Googleから学ぶ!最強のチームの作り方

Googleの優れた企業文化とは?

チームで仕事をしていて、チームが機能しない、成果が上がらないなど悩んでいる人も多いのではないでしょうか。そんな悩みを抱えている人に紹介したいのが、「働きやすい企業」ランキングで常に上位に入り、優れた企業文化を持っているGoogleの考え方です。詳しい内容を、経済・経営ジャーナリストでGoogleについての本も書かれている桑原晃弥さんにお聞きしました。
※9月8日にSBSラジオ、IPPOで放送したものを編集しています。
優れたチームとは

Googleはどんな採用活動を行っている?

桑原さん:まずはGoogleの成り立ちからお話させてください。Googleは1998年に2人の創業者と数人の仲間によって創業しています。その頃から会社の入口に「グーグル世界本社」という看板を掲げて、優秀な人材の採用にこだわっていました。理由は、「すぐれた人の集まる会社にはさらにすぐれた人材が集まる」という考えからです。

かつては面接の回数もとても多かったのですが、4~5回程度になっています。面接は人事担当者だけでなく、   6人以上の経営陣や社員が「一緒に働く仲間を集める」という理念のもと行っています。採用基準は「成績の優秀さ」だけではなく、「常識にとらわれることなく、失敗を恐れず挑戦できる人。かつチームワークがとれて一緒に働いてい楽しい人物」。

牧野アナ:言葉で聞くとシンプルなんですが、ハードルは高そうですね。すぐれた人を集めると、さらにすぐれた人が集まってくるというのは、なるほどと思いました。でもすぐれた人たちの才能に頼っているだけではないのが、Googleなんですよね。

桑原さん:すぐれた人だけに頼ると、どうしてもワンマン型の仕事になってしまうのですが、Googleの場合は少ない時でも2、3人、多くても7人程度の少人数のチームで仕事を進めるので、チームワークがとれるかどうかを非常に重視しています。

例えば、成績優秀で仕事もできるが、チームワークが成り立たないほどエゴが強いとか、自分さえよければいいような人がいると、チームは機能しなくなります。それより才能はもちろん必要ですが、それ以上にチームワークがとれる人でチームを構成し「チームとしての仕事はどうあるべきか」話し合いながら進めることができれば、スパースターに頼らなくても仕事ができる。これがGoogleの考え方です。

牧野アナ:スーパースターがいなくてもチームワークがよければ、スーパースターを越えることができるということですね。

Googleはどのようなミーティングをしていますか?

桑原さん:これは日本の企業でよくあることですが、ミーティングでは「どんなアイデアか」ではなく「誰が言ったか」「誰が賛成したか」とういうような、中身よりも人が重視される傾向があります。

Googleではこれを「声の大きな人」という言い方をしています。権力を持つ人、押しの強い人だけが発言し、他の出席者はうなずくだけではダメなんだと。基本的には「アイデアの前にはみんなが平等である」という考えのもと、出席者みんなが発言し、みんながそれを聞いて、正しいアイデアを決めていこうというのがGoogleのやり方です。

牧野アナ:小さな声も拾っていこうということなんですね!

成果を上げ続けるチームに必要なものは?

桑原さん:Googleが実際に自社の中で成果をあげているチームを調査しました。最初は先入観で、スーパースターの集まっているチームだと思っていたけれどそれは全くの誤解だったと。いいチームには5つの条件があり、この5つが揃えばスーパースターがいなくても、ごく普通の人たちが集まっても素晴らしい成果を上げることができる、というのがGoogleの研究成果であり、現在も実践している考え方です。

<成果を上げられるチームの条件>
1. 心理的安全性
2. チームに対する信頼(自分の役割を果たせるんだという安心感)
3. チームの目標や役割分担が明確であること
4. 仕事に対して自分なりの意味を見出していること
5. チームの仕事が社会に対して影響を与えることができる

牧野アナ:みんながやりがいを感じることができる環境ともいえそうですね。

桑原さん:そうですね、お互いを信頼することです。

牧野アナ:心理的安全性を特に大事にしているんですね。これは、若手が意見を言ったけど、いきなり否定から入らないというような環境のことでしょうか?

桑原さん:誰の意見に対しても耳を傾けて尊重したうえで、最善の案を見つけていくというチームワークのことです。

チームのなかで、リーダーが気をつけるべきことは?

桑原さん:いいチームというのは、リーダーがチームのためのビジョンや戦略を持ち、メンバーにとってのよきコーチであることなどが重要になってきます。何より大切なのは、チーム全員の意見に耳を傾けること。それから、その意見を尊重できること。チームの一部の人だけが話すとかリードしていくのではなく、全員に平等に発言する機会を与えるということ。部下の提案に「ノー」から入る人がいますが、まずは「イエス」から入り、後押ししていく。そのような点をリーダーが重視しているところは、すばらしいチームになっていくと思います。

牧野アナ:今、ドキッとされている方も多いかと思います。最後にメッセージをお願いします。

桑原さん:Googleのような世界的な大企業を見ると、つい「それはGoogleだからできることだ」と考えがちですが、Googleが誕生したのは、ほんの20数年前なんです。なおかつ創業したのは社会人経験もない、たった2人の大学院生。最初からすべてが揃っていたということではなく、アイデアとみんなで何かを創っていこう、世界を変えていこうという想いがあって、一生懸命やってきた企業だということです。

そしてなぜ短期間で世界的企業になれたかというと、社員にとって働きやすい環境を作り、すぐれた少人数のチームを作り、なおかつ猛スピードでアイデアを考え実践し、ダメならまたやり直す。これができたから、Googleは成長できた。その意味では「お互いを信頼し尊重し合うチームは素晴らしい成果を上げられる」。チームの仲間を信じるとことが、Googleのような成果をあげる道ではないかと思っています。

牧野アナ:すばらしいメッセージをありがとうございました。誰にでも、やり方次第で大きな可能性があるんだということですね。桑原さんの本、「グーグルに学ぶ最強のチーム力」は、日本能率協会マネジメントセンターから販売されています。ぜひ手に取って参考にしてください。
 
今回、お話をうかがったのは……桑原晃弥(くわばら・てるや)さん
広島県生まれ。慶応義塾大学卒。業界紙記者などを経てフリージャーナリストとして独立。トヨタ式の普及で有名な若松義人氏の会社の顧問としてトヨタ式の書籍の制作を主導。一方でIT企業の創業者や渋沢栄一など、起業家の研究をライフワークとしている。著書に『スティーブ・ジョブズ名語録』(PHP)、『トヨタ式「すぐやる人」になれる8つのすごい!仕事術』(笠倉出版社)など多数ある。
 

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