初期症状からの「異常なし」。それでも違和感を覚え、精密検査で発覚
Aさんが最初に違和感を覚えたのは2年前の夏ごろ。乳頭からうみが出ているのに気付いたことでした。クリニックを二度受診し、一回目にマンモグラフィーで、二回目にエコーで撮ったものの異常なし。ホッとした反面、症状が続いていることに引っかかりを感じて、総合病院でセカンドオピニオンを受けました。そして血液検査を含めた精密検査の結果、乳がんのステージ1が発覚。「最初は何を言われているのか分からなくて、なぜ私が?という気持ちでした。何より、症状に気付いてから半年も経っていたこともあって、とにかく怖かったです」(Aさん)4月に手術。その後、投薬による治療が始まりましたが、そこでも不安は尽きませんでした。「ホルモン治療だけでなく、抗がん剤の治療もすることになって。もともと体力がある方ではなかったので、耐えられるんだろうかと不安しかありませんでした」
そんな時、心の支えになったのは、家族や周りの人の励ましや、心の内を聞いてもらったことでした。「手術の前に病院で乳がん体験者の会『あけぼの静岡』のパンフレットを見て連絡したんです。乳がんを体験した人に『今の薬は昔よりもよくなっているから大丈夫ですよ』と教えていただいたことで、ずいぶん心が落ち着きました」
まさか自分が乳がんになるなんて…。「おかしいと思ったら迷わず病院へ」
Aさんは今、抗がん剤治療を終え、ホルモン治療を継続しています。後遺症の関節痛がどうしても辛いときは家族に頼りつつ、無理のない範囲で家事や仕事をしたり、飼っているペットと触れ合ったりすることで、ふさぎ込みがちな気分も晴れるのだそう。「特に『あけぼの静岡』で活動する皆さんの、明るさや前向きさには本当に励まされました。がんを経験されているとは思えないほど皆さん元気で、その姿を見て私も大丈夫だと前向きに思えました。ホルモン治療は5~10年続くので正直、長いなあとも思いますが、無理せず続けていきたいです」
Aさんが経験を振り返って思うのは「おかしいと思ったら早めに病院に行くこと」。「最初に検査を受ける前、同級生や職場の人に話したら『早めに診てもらったほうがいいよ』と強く勧められたんです。その時に言われなかったら、そのまま放置していたかもしれません」
早期発見で治療の幅も広がる。定期的な乳がん検診を!
そして、やはり大事なのは、定期的な乳がん検診を受けることだと話します。「私も検診は欠かさず受けていましたが、まさか自分が乳がんになるとは思ってもみませんでした。自分ががんになってから『実は自分も』と話してくれる人が周囲にちらほらいて、けっして他人事ではないと感じています。怖くて検診に行けていないという人も、不安なら迷わず病院に行ってほしいです」
「乳がんはとにかく早期発見・早期治療が大事。早く見つかればそれだけ治療の幅も広がります。仕事や家庭で忙しくても、検診には足を運んでください」
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