難波カラーじわり浸透 静岡市長就任2カ月、市議会論戦へ 災害対応/リニア/予算案

 静岡市の難波喬司市長が就任して約2カ月、市政運営や記者会見に“らしさ”が出始めた。2日から3日にかけて県内で発生した台風2号による大雨では被害が出ていない段階で自ら対応方針について記者説明を行い、副知事・県理事在職時に担当したリニア中央新幹線工事問題に関しても、4月の就任式で述べた「代打オレ」の言葉通り積極的に持論を発信する。今月6日発表の市6月補正予算案は「難波カラー」が初めて反映され、13日から始まる市議会6月定例会での立ち回りにも注目が集まる。

台風2号の災害対策本部で陣頭指揮を執った難波喬司静岡市長(中央)。矢継ぎ早に会議を開き、情報共有を図った=2日、市役所静岡庁舎
台風2号の災害対策本部で陣頭指揮を執った難波喬司静岡市長(中央)。矢継ぎ早に会議を開き、情報共有を図った=2日、市役所静岡庁舎


 「プロ」自負
 「田辺信宏前市長時代とは全然違う」。2日、1時間刻みで開催された台風2号の災害対策本部会議に出席した市幹部はつぶやいた。
 今春の市長選で繰り返し「市の危機管理能力を徹底的に強化する」と訴えた難波市長にとって、災害対応は一丁目一番地。今回の対策本部会議では、説明が曖昧な職員に「それを聞いているんじゃない」「情報が紙にまとまってないと、口で言っても分からない」などと厳しい言葉を投げかけた。「災害対応のプロ」(難波市長)を自負し、差配を振るう姿は、「昨年9月の台風15号での対応を批判され、市長選への出馬断念に追い込まれた田辺前市長との違いを強調するかのようだ」(市議)。
 6月補正予算案では物価高対策に加え、市内で度々水害を起こす巴川流域の治水対策や、建設発生土の受け入れ地確保の関連費を盛り込んだ。

 第一人者
 リニア問題では、市長の立場を超えた言動で存在感を示している。県とJR東海の間で議論が続く山梨県でのトンネル工事に伴うボーリングについて、県有識者会議の専門部会で説明することを求めたが拒まれ、「市長ではなく工学の技術者として」と注釈を付けて異例の記者会見を開いた。自ら用意したダイコンを使い、ボーリングにおける湧水現象への持論を説明。県庁時代、リニア問題の第一人者として担ってきた自信をうかがわせた。ただ、「ダイコン会見」の開催が決まったのは当日朝。スケジュールや会場の確保に市職員は奔走した。

 初の定例会
 就任2カ月の節目となる6月13日は市議会6月定例会が開会し、議会側と初の本格的な論戦を交える。市議会最大会派・自民党市議団は現時点で、自らの考えを積極的に発信する難波市長に対し、「独断でやられては困る」(ベテラン)、「スピード感がある」(中堅、若手)と評価が分かれる。他の会派と難波市長との距離感も未知数だ。
 同日に行われる市長の所信表明、26日から始まる総括質問を前に、市幹部の1人は「市長がどんな議会対応をするか、測りかねる部分が多い」と気をもむ。

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