の渦中にあり、自動車関連は面白い業界。学生の皆さんにものづくりの魅力を知ってほしい」とアピールした。 静岡市内の大学4年の男子学生は「具体的な業務とやりがいについて企業側から聞くことができた。今後の就職活動に役立てたい」と話した。
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賃上げ実施78・3% 静岡県内企業22年度 静岡経済研調査
静岡経済研究所がまとめた静岡県内企業の昇給方針調査によると、2022年度に昇給を実施すると回答した企業は前年度比3・6ポイント上昇の78・3%だった。昇給額を前年度より増やすと答えた企業の割合も11・6ポイント上昇し、新型コロナウイルス禍前の水準に戻っていないものの、企業業績の回復などで賃上げに踏み切る企業の増加傾向が表れた。 3月上旬に調査し、212社が回答した。業種別の昇給実施率は製造業で82・5%、非製造業73・7%といずれも前年度を上回った。製造業は輸送用機器が90・0%と最も高く、うち3割弱が昨年より昇給額を増やすと答えた。 非製造業は建設業が90・5%と高い一方、コロナ禍で受
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静岡県内上場企業、純益10%増 コロナ影響緩和 3月期決算
静岡県内に本社や主要生産拠点を置く上場企業の2022年3月期決算が16日までに、ほぼ出そろった。静岡新聞社の集計では、売上高、純利益の合計がいずれも前年と比べ約10%増えた。新型コロナウイルス禍の影響が前年より緩和し、輸出型製造業では急激な円安も寄与した。足元では原材料・原油価格の高騰が幅広い業種に波及し、不透明な経営環境が続く中、各社は復調を成長軌道に乗せるための戦略構築を急ぐ。 決算を発表した東証上場企業のうち、金融機関と国際会計基準(IFRS)採用企業、16日現在未発表の1社を除く32社を集計した。 売上高合計は前年の21年3月期比9・8%増、純利益合計は10・7%増、経常利益合計
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増収も不透明感強く 静岡県内上場企業 2023年3月期業績予想
静岡県内上場企業32社(金融機関、国際会計基準採用企業など除く)が公表した2023年3月期の通期業績予想は、円安の継続や消費の回復傾向を見込み、27社が増収とした。一方、19社が最終減益を予想し、原材料・エネルギー価格の高騰が強いブレーキ要因となっている現状が浮かんだ。各社は調達戦略の見直しや価格転嫁などの対策を進め、円安に伴う調達コスト増の抑止を図る構えだ。 業績予想の売上高合計は前期比9・5%増。スズキは主力市場インドの開拓、小糸製作所は高付加価値製品の販売増でいずれも過去最高の売上高を掲げた。TOKAIホールディングスもガスや情報通信などでの契約増で業容拡大を目指す。物流センター事業
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協立電機 制御盤製造事業を強化 子会社統合、新工場建設
協立電機は、制御盤製造事業を強化する。7月に子会社メーカー2社を統合し、静岡市清水区に新工場を建設する。コロナ禍で減退していた工場の設備投資が国内外で回復基調に転じる中、品質と生産力を引き上げて需要増に即応する。 新工場は2階建てで延べ床面積約1700平方メートル。総工費約7億6千万円を投じ、10月稼働を予定する。生産能力を現状の1・5倍に高める。 子会社の協和電工とサンシン産業を合併し、協和サンシンエンジニアリング(同区)を新設する。従業員数は約60人。現子会社2社の売上高合計(2021年6月期)は約15億円で、新会社は3年後に30億円規模を目指す。 合併効果で開発力を高め、主に県内
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4月判断据え置き 静岡県内景気、静岡財務事務所
東海財務局静岡財務事務所は27日発表した4月の県内経済情勢で、総括判断を「一部に弱さがみられるものの、持ち直している」とし、前回1月の判断を据え置いた。 調査は1月から4月中旬にかけて実施した。白滝智彦所長は「ウクライナ情勢の悪化、新型コロナウイルス感染拡大に伴う中国・上海のロックダウン、急激な円安進行などで先行きは不透明。経済活動の停滞など下振れリスクに十分注意する必要がある」と述べた。 主要項目の個人消費、生産活動、雇用情勢のいずれも判断を据え置いた。個人消費では、家電販売は巣ごもり需要が一服したため横ばい、乗用車販売は供給不足の影響で弱含みになっている一方、観光消費は各種振興策の効
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卸売市場DXで支援 やさいバス、静岡市と連携 情報流通の仕組み構築
農業流通ベンチャー、やさいバス(牧之原市)は本年度、静岡市などと連携し、同市中央卸売市場のデジタルトランスフォーメーション(DX)支援事業を始める。生産者、卸業者、小売店、消費者をつなぐ市場にデジタル技術を導入し、品質向上や流通効率化、市場の競争力強化につなげる。農林水産省によると、公設卸売市場でのDXは全国的にも先進的という。 本年度は、出荷から買い付けまでの取引のペーパーレス化、商品情報の共有化などの実証実験を展開する。やさいバスが自社の農産物輸送事業で採用する情報タグを活用する方針。市場を開設する静岡市は、卸・小売などの各事業者にDXの有用性を周知し、協力を求める方針。 2023年
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BCP策定49% 静岡県内の中小企業、コロナ禍で意識向上
静岡県がこのほどまとめた県内中小企業の事業継続計画(BCP)の策定状況調査によると、2021年度のBCP策定率は「策定済み」と「策定中」を合わせて49・3%で、前回の19年度調査から6・2ポイント上昇した。隔年実施している09年度以降の調査で最も高かった。 策定率は東日本大震災後の11年度が22・0%、13年度28・8%、15年度39・1%と徐々に向上していた。21年度の調査結果について、県は「コロナ禍や半導体不足に伴うサプライチェーン(調達網)の混乱が長引き、企業の危機意識が高まった」(商工振興課)と分析している。 規模別では、従業員50人以上で19年度比7・9ポイント上昇の63・3%
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世界情勢、円安の影響は 静岡県内上場企業、27日から決算発表
静岡県内に本社や主要拠点を置く上場企業の2022年3月期決算の発表が27日、始まる。ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界経済の変調や急激な円安進行が、一定の回復基調にあった各社の業績にどう影響しているかが焦点となる。4月の東京証券取引所の市場再編後、初の決算開示でもあり、各社トップが新市場区分に応じた企業統治や株式流動性向上の追加策を示すかにも注目が集まる。 金融機関や国際会計基準(IFRS)採用企業を除く県内33社の21年4~12月期決算では、純利益の合計は前年同期比26・6%増となるなど、特に製造業で世界的な需要回復を背景に業績が改善した。22年3月期の業績予想を上方修正する企業も複数あっ
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メタバース市場参入 ユピテル・安楽会長「静岡発で」
車載機器メーカー、ユピテル(東京都)の安楽憲彦会長兼CEOは21日、静岡市葵区に新設した研究所2号棟の完成式典で「グループ総力戦で、静岡から(インターネット上の仮想空間の)メタバース市場に本格参入していく」と述べ、同施設でAR(拡張現実)やAI(人工知能)関連の技術開発に注力する方針を示した。 安楽氏は、メタバース関連技術として、仮想空間内に再現された同研究所の3Dショールームで見学や買い物を楽しめるサービス「バーチャルミュージアム」を公開した。新たなコンテンツビジネスとして、自社のオリジナルアニメキャラクター3体でつくるユニット「羽衣6」も発表し、ARやメタバースと連動した事業創出を目指
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上海の都市封鎖、進出企業に影響 静岡県内各社 操業停止や部品供給遅れ
中国上海市で3月末から続く新型コロナウイルス対策の都市封鎖(ロックダウン)を受け、同国に進出する静岡県内関連企業の一部事業拠点で操業停止や部品供給の遅れなどの影響が出ている。都市封鎖が長期化する可能性もあり、各社は業績への影響を見極めつつ、中国政府の対応を注視している。 上海市内は外出制限が継続し、港湾などの封鎖で物流も停滞しているという。芝浦機械の現地子会社の工場は4月初旬から稼働を止め、再開のめどは立っていない。担当者は「中国は世界的にも早い段階でコロナ禍から立ち直った印象があった。また都市封鎖が起きるとは」と驚く。 ハマキョウレックスの現地子会社の物流センターも業務停止中で、アパレ
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円安進行 輸出型企業、為替動向を注視 功罪両面「急進望まず」
東京外国為替市場で13日に約20年ぶりに1ドル=126円台を付けるなど、円安ドル高が急速に進んでいる状況を受け、輸送機器や工作機械など県内輸出型産業各社が為替動向を注視している。海外販売に伴う自社の収益増を歓迎する一方、高騰が続く輸入原材料価格のさらなる上昇や、取引先の国内企業全体の業績悪化につながるとみて、「これ以上の円安は望ましくない」と不安が広がる。 昨年来、鉄やアルミ、樹脂などの原材料価格は軒並み高騰し、コンテナ価格の上昇で海外輸送費が各社の経営を圧迫している。自動車部品メーカー、共和レザーの担当役員は「円安によるプラスの側面も確かにあるが、仕入れや輸送の経費増もインパクトが大きい
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介護休業取得1600社で58人 男性や非正規少なく 静岡県内
静岡県が地域企業約1600社を対象に初めて実施した介護休業取得調査によると、2020年度に介護休業を取得した従業員は58人にとどまった。性別では女性が63%、雇用形態別では正社員が77%を占め、男性や非正規社員の取得者が少ない実態も浮かんだ。 取得者58人を業種別にみると、医療・福祉(18人)と製造業(15人)が多かった一方、卸売・小売業は5人、宿泊・飲食サービス業は1人と少なかった。企業規模別では50~99人と100~299人で各15人。9人以下はゼロだった。 性別は女性が37人、男性が21人。雇用形態別は正社員が45人、正社員以外は13人となった。 介護休業は要介護の対象家族1人に
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次世代車インフラ強化 EV充電器5000基設置 30年度までの静岡県エネルギー戦略
静岡県は2022~30年度のエネルギー総合戦略を策定し、30年度までに電気自動車(EV)の急速充電器を静岡県内に5千基設置するなど、次世代自動車関連のインフラ整備を強化する。燃料電池車(FCV)に水素を供給する「水素ステーション」も増設するほか、県の公用車を全て電動車に切り替えるなど、電動車普及と温室効果ガス削減を両輪で進める。 EV、プラグインハイブリッド車(PHV)、FCVの合計普及台数を30年度に約40万台と推計し、「国の掲げる『グリーン成長戦略』を踏まえて販売拡大が見込まれる一方、充電施設が不足している」と指摘。 民間企業の協力を得てEV充電器を現在の約970基の約5倍に、水素ス
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スズキ世界生産1.4%増 2月四輪、インド輸出伸ばす
スズキが30日発表した2月の四輪車実績は、インドからの輸出を増やした影響で海外と国内を合わせた世界生産は前年同月比1・4%増の27万4782台と7カ月ぶりに前年同月を上回った。 国内生産は4・2%増の7万8451台。半導体不足で湖西、相良両工場で夜勤を1~3日間取りやめたものの、東北地方での地震発生により一時部品不足となった昨年2月に比べ、供給減の影響が小さかった。 主力のインドは0・9%増の16万9626台で、2月単月としては過去最高だった。半導体の使用が少ないアフリカや中南米向けの車両生産を増やし、半導体不足の影響を抑えた。現地の需要喚起政策の効果もあり、インドネシアは33・6%増、
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官民連携で脱炭素推進 浜松経済同友会、地域産業振興へ提言
浜松市の企業経営者らでつくる浜松経済同友会は29日、温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル(CN)」の推進と地域経済振興の両立に向けた対策をまとめ、同市に提言した。「ものづくり産業の国際競争力強化にはCN対応が不可欠」とし、官民連携の重要性を強調した。 年間を通して晴天の日が多く、林業が盛んな地域の特性を生かし、太陽光など再生可能エネルギーの活用拡大や、二酸化炭素(CO2)削減に向けた地元木材の利用促進を求めた。再生可能エネルギーの地域自給率向上へ、蓄電技術の開発と普及も重要とした。 同市中区で開いたシンポジウムで、同友会の田村元政策委員長(浜名ワークス社長)は「欧州主
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ボーイスカウト浜松第15団 寺田さん(中区)に林野庁表彰
NPO法人日本ボーイスカウト浜松第15団の寺田智成さん(56)=浜松市中区=が、このほど、2月に林野庁関東森林管理局が開いた森林利活用技術の発表会「森林・林業技術等交流発表会」で最優秀賞の次点となる優秀賞を受賞した。約5年間、同団で継続した竹林整備の技術や創意工夫が高く評価された。 竹林が適切に管理されずに放置される「放置竹林」は全国的な問題になっている。同団は2017年から北区引佐町の寺院敷地にある竹林で、切った竹を食器やオブジェに加工したり、燃料や園芸資材として再利用したりする活動を継続。竹チップを土壌に混ぜた畑で野菜を育て、地域に寄付する取り組みも進める。 オンラインでの発表会には
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河合楽器 設備投資70億円 新中期計画、ブランド力強化
河合楽器製作所は25日、4月から3カ年の新中期経営計画を発表した。創立100周年となる2027年を見据え、ブランド力と生産販売態勢の強化を掲げた。3年間で計70億円の設備投資を行い、インドネシア工場の生産を拡充するほか、グランドピアノのマザー工場として竜洋工場(磐田市)の展示・発信機能を高める。 最終年度の25年3月期の売上高目標は22年3月期見込み比7・8%増の900億円。経常利益は17・2%増の68億円、純利益は18・9%増の44億円と過去最高を見込む。 23年度にインドネシアの電子ピアノ工場を増強し、生産能力を2~3割程度向上させる。竜洋工場ではグランドピアノの旗艦モデル「シゲルカ
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「空飛ぶ車」開発へ スズキとベンチャー企業が連携協定
スズキとベンチャー企業のスカイドライブ(愛知県豊田市)は22日までに、「空飛ぶ車」と呼ばれる有人小型モビリティの実用化に向けた連携協定を締結した。機体開発や海外市場開拓などで協業を検討する。スカイドライブは完成車メーカーと初めて連携し、同社が掲げる2025年の事業化に向けて軽量、小型の機体開発を急ぐ。 スカイドライブは2人乗りの電動垂直離着陸機を開発中。25年大阪・関西万博の会場輸送での活用を目指し、21年には国土交通省に国の安全審査の手続き「型式証明」を申請した。国内で飛行実験を進める1人乗りの試験機は全長約4メートル、重量250キロ(バッテリーを含む)。実験では高さ5メートル以下の施設
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スズキ、インドに車載電池工場 26年稼働 脱炭素へ州政府と覚書
スズキは20日、インドの電動化対応で計約1500億円(約1044億ルピー)の新規投資を行う計画を正式に発表した。2025年に同国西部グジャラート州の乗用車工場で電気自動車(EV)の生産ラインを、26年に同工場隣接地でEV用車載電池工場をそれぞれ稼働させる。同社は19日、同州政府と脱炭素の実現に向けた投資の覚書を締結した。 EV、電池の生産規模は明らかにしていない。25年には同州で同国内2カ所目となる車両解体・リサイクルの工場も新設する。EV生産に約445億円(約310億ルピー)、車載電池工場建設に約1049億円(約730億ルピー)車両解体工場に約6億円(約4億ルピー)を投資する。 同国ニ
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プロレスで「元気に」 浜松市中区でチャリティー展
コロナ禍で困窮した家庭の支援を目指す展示会「チャリティープロレスグッズ展」(静岡新聞社・静岡放送後援)が27日まで、浜松市中区のJR浜松駅ビルの商業施設メイワンで開かれている。 同市のNPO法人「プロレスで浜松を元気にする会」が企画し、国内の人気プロレスラーが使用したマスクやコスチュームを含め、プロレス用衣装約50点を展示した。チャンピオンベルトのレプリカを用意し、写真撮影ができるコーナーも設けた。 期間中の入場料収入の一部を、市内の困窮家庭などに食事を提供する「子ども食堂」に寄付する。同NPOは昨年もプロレスの慈善興行を開催した。中区のプロレスマスク製造会社代表の神谷淳理事長は「困って
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前向きに人生楽しんで 浜松商議所大会 池谷教授(東大)が講演
浜松商工会議所は11日、本年度の会員大会を浜松市中区のホテルで開いた。会員約180人が参加し、東京大薬学部の池谷裕二教授(藤枝市出身)が「衰えない脳と生きる」と題して講演した。 脳内で記憶をつかさどる部位「海馬」を研究する池谷さんは「『加齢で記憶力が衰える』というのは俗説。脳自体は経年劣化しない」と説明した。 記憶力が衰えたように感じる理由として「保有する知識量が増える一方で、若い時に比べて積極的に覚えようとしていない。脳にとってはマンネリが最大の敵」と指摘。「物事を前向きに捉え、人生を積極的に楽しむ姿勢が非常に重要」と呼び掛けた。 大会の冒頭、創業100年を迎えた会員事業所8社の表彰
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ウクライナ情勢「影響」過半数 エネルギー、穀物価格懸念 静岡県西部の中小企業調査
地域シンクタンク「しんきん経済研究所」(浜松市中区)は11日、ロシアのウクライナ侵攻に伴う県西部中小企業への影響調査の結果をまとめた。事業へのマイナス影響について「既に出ている」と「今後出てくる」と答えた企業は計53・1%と過半数を占めた。エネルギーや穀物の価格上昇を懸念する意見も多く、ウクライナ情勢悪化の影響が中小企業の経営を圧迫し始めている実態が浮き彫りになった。 8、9の両日にメールで213社が回答した。内訳は製造業が約51%、非製造業が約49%。 マイナス影響を尋ねる質問には「既に出ている」が14・6%、「今後出てくる」が38・5%。「プラス影響がある」との回答はゼロだった。
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サイバー攻撃への備え強化 トヨタ被害受け、静岡県内部品メーカー
トヨタ自動車が1日に取引先のサイバー攻撃被害の影響で国内全工場の稼働を停止したことを受け、県内の部品メーカーがサイバー攻撃への警戒を強めている。大手を中心に、ハッキング防止などコンピューターシステム上の対策を講じている企業は多いが、各社は不審なメールの添付ファイルを開かないなど、改めて従業員の意識啓発に力を注ぐ。 2日、県西部の部品メーカー社員は「今日も社内連絡を装った怪しいメールが届いた。発信者のメールアドレスが自社と違ったので、偽物と分かった」と不安そうに語った。 トヨタの稼働停止の一件は、部品メーカー1社が「ランサムウエア」と呼ばれるコンピューターウイルスに感染して受発注できなくな
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スズキ世界生産9.4%減 1月四輪実績 国内の部品不足響く
スズキが25日発表した1月の四輪車実績は、主に国内で部品不足に伴って生産、販売が減少した影響で、海外と国内を合わせた世界生産が前年同月比9・4%減の24万224台、世界販売が5・9%減の23万6645台といずれも6カ月連続で前年同月を下回った。 国内は湖西、相良の両工場の稼働減が響き、33・5%減の5万1830台。取引先の部品メーカーで新型コロナウイルスの感染者が出て部品供給が滞り、湖西は1日、相良は2日間稼働を停止したほか、両工場で3~6日間夜間操業を取りやめた。 一方、主力のインドの生産は0・2%増の16万1366台と6カ月ぶりに前年同月を上回った。現地の需要喚起政策の効果もあり、イ
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「脱炭素、製造業全体で」 スズキ、講座で事例報告
次世代自動車センター浜松(浜松市中区)は24日、製造業のカーボンニュートラル(CN)対応をテーマにした初のセミナーをオンラインで開いた。スズキが取引先を含めた二酸化炭素(CO2)削減策を報告した。 スズキ法規認証部の黒田明浩部長は、材料調達から廃棄まで車1台の生産全工程でのCO2排出量を算出する手法「ライフサイクルアセスメント(LCA)」を示した上で、LCAに基づく2020年度の同社の全取引先のCO2総排出量のうち、原材料や部品製造段階での排出量が車両製造時の約9倍に至ったと説明。「完成車メーカーだけでなく、部品メーカーの対応も重要」と強調した。 スズキ本体の取り組みとして、金型の保熱で
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EV化の波の中で 普及、環境対応に課題【風紋】
「生き残るために、必ず新事業を成長させる」。EV(電気自動車)化対応の取材で訪れた県西部の自動車部品関連の中小企業。決して最新式とは言えない工作機械が並び、社員が忙しそうにガソリン車用の部品を加工していた。若手の社長は新事業に据えるEV対応の部品を示し、「急がなければ」と悲愴(ひそう)感を漂わせた。 確かに昨年は、欧米や日本の大手自動車メーカーが2030年代のEV専業化などの方針を相次いで表明し、世界のEV化加速の流れを強く印象づけた。二酸化炭素(CO2)排出量のルールが厳格化された欧州、世界一の車載電池大国でハイブリッド車(HV)技術が日本より弱い中国など、EV化に突き進む事情は各国さま
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スズキの鈴木修相談役に「渋沢栄一賞」 経営、社会活動を評価
埼玉県などは14日までに、全国の優れた企業経営者を顕彰する「渋沢栄一賞」の本年度受賞者に、スズキの鈴木修相談役ら3人を選出した。 鈴木相談役は、インドやハンガリーなど海外に積極進出し、1979年発売の「アルト」などで軽自動車の普及と発展に尽力した功績のほか、スズキ財団などの財団を設立して学生や若手研究者を支援した社会活動が併せて評価された。 大野元裕知事が出席した同日のオンラインの表彰式で、鈴木相談役は「国家の発展に多大な貢献をされた渋沢先生の偉大な足跡に一歩でも近づけるよう、技術者の支援や青少年の教育に精進したい」と謝辞を述べた。 同賞は2002年から始まり、今回が20回目。本年度は
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スズキ労組、賃上げ7500円要求 「総額」方式で2年連続
スズキ労働組合(組合員約1万6千人、武藤憲司中央執行委員長)は13日、浜松市内でオンラインを交えて中央委員会を開き、2022年春闘で定期昇給と賃金改善を合わせた総額として組合員平均月7500円の賃上げを要求する方針を決めた。 昨年と同額で、総額方式での要求は2年連続。年間一時金は前年要求から0・1カ月引き上げ、5・4カ月(夏季、年末ともに2・7カ月)を求める。16日に会社側に要求書を提出して交渉に入り、3月16日に回答を受ける予定。 スズキの21年4~12月期連結決算は半導体不足が響いたものの、コロナ禍で生産が急減した前年同期からの反動増もあり、3年ぶりに増収増益となった。 武藤中央執
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スズキ増収増益 4~12月期決算、原材料高騰で足元は厳しく
スズキが4日発表した2021年4~12月期連結決算は、コロナ禍で生産が急減した前年同期からの反動増もあり、3年ぶりに増収増益となった。一方で、部品供給不足の影響で国内工場は今年1月以降も生産が安定せず、原材料価格の高騰も続くなど、足元の経営環境は依然厳しい。 売上高は前年同期比18・3%増の2兆5743億円、営業利益は5・7%増の1466億円で、いずれもコロナ前の19年4~12月期の水準には戻っていない。円安は収益にプラスに働いたが、原材料価格の高騰が営業利益ベースで890億円の減益要因になった。 経常利益はインドでの投資信託売却に伴う受取利息を計上し、16・6%増の2038億円。純利益
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スズキ 年間減産幅を縮小 通期売上高を上方修正
スズキは4日、2022年3月期の全世界の四輪車生産台数について、期初計画から65万4千台引き下げるとしていた減産幅を41万台に縮小し、282万3千台とする見通しを明らかにした。通期の連結売上高予想も、前回の昨年11月にいったん引き下げた3兆2千億円から3兆4千億円に上方修正し、昨年8月に初公表した通期予想水準に戻した。 昨年11月時点で世界生産台数を257万9千台としていた。今回、半導体や部品の調達状況が態勢強化の効果も含めて改善したとして、国内で1万8千台、インドなどアジアで24万1千台分を上方修正した。欧州は部品不足で1万5千台減を見込んだ。 長尾正彦取締役は「影響を厳しく読み、国内
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スズキ四輪 世界生産300万台割れ コロナ影響、2年連続
スズキは28日、2021年の四輪車生産販売実績を発表した。20年よりはコロナ禍の影響度合いが縮小し、海外と国内を合わせた世界生産は前年比11・1%増の286万5652台だった。前年比としては3年ぶりの増加となったが、2年連続で300万台を下回った。21年12月、22年1月も部品供給不足の影響が尾を引き、足元の生産・市場環境は不透明な状況が続く。 世界生産、世界販売ともに、コロナ禍前の19年の水準には戻っていない。21年の海外生産は20・6%増の199万725台。主力のインドは4~5月に稼働停止した前年からの反動増で、166万5811台と23・3%増加した。現地の需要喚起政策の効果もあり、イ
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スズキ、中古車でサブスク 月額2万9000円から 気軽さ若者に訴求 埼玉、大阪で開始
スズキは26日、同社初の中古車のサブスクリプション(サブスク、定額課金制)サービス「スズキ定額マイカー」を開始した。若い世代の車離れが指摘される中、低価格で気軽に車を利用できる機会を提供し、将来の新車購入にもつなげる。 当初は埼玉県と大阪府のスズキ自販2店舗で始め、両府県在住者を対象とする。今後、静岡県を含め対象エリアを拡充する予定。 利用できる車はアルトやハスラー、スイフトなど軽、小型9車種。期間は6カ月で再契約もできる。月額利用料は車種で異なり、自動車保険料や自動車税を含めて税込み2万9千円から6万円。全車種とも同社の予防安全技術「セーフティサポート」のほか、カーナビや自動料金収受シ
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浜松いわた信金、合併3年 伴走型支援、SDGs推進で課題解決強化
浜松いわた信用金庫(浜松市中区)が2019年1月の合併で誕生してから、21日で3年が経過した。預金・貸出金規模などで静岡県内最大の同信金は「伴走型支援」「SDGs(持続可能な開発目標)」の推進を打ち出し、地域中小企業の課題解決力の強化に取り組んできた。コロナ禍やマイナス金利で厳しい経営環境が続く中、人材と組織を磨き上げ、提案力と収益力の両立を図る。 特に注力する取り組みが伴走型支援だ。本年度、専門職として新設した「ビジネスパートナー(BP)」に職員136人を充て、これまでに約1600社を訪問。経営者と面談を重ねたり社内会議に参加したりして企業と課題を共有し、新事業の可能性を探る。 輸送機
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人材育て中小課題対応 全国信用金庫協会長 御室健一郎氏【新春トップインタビュー】
―国内外の経営環境をどう見通すか。 「新型コロナウイルスのオミクロン株感染が急拡大し、日常生活、企業経営の両面で先行きの不透明感が増している。米中関係や中国経済の減退が世界経済全体に及ぼす影響も大きく、本格的な世界経済の回復にはある程度の時間を要すると見込む。コロナ前の経済状況に早く戻せるよう国際協調を進め、停滞からテークオフ(離陸)の段階に入ることを目指さなければならない」 ―地域の中小企業の現況は。 「輸送機器関連は原材料価格高騰の影響が続き、飲食・レジャー業界は一時の最悪期は脱したものの、本格回復には遠い状況だ。人口減少や地域経済の縮小といった構造的な問題、EVシフトに代表される
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企業の若手が新規事業提案 ユタカ技研が最優秀賞 浜松で審査会
浜松市内の製造業や金融機関の若手社員らが2021年9月から約4カ月にわたって新事業のアイデアを練り上げ、市内での審査会でこのほど発表した。自動車部品メーカーのユタカ技研(同市東区)のチームが、乳幼児の泣き声を低減するだっこひもを提案し、最優秀賞を受賞した。 同社とエフ・シー・シー、ローランドディー・ジー、浜松いわた信用金庫の中堅、若手社員のほか、静岡大の学生チームが参加した。市販時期や資金調達、市場分析など、実際のビジネスに即して具体的な事業案を詰めた。浜松市が後援した。 同市中区の起業家支援拠点「フューズ」での発表会で、地元企業役員や鈴木康友市長らの審査を受けた。ユタカ技研のチームは
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スズキは3.3%減 11月、部品不足響く
スズキが24日発表した11月の四輪車実績は、半導体や部品の不足に伴う国内外の生産減が響き、海外と国内を合わせた世界生産が前年同月比3・3%減の25万8862台、世界販売が9・5%減の22万9815台といずれも4カ月連続で前年同月を下回った。 主力のインドの生産は14万5451台で3・1%減少した。月初には15%減を見込んでいたが、減少幅を抑えた。タイは21・4%減、ハンガリーは6・7%減だった。一方、現地での需要喚起政策の影響で、インドネシアは20・4%増加した。 国内は相良工場の一時停止などが響き、4・2%減の8万4382台と6カ月連続で前年同月を下回った。 海外販売ではインドが18
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自ら動き、彩りある街へ 斉藤薫/浜松商工会議所新会頭【聞きたい】
浜松商工会議所の第21代会頭に8日に就任した。遠州鉄道(浜松市中区)から約30年ぶりの商議所トップとして、コロナ禍で疲弊した中心街のにぎわい創出を掲げるほか、脱炭素や電動化の波に直面するものづくり企業の高度化支援を目指す。地域活性化へのビジョン、戦略を聞いた。 ―浜松市の地域経済の現状をどう見るか。 「郊外に大型商業施設が複数進出し、浜北区などで人口が増加する一方で、中心街の存在感は低下している。足元では新型コロナの感染者減に伴い、経済活動は徐々に再開しつつあるが、飲食、宿泊業は団体利用が振るわず厳しい。産業全体では製造業のグローバル化、人口減少、内需の縮小など構造的な課題を抱えている」
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EV化の流れ加速 中小の対応策急務【追跡しずおか2021④】
トヨタ自動車が2030年の全世界の電気自動車(EV)販売目標台数を350万台に引き上げると発表した翌日の15日。湖西市の自動車部品メーカー汐見製作所の工場では朝から、エンジンや車体などに使う部品のプレス作業が続いていた。「世界の電動化の流れは止まらない。いち早く対応できなければ、生き残っていけない」。見山圭二社長(43)はトヨタの決断を受け、将来への強い危機感を語った。 昨年12月下旬に当時の菅義偉首相が脱炭素に向けた新政府方針「グリーン成長戦略」を発表してから丸1年。EV導入を巡るメーカーの動きは国内外で急加速している。スズキは25年をめどに軽自動車規格のEVの市場投入を目指し、今年7月
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クラフトビール軸に中心街活性 平野啓介/丸八不動産社長【聞きたい】
クラフトビールを軸にした新規出店や文化の発信拠点となるビルの運営など、浜松市の中心市街地の活性化に取り組む。百貨店「松菱」の経営破綻から20年が経過し、コロナ禍で依然厳しい局面が続く中心街の反転攻勢に向け、戦略を聞いた。 ―クラフトビールをどのようにまちづくりに生かしているか。 「地域で醸造して地域で消費するクラフトビールはこの数年で国内市場が拡大し、文化としても注目度が高まっている。2018年に中心街の中区田町に醸造所兼ビアバーを開設したのは『メードイン田町』のビールを作りたいと考えたから。まちづくり団体と協力して県内外のクラフトビールを集めたイベントを定期開催し、今年11月には静岡市
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移住、交流促進策 企業の枠超え提案 浜松で「研鑽会」会合
東京海上日動火災保険浜松支店は16日、次世代のリーダー育成プログラム「はままつ創生研鑽(けんさん)会」(静岡新聞社・静岡放送後援)の最終会合を浜松市中区のアクトタワーで開いた。市内約20企業・団体の中堅社員が4グループに分かれ、「持続可能なまち」をテーマに浜松地域の活性化策を発表した。 移住促進を検討したグループは、同市への移住者や学生ら約150人を対象にしたアンケート結果を踏まえ、地元情報のパンフレット作成や交流イベント開催など移住後の生活支援策を提案した。 中山間地域と市街地の交流促進を掲げたグループは天竜区佐久間町をモデル地区として、企業が研修や交流に使用できる多目的スペースの設置
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スズキ「アルト」 燃費、低価格を追求 簡易HVで環境に配慮、100万円以下も設定
スズキが10日に発表した22日発売の新型「アルト」。モーターでエンジン走行を補助するマイルドハイブリッドをアルトでは初めて搭載し、鈴木俊宏社長は軽自動車での環境負荷軽減を推進する姿勢を強調した。自動車業界では2022年以降に軽の電気自動車(EV)の市場投入が予定され、開発競争が激化する中、スズキは低価格戦略を含めた「げた代わりの軽」の提案で生き残りを図る。 1979年に登場したアルトは、同社車種トップの累計526万台を販売した旗艦モデル。今回の9代目は衝突被害軽減ブレーキや六つのエアバッグなどを備え、最も安い車種で約94万円と100万円以下に抑えた。鈴木社長は初代アルトの大ヒットの要因とな
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アルトは軽の礎 スズキ社長一問一答 7年ぶりフルモデルチェンジ
スズキは10日、主力の軽自動車「アルト」を7年ぶりにフルモデルチェンジし、22日に発売すると発表した。鈴木俊宏社長のオンライン記者会見の主な発言は次の通り。 ―9代目となる新型アルトの特徴は。 「歴代アルトが守ってきた求めやすさ、扱いやすさを変えずに、(モーターがエンジン走行を補助する)マイルドハイブリッドや安全装備を採用し、利便性を高めた。下駄代わりに乗ってもらうという軽自動車のベーシックな部分をしっかりと押さえた」 ―スズキにとってのアルトの位置づけは。 「軽の基礎を築いたという意味で、スズキにとっても、日本の軽にとっても非常に重要な車だと思う。カーボンニュートラル(CN)が求め
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スズキ「アルト」7年ぶりフルモデルチェンジ 上位車種に簡易HV採用 燃費、軽でトップ
スズキは10日、軽自動車「アルト」を7年ぶりにフルモデルチェンジし、22日に発売すると発表した。上位車種にはモーターがエンジン走行を補助するマイルド(簡易版)ハイブリッドシステムを採用し、低燃費と環境負荷軽減の両立を図る。 1979年発売のアルトは今回が9代目となる。燃費は1リットル当たり27・7キロ(WLTCモード)で、同社によると、軽自動車でトップという。 夜間の歩行者もカメラで検知する衝突被害軽減ブレーキなど、多彩な運転支援機能を備えた。前モデルと比べ室内を45ミリ高くし、居住性を向上させた。外観は従来より丸みを帯びたデザインに仕上げた。 10日のオンライン記者会見で鈴木俊宏社長
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浜松商議所 斉藤新会頭就任 中心街、製造業支援に力
浜松商工会議所は7日の臨時議員総会で、3期約8年務めた大須賀正孝会頭(80)の後任に、斉藤薫遠州鉄道社長(68)が8日付で就任する人事を決定した。斉藤氏は同日の記者会見で「まちなか活性化、観光、ものづくり振興に向け、地域、行政、大学と連携して浜松の発展に尽くす」と述べ、中心市街地活性化や製造業の次世代技術対応の支援に注力する姿勢を示した。 斉藤氏は、浜松市の中心街にある地元企業やまちづくり団体運営の複数の起業家支援拠点を挙げ、「活動を有機的に結びつけて開業率を高めたい」と提案した。浜松が舞台になる2023年の大河ドラマ放映などを好材料として観光振興にも力を入れるとした。 産業支援策として
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スズキ つながる「軽」国内投入 事故時に自動通報/空調など遠隔操作 スペーシアに搭載
スズキは3日、インターネットによる通信機能を備えた「コネクテッドカー(つながる車)」のサービスを、インドに続いて国内で始めると発表した。第1弾として24日、一部仕様を変更して発売する軽自動車「スペーシア」に導入し、事故時などの自動通報や車両情報の遠隔把握に対応する。今後、他車種への搭載を目指して改良を図る。 車載通信機を通じて車両とインターネットを接続する。車両が強い衝撃を検知すると、24時間対応の専用コールセンターに緊急通報する。体調が悪くなった場合も、車内の専用ボタンでコールセンターにつながる。スマートフォンの専用アプリを使い、遠隔でエアコンやドアロックを操作できるほか、駐車位置や運
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新会頭に斉藤・遠鉄社長 浜松商議所内定 副会頭に望月氏
浜松商工会議所の大須賀正孝会頭(80)は29日、浜松市内で記者会見を開き、会頭を12月7日付で退任し、次期会頭に副会頭で遠州鉄道社長の斉藤薫氏(68)が内定したと発表した。 大須賀氏はコロナ禍での中小企業支援、中心市街地活性化、自動車関連産業の電動化対応などを地域経済の課題に挙げた上で、斉藤氏に「私にないものを持っている人。浜松地域のためになる取り組みをお願いしたい」と託した。 人事案は29日に開いた正副会頭経験者7人の会合で了承された。副会頭はスズキ参与の藤田正治氏(72)が退任し、新たに同社参与で浜松地域イノベーション推進機構次世代自動車センター長の望月英二氏(66)が内定した。7日
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スズキ世界生産23%減 10月四輪 3カ月連続前年割れ
スズキが29日発表した10月の四輪車実績は、半導体や部品の不足に伴う国内外の生産減が響き、海外と国内を合わせた世界生産が前年同月比23・0%減の23万4224台、世界販売が21・3%減の21万8014台といずれも3カ月連続で前年同月を下回った。 主力のインドの生産は26・2%減の13万4663台。月初には4割減を見込んでいたが、若干挽回した。ハンガリーは51・8%減と苦戦した。一方、インドネシアは同国政府の需要喚起政策の効果で27・2%増加した。 国内は湖西工場の一時停止などが響き、16・9%減の7万6260台と5カ月連続で前年同月を下回った。 海外販売ではインドが32・4%減と落ち込
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浜松商議所の新会頭、斉藤氏内定 中心街再生手腕に期待
浜松商議所の次期会頭に29日、副会頭で遠州鉄道社長の斉藤薫氏(68)が内定した。運輸・小売業出身の会頭は約30年ぶりで、中心市街地の再生や、次世代のものづくり対応など浜松地域の経済振興への手腕に期待がかかる。一方、地元政財界からは、約8年にわたりトップを務めた大須賀正孝会頭(80)のリーダーシップを評価する声が相次いだ。 遠州鉄道からは元会長の石津薫氏(16代、1990~96年)以来の会頭となる。斉藤氏は県バス協会長などを歴任し、官民のまちづくり組織「浜松まちなかにぎわい協議会」会長を務める。19代会頭で、浜松いわた信用金庫会長の御室健一郎氏は「まちなかで事業を続ける経営感覚を生かし、コロ
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軽トラ市 浜松の食が集結 感染対策講じ2年ぶり開催
浜松市の特産品を発信する秋の恒例行事「軽トラはままつ出世市」が28日、同市中区の鍛冶町通りなどで2年ぶりに開かれた。歩行者天国にした通りに新鮮な野菜や果物などを積んだ軽トラック約30台が並び、中心街は多くの市民でにぎわった。 コロナ禍の状況を踏まえ、軽トラの台数を例年の半分以下に抑えたほか、会場内は飲食禁止にして動線も一方通行にするなど感染防止策を講じた。 地元の生産者や農業法人などが白菜や里芋、柿、ミカンなどの産物を販売し、マスクを着けた買い物客らが旬の食材を買い求めた。短時間で完売するブースもあった。 同区の肴町通りでも地元商店街7店が乾物などを街頭販売し、人気を集めた。肴町発展会
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スズキ 欧州でSUV発売 12月、エスクロスを全面改良
スズキは25日、海外向けの新型スポーツタイプ多目的車(SUV)「S―CROSS(エスクロス)」を12月から欧州で発売すると発表した。小型車「SX4 S―CROSS」を8年ぶりに全面改良した。 ハンガリーの子会社マジャールスズキで生産を始めた。今後、中南米、大洋州などへも輸出する。 車体正面のフロントグリルを変更し、車体全体をシャープで力強いデザインに仕上げた。衝突被害軽減ブレーキや全方位モニターなど多彩な運転支援機能を搭載した。欧州仕様車はモーターでエンジン走行を補助するマイルド(簡易版)ハイブリッドシステムを採用した。 同日のオンライン発表会で鈴木俊宏社長は「スズキのSUVへの思いを
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スズキ 鈴木俊宏社長インタビュー「軽EV 2025年までに」
スズキの鈴木俊宏社長は24日、浜松市内でインタビューに応じ、2025年までに国内で軽自動車規格の電気自動車(EV)の販売を目指す方針を明らかにした。 22年5月から日本自動車工業会の副会長に就く鈴木社長は「軽自動車という芸術品を進化させる取り組みが必要」と強調し、電池開発と充電インフラの整備、低コスト化を普及促進の課題に挙げた。自社の軽EVの価格帯として「補助金を含め、実質100万円台に下げることが必要」との認識も示した。 軽EVを巡っては日産自動車と三菱自動車が共同で22年度初頭、ホンダが24年にそれぞれ発売する方針を示している。スズキは本年度からの中期経営計画で25年以降に電動化技術
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遠州鉄道に新たな発車メロディー 新浜松駅で1カ月間限定
遠州鉄道の新浜松駅(浜松市中区)で期間限定で使用される新たな発車メロディーが完成し、同駅で22日に披露された。タイトルは「Windy Town(ウィンディタウン)」。約1カ月間にわたって毎日、同駅だけで流れる。 ジャズフュージョンバンド「カシオペア」元メンバーの作曲家向谷実さんが制作した。浜松まつりのラッパの旋律をモチーフに、ピアノやバイオリンの音を加え、伸びやかな曲調の約8秒間のメロディーに仕上げた。 お披露目のセレモニーで、音楽活動でたびたび浜松を訪れているという向谷さんは「浜松の風と、街の懐の広さを表現した。市民の皆さんの生活に寄り添うメロディーになれば」と話した。 今回の発車メ
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次世代車技術を協議 輸送機器8社、軽量化や脱炭素課題
次世代自動車開発に向けて電動化とデジタル化対応を協議する県内企業の研究会が22日、浜松市中区で始まった。初日は輸送機器関連8社が参加し、軽量化技術を軸に電動化や二酸化炭素(CO2)削減に向けた開発課題を話し合った。 三幸製作所(浜松市南区)とコーリツ(磐田市)は「電気自動車(EV)の航続距離を伸ばすために、軽量、高精度の部品開発が求められている」との共通認識を示し、高強度鋼材やモーター用部品などそれぞれの開発状況を発表した。 脱炭素に向けては、非鉄金属製品製造のアドバンスコンポジット(富士市)の担当者が「特に鋳造業界では二酸化炭素削減に向けた動きは出ているが、(温室効果ガス排出量を実質ゼ
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「音」の風景、詩に 高校生が街歩き創作 浜松
静岡県文化財団は21日、県西部の高校文芸部員を対象にした詩のワークショップを浜松市中区のアクトシティ浜松研修交流センターで開いた。詩人野村喜和夫さんの指導で、浜松学芸高、常葉菊川高の生徒8人が創作に励んだ。 12月12日に同センターで発表会を開く「しずおか連詩の会」(静岡新聞社・静岡放送共催)の関連イベント。生徒は市街地を歩き、テーマの「音」に関連した風景を探し、言葉を紡いだ。「草笛の合図」「チャペルのピアノ」など、街の風景に自身の不安や希望を重ねた詩が完成し、互いに鑑賞して意見交換した。 野村さんは「言葉の海の中からエッセンスを凝縮する詩は、さまざまな芸術の原点となる卵のようなもの」と
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ロボット産業 留学生も担い手に 浜松の企業組織が初講習会
産業用ロボットの普及活動に取り組む浜松市の企業グループ「TAFLINK(タフリンク)」が、留学生を対象にした技術指導に乗り出した。第1弾として市内で技術講習会を開催した。今後のロボット関連市場の世界的な拡大が見込まれる中、地元中小企業ではロボット技術者の人材不足の状況が続く。同グループは「留学生にものづくりの担い手として成長してほしい」と期待を込める。 17日、同市東区の東洋鉄工所内に設置した同グループの研究拠点に、浜松未来総合専門学校(中区)のアジア圏の留学生約50人が集まった。アーム型ロボットで小さな木や石を積んだり、ペンで文字を書いたりする操作を体験した。ロボットを活用する市内製造業
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スズキ 65万台規模減産 部品供給不足が影響
スズキは11日、半導体を含む部品供給不足の影響を受け、2022年3月期の全世界の四輪車生産を期初計画から65万4千台減らす見通しを明らかにした。22年3月期の通期連結業績予想の売上高も、前回8月予想比5・8%減の3兆2千億円に下方修正した。 21年8月時点では、期初計画から国内25万台、海外10万台の計35万台を減らすと予想していた。その後、最大市場のインドや日本で調達難が続いていることから減産幅を拡大した。通期で257万9千台の生産を見込む。 鈴木俊宏社長は同日のオンライン記者会見で、上半期(4~9月)に期初計画比で30万4千台減産したことに加え、下半期(10~22年3月)にさらに35
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スズキ3年ぶり増収増益 9月中間、反動増 市場環境厳しく
スズキが11日発表した2021年9月中間連結決算は、コロナ禍で生産が急減した前年同期からの反動増もあり、3年ぶりに増収増益となった。一方、部品供給不足の影響で10月以降も主力市場のインドなどで生産が安定せず、原材料価格の高騰も含め、市場環境は厳しさを増す。 売上高は前年同期比31・8%増の1兆6736億円、営業利益は32・3%増の991億円、経常利益は54・2%増の1482億円、純利益は85・0%増の1005億円だった。新興国通貨を含めた円安が増益に寄与したものの、特に7~9月期に原材料価格高騰が響き、売上高と営業利益はコロナ前の19年中間期を下回った。 四輪車事業の売上高は32・2%増
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新型セレリオ、インドで発売 スズキ子会社 7年ぶり全面改良
スズキのインド子会社マルチ・スズキは10日、排気量1000ccの小型車「セレリオ」を7年ぶりに全面改良し、同国で今月中に発売すると発表した。中南米、中東、アフリカに順次輸出する。日本での販売予定はない。 新型セレリオはエンジンの燃焼効率を高め、軽量高剛性のスズキの車体プラットフォーム「ハーテクト」を搭載した。トランスミッションは5速マニュアルとクラッチ操作不要のオートギヤシフトを用意した。 正面装飾部のフロントグリルのデザインなどを変更して躍動感ある外観に仕上げ、室内では足回り空間の拡大を図った。 同国マネサール工場で生産する。同国ではセレリオのようなハッチバック車の人気が高く、新型車
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静岡人インタビュー「この人」 清水良樹さん 浜松東税務署長を務める
高山税務署長(岐阜県)、名古屋国税局総務部厚生課長などを経て7月から現職。県内勤務は初めて。岐阜県出身。58歳。 ―抱負は。 「浜松は『やらまいか精神』で経営者の意欲は高いが、長引くコロナ禍で飲食関連など地域経済は依然厳しい状況にある。企業や個人に丁寧に対応し、適正かつ公平な課税、徴収に取り組む」 ―取り組みたい事業は。 「国税庁のe―Tax(国税電子申告・納税システム)の活用やスマートフォンでの申告手続きなど、納税者にデジタル化対応を提案していく。説明会やオンラインで、2023年に始まる新たな消費税控除の申告方式『インボイス制度』の周知にも努める」 ―職員に望むことは。 「地域
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フォークリフト新バッテリーを開発 TRC高田、環境負荷低減
自動車部品製造のTRC高田(浜松市西区)は2日までに、リチウムイオン電池を改良した新素材電池を使った同社初の車載用バッテリーを開発した。工場用フォークリフトに搭載する。現在主流の鉛を使った「鉛蓄電池」からの転換を提案し、物流倉庫や製造現場の環境負荷低減を推進する。 鉄製容器(縦約95センチ、横37センチ、高さ54センチ)の中に、電子基板や台湾メーカー製の電池パック約200枚を内蔵した。サイズや定格電圧、定格容量を一般的な鉛蓄電池と同程度にそろえ、可搬能力1・5トン~1・8トンの立ち乗り式フォークリフトで交換利用できるようにした。 同社が使用する新素材電池「リチウム鉄リン系複合酸化物電池」
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7県の理学療法士が研究発表 浜松・中区でオンライン学会
第37回東海北陸理学療法学術大会(静岡新聞社・静岡放送後援)が30日、オンライン形式で始まった。31日まで。 本県など7県の病院などで勤務する理学療法士が2日間、143の演題で研究成果を発表する。初日は約900人が聴講し、加齢に伴う筋量減少への対応、リハビリ現場での新型コロナウイルス感染予防対策、再生医療とロボット活用などのテーマで見識を広げた。 浜松市中区のアクトシティ浜松から配信した。同大会会長の和泉謙二氏(共立蒲原総合病院)は基調講演で「幅広い視野を持ち、理学療法のプロフェッショナルを目指して」と呼び掛けた。 31日は各種理学療法の実践事例のほか、熱海市の土石流災害での支援活動も
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スズキ世界生産127万台 21年度上半期 19年度水準に戻らず
スズキは28日、2021年度上半期(4~9月)の四輪車実績を発表した。海外と国内を合わせた世界生産は前年同期比32・3%増の127万4800台で2年ぶりに100万台を超えた。コロナ禍で生産が激減した前年同期よりは回復したが、世界的な半導体不足の影響が長引き、国内外ともに経営環境は不透明な状況が続く。 世界生産、世界販売ともにコロナ禍前の19年度上半期の水準には戻っていない。今期の海外生産は60・4%増の89万597台。主力のインドは昨年4~5月の工場稼働停止からの反動増で、62・5%増の73万2211台だった。パキスタンやインドネシアなども反動増や各国の需要喚起策を受け、前年同期から復調し
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舘山寺ホテル九重 10月末で営業終了 建物解体、跡地利用未定
遠州鉄道は15日の取締役会で、グループの遠鉄観光開発が運営する浜松市西区舘山寺町の高級旅館「ホテル九重」の営業を10月で終了することを決めた。1987年の開業以来、団体客を中心に全国から集客し、浜名湖エリアの観光をけん引した。老朽化した建物は11月から約2年をかけて解体するが、跡地利用策は未定。コロナ禍からの巻き返しを図る舘山寺地区の観光関係者にとって、象徴とも言える施設の閉鎖は大きな痛手となる。 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年4月から約1年半にわたり休業していた。同日の記者会見で遠鉄の丸山晃司専務はコロナの影響に加え、顧客ニーズの変化、休業期間中の施設の急速な老朽化を閉鎖
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珠算1級満点合格 矢田主さん(湖東中1)、伊藤さん(葵西小6)
浜松市立湖東中1年の矢田主暖大さん(13)と同市立葵西小6年の伊藤未祈菜さん(11)が、6月の「第222回日本商工会議所珠算能力検定試験」の1級試験に満点合格した。同市中区の浜松商議所会館で14日、日本商議所の表彰状の伝達を受けた。 1級試験はかけ算、割り算、見取り算の3種目。6月の同試験で1級合格した全国2341人のうち満点はわずか28人で、県内は矢田主さんと伊藤さんの2人のみだった。 中区の杉浦珠算塾で学ぶ2人は今回、満点を目指し練習に励んだ。矢田主さんは「正確さとスピードを重視した。珠算を通じて集中力が身に付いた」、伊藤さんは「本番は緊張したが、満点が取れてうれしい。今後も珠算を続
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記者コラム「清流」 その政策、財源は?
「そんなカネはどこにあるのか」「将来、法人税と消費税の『ダブル増税』にならないか」。衆院選公示を控え、与野党がそろって掲げる現金給付を中心とする新型コロナ対策に対し、複数の企業経営者から財源を疑問視する声を聞いた。資金繰りに日々四苦八苦している経営者たちは、政府の懐事情にも敏感だ。 コロナ禍で収入が激減した企業や生活が逼迫(ひっぱく)した個人への支援はむろん必要だ。しかし、日本は政府の年間予算に占める収入を税金だけで賄えず、基礎的財政収支の赤字が続く。消費税率が10%に上がってちょうど2年。将来の世代にツケを回さないために、有権者は各政党の政策を裏付ける財源や財政見通しの議論にも注意を払って
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スズキ、ダイハツ 農業技術で連携 台車やドローン共同出展
スズキとダイハツ工業は、13~15日に千葉県の幕張メッセで開かれる農業技術展「国際スマート農業EXPO」に初めて共同で出展する。軽トラックの国内大手2社が連携し、農作業の負担軽減策を提案する。 「空からのダイハツ、陸からのスズキ」と題して合同ブースを設ける。両社の軽トラックに加え、スズキは農業流通ベンチャーのエムスクエア・ラボ(牧之原市)と共同開発した農業用電動台車「モバイルムーバー」を、ダイハツは軽トラックに積載できる農薬散布用ドローンをそれぞれ展示する。 昨年から市販しているモバイルムーバーは電動車いすの車体をベースにした小回りの利く車体で、野菜や果物などを自動搬送する。 両社は7
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西部中小DI悪化 7~9月、5四半期ぶり
しんきん経済研究所(浜松市中区)がこのほど発表した県西部地域の中小企業景気動向調査によると、7~9月期の全産業ベースの業況判断指数(DI)はマイナス28・9で、前期(4~6月)と比べ4・4ポイント悪化した。5四半期ぶりの悪化で、東京五輪・パラリンピックの経済効果が予想以上に低かったことや、半導体不足に伴う製造業の不調が響いた。 調査は9月1~8日に行い、626社が回答した。回答率は95・1%だった。 業種別では製造業が0・9ポイント悪化してマイナス20・5。自動車は2・5ポイント悪化してマイナス13・3、楽器は22・0ポイント悪化のマイナス27・3だった。自動車、機械、製材など幅広い業界
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記者コラム「清流」 コロナ後に花は開く
「オンライン中心の生活が長く、自分がこれから本当に社会に出るのか、実感が薄かった」。1日に内定式の取材で出会った大学4年生の一人は、来春入社する企業の役員や内定学生らと直接対面した後、はじけるような笑顔を見せた。 長引くコロナ禍で、この学生が通う大学では1年半以上、オンライン授業が続く。就職活動は基本的にオンラインで、内定を得た企業でも直接面接は1回だったという。 夢と希望に燃える学生時代に行動を大きく制限されている今の学生たちはつらいと思うが、過去のどの世代の学生も持ち合わせていない技術や感性を身に付けたのではないか。コロナ後の新時代に社会人として生きる彼らが、学生時代の苦難を糧に活躍
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静岡人インタビュー「この人」 岩田敦さん 浜松西税務署長に就任
熱海税務署長、名古屋国税局総務部会計課長などを経て7月から現職。県内勤務は4回目で、浜松西税務署での勤務は2012~14年以来。60歳。 ―管内の印象は。 「7年ぶりだが、とてもなじみ深い。自動車、光・電子、楽器など世界を代表する企業が集積し、活気がある地域だ。コロナ禍で大変な時期だが、知人の経営者は皆前向きで、『やらまいか』の気風を変わらず感じる」 ―抱負は。 「予断を許さない状況が続く。各種税納付が困難な人には猶予制度を紹介するなど、企業や個人の実情に耳を傾け、迅速、適切に対応していく」 ―取り組みたい事業は。 「感染リスク低減のためにも、デジタル化への協力を呼び掛けていく。
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職域接種、ワクチン管理に会員技術活用 浜松商議所
浜松商工会議所は、同商議所会館(浜松市中区)で8月から実施中の新型コロナウイルスワクチンの職域接種で、会員企業の技術を積極活用している。会場の換気やワクチンの管理に地元中小企業の機器を相次いで投入した。「ものづくりのまち浜松」ならではの企業連携が、約2万人を対象とする大規模接種の会場運営を支える。 連日、多くの予約者が訪れる同会館10階の接種会場。受付デスク前の2カ所と接種後の休憩所で、扇風機のようなファン付きの可搬式空気清浄器が稼働を続ける。 本業の工場自動化装置がコロナ禍で苦戦していたアライブテック(同市南区)が、新規事業として手掛けた。厚生労働省の換気ガイドラインで使用が推奨される
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台湾でIT事業、農業流通ベンチャー エムスクエア・ラボが新会社
農業流通ベンチャーのエムスクエア・ラボ(牧之原市、加藤百合子社長)は、IT事業を強化する。台湾に同事業を手掛ける同社初の海外子会社を設置し、主力の農業分野以外に、企業のシステム開発やブランド構築などに事業を拡張する。 9月初旬に台湾に開設した新会社「創次方」は、東京大出身の林凱元代表らITエンジニア5人で組織する。資本金は200万台湾ドル(約800万円)。同社はエムスクエア・ラボの農作物配送事業「やさいバス」のシステム改善を担うほか、台湾で観光アプリ開発や飲食店のロゴマーク制作、バッグの製品デザインなどのプロジェクトを進めるという。 林氏は昨年、エムスクエア・ラボと農業流通の共同研究に取
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東京パラとものづくり 福祉機器開発レガシーに【風紋】
5日まで13日間、県内を含め開催された東京パラリンピック。今大会はこれまで以上に、パラアスリートが操縦、装着した競技用車椅子や義足などの機器に大きな注目が集まった。3年後のパリ大会も見据え、東京大会のレガシー(遺産)として、ものづくりが盛んな本県でもこうした福祉機器の開発のさらなる促進を望む。 5年前の前回と比べてデザイン、機能とも進化し、まさに選手の「体の一部」として躍動した。今大会では陸上競技やバスケットボール、ラグビー、テニスなど、車椅子の競技で日本勢が活躍した。陸上男子400メートル(車いすT52)などで優勝した県勢の佐藤友祈選手は、前方に三つ目の車輪が付いたレース用車椅子で疾走。
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運転と認知機能の関係、初調査へ スズキが官学連携で200人
スズキは10月から、浜松医科大、浜松市と連携し、高齢ドライバーの日常の運転行動と認知機能の関係を調べる実証実験を始める。公募に応じた200人の3カ月間の運転状況を調査する。同社が認知機能との関係をテーマに集団調査を行うのは初めてで、安全運転技術の研究促進につなげる。 市内在住、在勤の60歳以上75歳以下で、日常的に車を運転し、心身とも健康な人を対象とする。車両データ解析のスタートアップ企業スマートドライブ(東京都)の車載小型機を自家用車の運転席に接続し、車両の位置や速度、距離などのデータを収集する。 実験前に、国際的に広く用いられる「MMSE」と呼ばれる認知機能検査や、製薬会社エーザイ(
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ペットボトル再生の輪、静岡県内広がる 回収協力でポイント/製造業、原材料に活用
ペットボトルのリサイクル機運を高めようと、静岡県内の小売り、製造、資源処理など幅広い業種でペットボトルの回収、再生を促進する取り組みが徐々に広がっている。国内の回収率は向上しているものの、海洋汚染の一因に挙げられることもある。各業界は消費者にペットボトルを無駄にしない生活を提案する。 浜松市東区の杏林堂薬局ピーワンプラザ天王店は、専用カードに換金可能なポイントがたまるペットボトル回収機を設置し、毎日、多くの買い物客が利用する。 同市中区の40代の男性会社員は「家から離れているが、自宅で出たペットボトルは必ずここに入れている。家庭での環境教育にもつながる」と話す。同店によると、約1立方メー
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お金の大切さ 楽しく学ぶ 園児が買い物ゲーム 浜松いわた信金
浜松いわた信用金庫は7日、浜松市西区の志都呂幼稚園で金融教室を開き、年長児約90人が買い物ゲームなどを通じてお金の価値や使い方を学んだ。 園児らは100円分の模擬硬貨を受け取り、50円の菓子2種類と100円の菓子1種類を売る模擬店に並んで買い物を楽しんだ。同園の保育士が「100円で50円の菓子を買うとお釣りは」と聞くと、園児らは「50円」と元気に答えた。 買い物ゲームの前には同信金と同園の職員が一緒に寸劇を披露した。親からお小遣いをもらった子どもが店でパンやジュースを買い、予算内で買えるかどうかをユーモアを交えて演じた。 同信金によると、幼稚園での金融教室の開催は珍しいという。劇に出
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スズキ4工場停止 半導体、部品調達難で 9月1~5日間
スズキは2日、世界的な半導体不足と東南アジアでの新型コロナウイルス感染再拡大に伴う部品供給不足の影響で、9月に相良(牧之原市)、磐田(磐田市)の四輪2工場で2日間、四輪の湖西(湖西市)、二輪の浜松(浜松市北区)の2工場で1日間、それぞれ稼働を追加停止すると発表した。 同社はこれまで相良を9月1~3日に停止するとしていた。国内自動車メーカー各社に影響している東南アジアからの調達不調がスズキにも本格波及した。半導体不足などに伴う同社工場の一時稼働停止は4月から6カ月連続で、二輪工場では初めて。 追加停止を決めた日程は相良が9月11、18日、磐田が6~7日、湖西が18日、浜松は13日。このほか
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先進技術車、地域の足に 浜松の官民組織 4社が社会実験報告
浜松市の官民連携組織モビリティサービス推進コンソーシアムは2日、オンラインセミナーを開いた。市内で先進技術を取り入れた小型モビリティの実証実験に取り組む4社が、公共交通機関の少ない地域での新たな移動手段確保に向けた課題を協議した。 スズキの自動運転システム開発部署の担当者は、2019年に同市西区で市や遠州鉄道などと連携し、スマートフォン連動の小型車両を使った社会実験の結果を報告した。「交通弱者が自由に移動できる仕組みを地域で構築したい」と述べ、今後も実証実験を通じて技術改良を進める意向を示した。 ソフトウエア開発のモピは20年に天竜区水窪町で実施した低速自動運転車両の走行実験について、ヤ
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軽量、激しい動作に対応 プレー支える浜松産車いす パラ・テニス
東京パラリンピックの車いすテニスの選手に、浜松市浜北区の自動車部品製造「橋本エンジニアリング」が自社開発の競技用軽量車椅子を提供している。マグネシウム合金を使い、重量を一般的な車椅子の半分ほどの約8キロに抑えた。車いすラグビーの代表選手にも日常用の車椅子を提供した橋本裕司社長(54)は「障害のある人々がもっと自由に移動できることを知ってほしい」とバリアフリー社会の一層の進展を願う。 車いすテニスの田中愛美選手(ブリヂストンスポーツアリーナ、埼玉県出身)が使う同社の「TS―X」は、左右の車輪を「ハ」の字型に内側に傾け、補助輪を前方に二つ、後方に一つ備える。前後左右に激しく動き、後ろに大きく体
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スズキ、軽スライドドア市場で拡大狙う 「ワゴンRスマイル」発表、安定供給も課題
スズキが27日に9月の市場投入を発表した電動スライドドア搭載の軽自動車「ワゴンRスマイル」。軽に高い利便性と居住性を求める消費者の声が一層強まる中、国内各社がしのぎを削る「軽スライドドア車」市場でシェア拡大に挑む。足元では世界的な半導体不足に伴う生産調整に悩まされ、市場への安定供給が課題となる。 「スライドドアの人気は予想以上」と同社の開発担当者。開発前にワゴンRユーザーを対象に次に欲しい車を聞いた調査で、4割がスライドドア付きを求めた。開口部が広く乗り降りが便利なことから、ワゴンRよりも背が高いファミリー向けの「軽ハイトワゴン車」分野で近年、スズキの「スペーシア」を含め各社が相次ぎスライ
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スズキ「ワゴンRスマイル」発表 電動スライドドアを採用
スズキは27日、軽自動車「ワゴンR」シリーズの新型車「ワゴンRスマイル」を9月10日に発売すると発表した。同シリーズで初めて電動スライドドアを採用するなど利便性を向上させ、軽自動車市場の競争が激化する中でファミリー層、高齢者層への訴求力を高める。 電動スライドドアは後席左右に標準装備し、広い開口部を確保した。モーターがエンジン走行をアシストするマイルド(簡易版)ハイブリッドシステムを搭載する。前方と後方の衝突被害軽減ブレーキも備える。丸形のヘッドライトなど親しみやすい外観デザインを採用した。 27日のオンラインでの発表会見で鈴木俊宏社長は「機能性、装備、デザインにこだわり、お客様を笑顔に
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電動車椅子のセリオ、浜松・北区に新工場 屋内外に試走路設置
電動車椅子製造のセリオは23日までに、浜松市北区東三方町に新たな本社兼工場を建設し、ハンドル操作型電動車椅子の生産を始めた。開発機能を強化し、2022年夏に1人乗りの新型電動モビリティの市場投入を目指す。 同市西区の旧本社、磐田市の旧工場から機能を移転した。新工場は延べ床面積6600平方メートルで、初年度の生産予定台数は従来の2倍の2千台。総投資額は16億円。 工場内と屋外に段差や傾斜を備えた電動車椅子の試走路を設置し、社内研修や顧客向けの試乗場所として活用する。 同社の設立は1996年。電動車椅子などのレンタル事業で成長した。20年6月期の売上高は51億円。望月誠社長は「高齢者の免許
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スズキ 社用車で啓発 「子ども安全見守り隊」始動 浜松東署
児童の登下校時などの交通事故被害防止に向け、浜松東署は18日、地域企業の従業員を対象にした同署独自の「子ども安全見守り隊」事業を始め、1社目としてスズキ(浜松市南区)に委嘱した。ステッカーを付けた社用車が地域を走り、交通ルールの順守や子どもの安全確保への機運を高める。 同署は同日、「子どもを守ろう 安全見守り活動中」と記したマグネットステッカー10枚を同社に交付した。同社本社隣のスズキ歴史館前での出発式では、同署の交通安全講習を受けた社員らがステッカー付きの社用車に乗り込み、パトカーの先導で本社周辺を巡回した。 今後も業務での外出時に安全運転を徹底しつつ、ステッカーを通じて地域住民に子どもの
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静岡人インタビュー「この人」 永盛明洋さん 日本貿易振興機構(ジェトロ)浜松貿易情報センター所長に就いた
ベトナムのホーチミン事務所次長、ジェトロ鹿児島所長、本部農林水産・食品部主幹を経て、6月にジェトロ浜松の3代目所長に就任。静岡県内勤務は初めて。鹿児島県出身、54歳。 ―県西部の印象は。 「自動車を中心に、ものづくりの街の印象が強い。光関連、楽器、茶やウナギなどの農林水産業と産業の多様性がある。多くの大企業が生まれた歴史を背景に、創業の精神や独立志向の強さを感じる」 ―地域経済の課題は。 「特に自動車関連産業は大きな転換期にある。脱炭素や電動化技術の進展はモビリティ(乗り物)だけでなく、まちづくりにも変化を促す。ジェトロの海外ネットワークを生かし、役立つ情報を提供したい」 ―コロナ
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メーターがまぶしい…そんな時の脳内反応を解明 静岡大とスズキなどの研究グループ、感覚の客観的把握へ
強い光を受けてまぶしいと感じる時、脳内で耳の後方の後頭側頭部と額の位置の前頭前部が活発に反応していることを、静岡大情報学部とスズキなどの研究グループが脳波計測の実験で初めて解明した。主観的で個人差があるとされるまぶしさの感覚を客観的に把握できるようになり、同社などは安全運転技術の研究促進につなげる。16日に公益社団法人自動車技術会の学術誌に発表した。 参加に同意した30人の脳波を測定した。暗室内で約30センチの距離でモニターに正対し、合図に続いて画面を0・5秒間フラッシュさせて、まぶしさの感覚を答えてもらう実験を繰り返した。解析の結果、光刺激を受けた0・1秒後に右耳後方の位置の右後頭側頭部
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スズキ、3月期業績予想コロナ前水準に届かず 半導体不足響く
スズキは5日、未定としていた2022年3月期の連結業績予想を公表し、売上高を前期比7・0%増の3兆4千億円、営業利益を12・6%減の1700億円と見通した。半導体不足の影響は今期末まで続き、コロナ禍が本格化する前の20年3月期末の水準には届かないと見込む。21年4~6月期は前年同期からは回復を見せたが、コロナの感染再拡大も懸念されることから、第2四半期も厳しい経営環境が続く。 22年3月期の経常利益は11・4%減の2200億円、純利益は2・4%増の1500億円とした。世界の四輪車生産は287万台と予想。世界的な半導体不足の影響で期初計画から国内25万台、海外10万台の計35万台分を下方修正
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スズキ世界生産148万台 1~6月の四輪車実績 前年から反動増
スズキは29日、2021年上半期(1~6月)の四輪車実績を発表した。コロナ禍で国内外の工場稼働を停止した20年4、5月からの反動増で、海外と国内を合わせた世界生産は前年同期比48・8%増の148万4525台だった。一方、世界的に不足が続く半導体の供給状況は依然好転せず、同社は下半期について慎重な見通しを崩さない。 上半期の海外生産は71・4%増の103万3195台。このうち主力市場のインドは85・9%増の86万7843台。5月に約2週間全工場を停止したが、20年5月の稼働日数を上回った。他地域ではパキスタンが87・6%増、ハンガリーは27・5%増だった。 国内生産は14・3%増の45万
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スズキ EV、脱炭素化で連携 トヨタ、ダイハツなど5社で軽商用車研究
スズキとダイハツ工業は21日、トヨタ自動車といすゞ自動車、日野自動車が連携する商用車研究事業に参加し、商用車を軸にした軽自動車のEV(電気自動車)化、物流業界全体の効率化と脱炭素化に取り組むと発表した。国内軽メーカー上位2社が連携を強化し、次世代技術の活用で温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現に注力する。 両社はトヨタなど3社が4月に事業を始めた新会社「コマーシャルジャパンパートナーシップテクノロジーズ」(東京都)に10%ずつ出資する。これまで大型トラック中心だった脱炭素化の枠組みを軽トラックなど軽商用車に一気に広げ、コネクテッドカー(つながる車)など次世代技術によ
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注染そめ浴衣の魅力発信 浜松学芸高生、ダンス交えショー
浜松伝統の織物の染色技法「注染そめ」を紹介するイベント「注染・ゆかたコレクション」が17日、浜松市中区の浜松科学館と地域発信拠点はままちプラスの2会場で始まった。18日まで。 浜松科学館では浴衣のファッションショーを行い、浜松学芸高の生徒約40人が注染そめで仕上げた華やかな柄の浴衣を披露した。生徒らは「にじみやぼかしが特徴。職人さんが一つ一つ手作りし、配色が全て異なる」と来場者に魅力を伝えた。 体験会には市民約30人が参加し、型枠を当てた生地に専用のやかんで染料を流し込む工程を学んだ。 はままちプラスでは地元事業者が、注染そめの浴衣や和装小物などの製品を販売した。 同イベントは、県繊
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入院患者の移動に自動運転車椅子 浜松で実証実験
入院患者が自動運転の車椅子で病院内を移動する実証実験に取り組んでいる浜松市リハビリテーション病院(同市中区)は16日、実験を報道公開した。 ベンチャー企業WHILL(ウィル、東京都)が開発した電動車椅子2台を使い、患者が院内のリハビリ室と病棟の間の廊下約50メートルを、健常者が歩く速度より遅い時速2キロで移動した。体の片側にまひの症状がある80代の男性患者は「乗っているだけで目的地に着く。楽でいいね」と話した。 実験は8日に始まり、21日まで。40人程度に試乗してもらい、安全性や正確性を点検するほか、介助に必要な作業時間の削減などの効果も確認する。市は実験結果を精査し、導入の可否を判断す
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自転車、半導体実装機、水素電池… ペン先世界大手 金属部品新事業 浜松・テイボー
ペン先部材の世界大手メーカーのテイボー(浜松市中区)が、高精度の金属成型技術「MIM(メタル・インジェクション・モールディング)」を用いたペン先以外の部品製造事業を強化している。自転車用や半導体実装機用など、コロナ禍での旺盛なアウトドア需要も背景に受注は堅調。1月に新工場が稼動し、MIM事業単独で2024年に20年比約2倍の年間売上高35億円を目指す。 MIMは米国発祥の技術で鉄やステンレスなどの金属粉末を金型に詰めて成型する。設計の自由度が高く、大量生産に対応できるため切削加工に比べコストも安いという。 同社は当初はペン先開発の新技術として導入し、10年以降に事業を拡充した。自転車の変
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運送業界、SDGs学ぶ 静岡県トラック協会西部支部
静岡県トラック協会西部支部はこのほど、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)をテーマにした運送業者向けの研修会を浜松市東区の同支部事務所で開いた。 同支部会員で、2年前からSDGsを経営に取り入れているトレードトラスト(同市南区)の宮沢稜専務が自社の活動を紹介した。宮沢専務は二酸化炭素(CO2)削減や交通安全教育の強化など、環境や人権の観点で事業を見直した経緯を説明し、「目の前の一つ一つの仕事が地球や社会にどう影響しているか考えることが大切」と述べた。 浜松いわた信用金庫(同市中区)や三井住友海上火災保険(東京都)の担当者はSDGsの理念や国内外での導入事例を解説した。 同支部は8
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スイフト アフリカ生産、2022年から スズキ、トヨタと協業
スズキとトヨタグループの豊田通商は2日、西アフリカ・ガーナで2022年にスズキの小型車「スイフト」の組み立て生産を始めると明らかにした。資本提携しているスズキとトヨタの協業の一環。日本やインドで生産し、海外でも人気の高いスイフトでアフリカ市場開拓を狙う。 6月末にトヨタのトラックの組み立てを始めた豊田通商のガーナの新工場で生産する。部品を輸入して組み立てる「セミノックダウン方式」を採用し、スズキのインド子会社から調達する。 生産台数や投資規模、トヨタブランドで販売するかどうかはいずれも未定。 スズキとトヨタのアフリカ市場での協業ではこれまで、スズキの小型車「バレーノ」とスポーツタイプ多
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次世代車3割対応 EV部品など「量産・開発中」 浜松の機関調査
次世代自動車センター浜松(浜松市中区)は1日までに、会員企業を対象にした次世代技術への対応状況調査の結果をまとめた。電気自動車(EV)用部品など関連製品を「量産中」「開発中」と答えた企業の合計は会員企業340社の28・8%(98社)で、前回(20年2月)調査と比べ4・9ポイント上昇した。 今年2月時点でEV、コネクテッドカー(つながる車)、自動運転、シェアリングの4分野のうち、いずれか1分野でも対応している企業を合計した。複数回答で、98社のうちの95社がEV関連、25社が自動運転、21社がコネクテッドカー、11社がシェアリングに対応していた。中小企業が全体の約7割を占めた。 具体的な開
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記者コラム「清流」 EV化 論戦深まらず
知事選のさなか、浜松市内で現職、新人候補者それぞれの街頭演説を聞いた。聴衆の中には工場の作業服姿の人もいた。記者は産業政策、特にEV(電気自動車)化対応と中小企業の支援策に注目したが、正直言って、肩すかしを食らった。 新人候補は「国と連携して中小を守る」、現職は「西部に未来都市をつくる」と声を張り上げたが、県としての具体的な戦略、振興策への言及はなかった。コロナ対策やリニア中央新幹線工事と同じくらい、EV化対応は地域を左右するテーマのはずなのだが。 自動車大国ならぬ「自動車立県」の本県にとって今後4年間は正念場になる。知事選は終わったが、中小企業経営者は県の政策への関心を高め、注文を付けてほ
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スズキ四輪 5月世界生産12万台 反動増も稼動停止響く
スズキが29日発表した5月の四輪車実績は、コロナ禍で国内外の工場稼働を停止した2020年5月からの反動増で、海外と国内を合わせた世界生産が前年同月比約2・5倍の12万2318台、世界販売が約2・1倍の14万2669台だった。一方、世界的な半導体不足の影響で足元では生産調整が長引くなど、厳しい市場環境が続く。 今年5月も工場稼動が一時停止したため、世界生産、販売とも、コロナ前の19年5月に比べ半分程度にとどまった。 主力のインドの生産は20年5月比で約11倍の4万902台。今年は5月1~16日まで国内全工場がコロナ禍で稼動を停止したが、20年5月の稼働日数を上回り、前年同月比では4カ月連続
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物流支援サービス開発へ スズキ、データ解析企業と協業
スズキはインターネットを使ったコネクテッドカー(つながる車)の技術を導入し、移動ルートや車両管理の効率化を提案する法人向けサービスの開発を始める。当初は軽・小型車を利用する物流、運送業を想定し、コロナ禍でネット通販の物流が増えている業界の負担軽減につなげる。年内にも実証実験を行う予定。 新サービス「SUZUKI Fleet(フリート)」の開発は、車両データ解析のスタートアップ企業スマートドライブ(東京都)と協業する。スマート社が開発した車載の小型データ解析機やドライブレコーダーを使い、車両の位置や運転状況、走行距離をリアルタイムで把握して業務改善に生かす。実用化時期は未定。 契約先の法人
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ジェトロ浜松・永盛新所長「産業発展に貢献」 市長訪問
日本貿易振興機構(ジェトロ)浜松貿易情報センター(浜松市中区)の3代目所長に就いた永盛明洋氏(54)が29日、市役所に鈴木康友市長を訪ね「地域産業の発展に貢献したい」と抱負を語った。 永盛氏は「自動車を中心に光、楽器、食品など産業が幅広く、スタートアップ企業も多い」と浜松地域の特長を指摘した。市の産業支援策とも連携し、自動車の電動化を含めた環境対応や農林水産業の支援などに取り組む意向を示した。前任地のジェトロ本部農林水産・食品部で食品メーカーや生産者のオンライン商談会に多く関わった経験を引き合いに、「デジタル対応の支援も重要」と語った。 永盛氏は鹿児島県出身。ベトナムのホーチミン事務所次
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電動化、脱炭素に全力 スズキ新体制方針「高品質つくる」
40年以上にわたりスズキを率いた鈴木修会長(91)の退任が決まった25日の同社株主総会で、鈴木俊宏社長は「電動化、カーボンニュートラル化に優先的に対応する」と述べ、電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)の開発に注力する姿勢を鮮明にした。コロナ禍と半導体不足の影響で足元の市場動向は厳しく、環境対応も待ったなしの状況。「今まで以上に高品質の製品をつくる」と株主の質問に答え、“ポスト修”の新体制の奮起を誓った。 鈴木社長は、走行時と製造時の二酸化炭素(CO2)排出削減が急務とし、2025年までに電動化技術開発を急ぐ新中期経営計画の方針を強調。資本提携しているトヨタとの
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修氏「失敗恐れず挑戦を」 スズキ会長退任、後進に期待
25日の株主総会でスズキ会長を退任して相談役に就いた鈴木修氏(91)は同日、浜松市内で取材に応じ、同社の今後の課題を「一にも二にも電動化」と強調し、新経営陣に向けては「失敗を恐れず、強い覚悟で技術開発と製品化に挑戦してほしい」と求めた。 取締役として58年、経営トップを43年務めた鈴木氏は電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)、「コネクテッドカー(つながる車)」などへの対応を念頭に、「これまでは規模を拡大してきたが、技術の質をさらに磨き、価値のある商品を作らねば生き残れない」と強い危機感を示した。 チーム経営を掲げる鈴木俊宏社長(62)ら新経営陣には「一人一人が強い責任感を持ち、実力
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地域課題 異業種で探る 東京海上日動火災が人材育成講座 浜松
東京海上日動火災保険浜松支店は23日、次世代のリーダー育成プログラム「はままつ創生研鑽(けんさん)会」(静岡新聞社・静岡放送後援)を浜松市中区の同支店で開講した。同市内の約20企業・団体の中堅社員や職員が、11月まで全5回の日程で学び合いながら地域の未来を考える。 「持続可能なまち」「アフターコロナでの発展」をテーマに、グループごとに設定した地域の産業、社会の課題と解決策を探る。 初回は一部オンラインを交えて講義を行い、参加者は地方創生の現状と課題のほか、国の地域経済分析システム「RESAS」の活用法を含めたデータ解析の手法を学んだ。浜松市企画課の職員は、少子高齢化や若年層の転出超過を課
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エイグローブ(浜松)、ベトナムにアンテナ店 食品メーカー輸出支援
輸出コンサルティング業のエイグローブ(浜松市中区)は、コロナ禍で苦境にある国内中小食品メーカーの海外展開を支援するため、ベトナムにアンテナショップ型のレストランを開設した。茶や水産加工品などを使ったメニューを提供し、現地の消費者やバイヤーに日本の食材の魅力を発信する。 ホーチミン市中心部の商業施設内に設置し、店名は「ジャパニーズ・イーツ」。県内外の食品メーカー約30社の商材を使う。日本のだしと魚の練り物にベトナムの麺を加えた「ジャパニーズフォー」、フランスパンにチーズと漬物を乗せた軽食、デザートの抹茶プリンなど、現地の消費者の好みに合わせてメニューを開発した。 同店舗を交流とマーケティン
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自動車内装材を生活に 共和レザーがBtoC本格参入 合成皮革のバッグや衣料、ECサイトで販売
自動車シート用表皮材などを製造する共和レザーは、原料の合成皮革を使った自社のファッション・生活用品を販売する電子商取引(EC)サイトを開設し、BtoC(個人消費者向け)事業に本格参入した。軽く丈夫で防水性のある自動車内装材の特長を生かした商品群で、新規需要創出に挑む。 ECサイト「Sobagni(ソバニ)」で、バッグや衣料品など35種類を販売する。内部に複数のポケットを付けた約500グラムの軽量ビジネスバッグ(税込み2万7千円)や通気性を高めたスリッパ(同3380円)など、デザインと機能性を両立させた。 2月に新設したブランド企画部の5人が商品企画を担当し、国内縫製メーカーが仕上げる。
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スズキ会長の経営人生「挑戦と感謝」 退任控えインタビュー、「軽」の意義強調
25日の株主総会後に退任予定のスズキの鈴木修会長(91)は8日、浜松市内でインタビューに応じ、「2030年以降は、ガソリンとエンジンから、電池とモーターへと自動車の本質が根本的に変わる」として電動化への対応が急務との認識を改めて示した。自社の軽自動車開発の歴史にも言及し「高齢化と核家族化が進む中、軽自動車は公共交通機関が行き届かない農村や過疎地域も含めて必要な商品だ」と軽の存在意義を強調した。 鈴木会長は「将来も自動車というカテゴリーは残ると思うが、既存の観念、知識とは異質のものになる」と予測。本年度から5カ年の新中期経営計画で電動化技術の強化を柱に据えた自社の現状を踏まえ「なせば成る。挑
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記者コラム「清流」 工場悩ます半導体不足
世界的な半導体不足で、国内自動車メーカーが相次いで工場の停止や減産に追い込まれている。微小な電子部品にすぎない半導体の不足で巨大な工場が止まってしまうなんて、IT(情報技術)オンチの記者には当初はピンとこなかった。 しかし業界で聞くと、パソコンや家電、スマートフォンはもちろんのこと、自動車にも半導体は必須の材料。エンジンやハンドル、カーナビなど既に多くの部品や装置に組み込まれ、EV(電気自動車)化の進展で今後さらに獲得競争が激しくなるという。 半導体の安定調達は個別メーカーでは難しく、政府が国家課題として解決に注力してほしい。小さな半導体は1台の車を動かし、自動車産業全体も揺るがしている。
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スズキ四輪 静岡県内3工場停止 1日から3~9日間 半導体不足
スズキは31日、世界的な半導体不足の影響で6月上旬の稼働一時停止を検討していた県内四輪全3工場について、相良工場(牧之原市)を6月1~11日、磐田工場(磐田市)と湖西工場(湖西市)を同1~7日の日程でそれぞれ停止する方針を決めた。現時点では6月中下旬は3工場とも稼働予定。 四輪3工場の同時停止は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う部品調達停滞で停止した昨年4月以来。同社は今回の停止分について「供給の回復状況を見ながら、別の稼働日を設けて代替生産に努める」としている。同社は本年度の国内生産計画を公表していない。 湖西の停止日程は第2工場のみ1~7日で、第1工場は2~4日とする。土日は休業日の
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スズキ、世界生産26万台 4月四輪、前年の反動増
スズキが28日発表した4月の四輪車実績は、コロナ禍で国内外の工場稼働を停止した2020年4月からの反動増で、海外と国内を合わせた世界生産が前年同月比約7・8倍の26万6050台、世界販売が5・3倍の24万8501台と大幅増となった。一方、主力のインドでの感染再拡大や世界的な半導体不足の影響で、5月以降の市場環境は厳しい状況が続く。 世界生産、販売ともコロナ前の19年4月とほぼ同水準だった。20年4月に都市封鎖で生産、販売ともゼロに落ち込んだインドの今年4月の生産は15万9909台。前年同月比では3カ月連続プラスで、コロナ前の19年4月実績(14万7538台)を上回った。 国内生産も5工場