アニー賞に3部門でノミネート!「生きるとはなにか」に向き合った作品
(左)細田守監督(右)SBSアナウンサー青木隆太
2025年11月に公開された細田守監督の「果てしなきスカーレット」。 本作は、復讐を誓った王女・スカーレットが死者の世界をさまよい、出会いを通じて、思いが揺らいでいく中で、どんな決意をしていくのか、そんな1人の女性の姿を描いた物語です。先日「アニメ界のアカデミー賞」と呼ばれる「アニー賞」に3部門でノミネートされました。他にも「チェンソーマン」や「ダンダダン」「ズートピア2」など今年度の話題作もノミネートされています。 細田監督は「未来のミライ」で日本人監督として初めて、アニー賞を受賞しています。
「生きるとはなにか」。この問いに向き合ってきた本作品について、昨年12月、SBSアナウンサー青木隆太がインタビューしました。この記事では、インタビューの内容を抜粋してお届けします。
ー(12月時点で)反響はどのように受け止めていますか。
この作品は4年以上かかって作ったものなので、無事公開できてホッとしている。読んでいて温かくなるような感想をいただいたり、様々なものを受け止めたりしているところ。皆さんちゃんと見てくださって、ありがたいなと思っている。
ー400年以上前の作品「ハムレット」を題材にしたのはどうしてですか。
(制作を始めた)4年半前は「コロナ禍」があった。それが明けて世の中平和になると思いきや、それを待っていたかのように世界のあらゆるところで争いが起こるようになった。幸福や復讐の連鎖みたいなことが言われていて、そういう話を聞いているうちに「復讐」が今日(こんにち)的なテーマになっているなと思った。
ずーっと復讐に次ぐ復讐で終わらない、なかなか平和にならないというところがあって、今も続いている。それを考える際に「復讐」の元祖といえばシェイクスピアのハムレットと思いついて、ハムレットをモチーフに考えてみようと思ったのが(制作の)きっかけ。
ーこれまで作風とガラッと変わった印象もあります。
よく言われるが、自分としては連続性がある。例えば「バケモノの子」では現世と異界みたいなところがフェアになっているみたいなところはひょっとしたら、生と死みたいなムードがあるかもしれない。「未来のミライ」だって1つの家族の中の生命の円環というか生命のリレーというテーマだったり「竜とそばかすの姫」もそういうところがある。
今回は「生と死」をしっかり大きく描こうと。自分自身が20年くらいアニメーション映画を作ってきて、だんだん人生のなかで大事なものがあるなとわかってきた。
若い時はわからなかった「どうして自分は生きているのか」「生と死はなんなのか」「僕らはどこから来て、 僕らは誰で、どこにいくんだろう」という問いがわかるような年齢になってきた。お世話になった人達が亡くなったり、一方で、いろいろなところで新しい命が生まれたり。
昔は当たり前のことだと思っていたが、だんだん当たり前じゃ無くなってきて、そこに尊いものがあるのではないかと思えるようになってきた。まさか自分がそういう大きなことを考えるような人間だと思っていなかった。50代前半だからこそ、そういうテーマになっちゃう。それで大きなテーマ・スケールで作ることになった。
ー芦田愛菜さんの演技はすばらしかったです。エピソードなどあれば教えてください。
これだけの大きなテーマを扱うには主人公は大事。スカーレットを芦田愛菜さんにお願いできたのは最高のキャスティングだった。収録当時19歳でスカーレットと同い年。同年代のリアルな感じとは芦田さんは違っていて、もっと精神的に成熟しているというか、より大きな責任と覚悟を若いのに自覚している人だなと思った。
そういうところが復讐にとらわれている王女を演じるのにピッタリだと思った。芦田さんが「声を吹き込むだけではなく、魂を吹き込むつもりでやりました」と言ったくらい、スカーレットを魂から演じてもらえた。
ー映像のこだわりは。
今までは手書きとCGは二項対立というか、どっちがいいのかと言われていたと思う。本来はどっちも技法でしかないので、両方の良いとこどりをすればいいじゃないかと思う。手書きともCGともつかないようなアニメーションのスタイルがこれからどんどんできてくる。
日本でもそういう取り組みの試みがあって然るべきだと思い、今回の作品で挑戦してみた。
ー歌や踊り、ダンスのシーンも出てきます。復讐譚という中ではかなり異質な部分に感じました。
復讐といいながら復讐譚ではなくて…復讐に囚われた1人の女性が、復讐ではない自分の生き方というか、そのまま人生終わっていいのか、もっと違う人生があるのではと気づいて行動するという映画だと思う。ダンスのシーンは別の自分の可能性に気づいた彼女を祝福するという意味がある。
人々がスカーレットのあるべき姿を歓迎しているようなイメージで作った。みんな自分自身がもう一人別の可能性があるのではと思うことがあると思う。囚われている自分から解き放たれることが、その人にとって良いことだといいなと思ってシーンを作った。
細田監督のインタビューの全編はSBSラジオ「TOROアニメーション総研」のポッドキャストでお聞きいただけます。
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アニー賞の発表は現地時間2月21日です。偉業達成なるか注目が集まります!


































































