不妊治療の保険適用が拡大!4月の診療報酬改定について

2年に1度改定される診療報酬

今回は4月に改定される「診療報酬」を深堀りしていきます。詳しいお話を、ビジネスジャーナル等で多数の記事を執筆されている、医療ジャーナリストで薬剤師の吉澤エリーさんに、SBSアナウンサー牧野克彦がお話をうかがいました。
※2月21日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

牧野:病院でお会計をしたときにもらう紙に点数が書いてありますが、あれが診療報酬ですよね? どのようなものなのでしょうか?

吉澤:医療機関に、その対価として支払われる費用が「診療報酬」と呼ばれます。医療にも価格があり、医療行為ひとつひとつに細かく点数が定められ、その点数を足し合わせて金額を算出します。全額を患者さんが払うわけではなく、一般ですと患者さん3割、年齢によっては1割や2割です。そして残りが保険で負担されています。

牧野:診療報酬の改訂は、定期的に行われているんですか?

吉澤:そうですね。医療の進歩や日本の経済状況の変化、今何の医療が重要かが時代とともに変わるので、2年に一度見直しが行われています。

牧野:この春の見直しでは、どのような変化がありそうですか?

不妊治療の保険適用が拡大

吉澤:話題になっているのが、不妊治療の保険適用の拡大があると思います。これまで不妊治療の多くは自由診療で高額でした。一部、不妊の原因が何かの病気の場合は、その治療・検査に関しては今までも保険が適用されていました。今回の診療報酬改定では、人工授精や体外受精、顕微授精などにも保険が使えるようになりますが、一定の制限があります。例えば、40歳未満であれば6回まで、40歳から43歳では3回までなど。この辺りは病院の先生と相談していただければと思います。

オンライン診療の点数が上がる

吉澤:コロナ禍でオンライン診療が暫定的にOKとなっていましたが、今まで点数が非常に低かったんです。正直、病院の先生たちにとって積極的にやりたい感じではありませんでした。しかし、今回の診療報酬改定でオンライン診療も、普通に患者さんが病院に来るのと変わらないくらいの点数になったので、多くの先生たちが積極的に行っていくのではないかと思います。そうすると、地域による医療格差をカバーするとか、離島や医師がいない地域でもオンライン診療が受けられることになるかと思います。

牧野:ちょっとした風邪だったら、もうオンラインでという人も増えてくるでしょうか?

吉澤:オンライン診療だと、基本的には問診と画面を通して目で見る視診になるので、特に初診の場合は診察できる限度があると思います。ただ、今はデジタル技術がすごく進んでいて、皮膚科の病気などでも、オンライン診療でもしっかり診れるような技術ができています。今後もっと技術が進歩していけば、患者さんにとってはメリットが大きいかなと思います。ただ、精密検査などが必要な場合は、専門病院や地域の病院との連携が必要になると思います。

これは便利!「リフィル処方箋」とは

吉澤:リフィル処方箋とは、一定の期間、医療機関を受診しなくても繰り返し使用できる処方箋のことをいいます。今回の導入により、処方箋様式を変更し「リフィル可」という欄ができ、そこに医師がレ点を記入することで、リフィル処方として薬剤師の判断で調剤することが可能になります。しかし、リフィル処方箋の総使用回数の上限は3回までという制限があるほか、新薬、向精神薬、湿布薬などは不可となります。

リフィル処方箋を受けた薬剤師には、 次回の調剤予定を確認することや、服薬状況や患者の状態から受診が必要と判断した場合は、患者に受診勧奨を行い医師に報告することが要件となっています。症状が安定している慢性疾患では、不要な受診を減らすことができ、患者にとっては利便性が良く、社会にとっては医療費の削減に繋がると思います。
 

「ヤングケアラー」への支援

吉澤:内容的には介護を必要とする親などが入院したときに、そのお子さんがヤングケアラーだと病院が把握し、支援窓口などに連絡した場合には、病院が診療報酬を受け取れるようになることなんです。ヤングケアラーへの支援強化につなげるものですが、どの程度の支援につながるのか疑問を感じます。もっと根本的なところを改善していかないといけないと思っています。ただ、身の回りに学生さんで学校にも行かずに親の介護をしている、ヤングケアラーと心配されるような子供がいた場合は、最寄りの福祉課などへ連絡してもらえればと思います。

牧野:4月の診療報酬改定について、吉澤さんはどう評価されていますか?

吉澤:まず、リフィル処方箋が採用になったのは非常に大きな進歩です。以前から出ていた案件なんですが、再診が減るので医師会からの反発が強かったんです。薬剤師側もリフィル処方箋を無駄にせず、よく患者さんとコミュニケーションをとって、薬の使用状況などをヒアリングし、以前から問題になっている薬の多剤服用などを減らしていくことにつながればいいなと思います。

牧野:裏側には、国として医療費をどんどん減らしていく思惑もあるんですよね。ちょっと私が思ったのは、医療費を削減する方向だけにいくと、医療に携わろうという人が減ってしまう問題が同時に起こってくるのではないでしょうか?

吉澤:あくまで無駄な医療費の削減であって、先ほどお伝えした「オンライン診療」の点数を上げたりと、トータルで僅かですが医療機関にプラスになるような改訂になっています。ですので、この要件に沿ってしっかりと医療機関が動いてくれたら、医療機関も利益を減らすことなく患者さんに良い医療を提供できます。

牧野:お金を出すべきところにはちゃんと出して、不要なところは減らしていこうと、全体でバランスをとる形になっているんですね。今回もありがとうございました。
今回お話をうかがったのは……吉澤エリーさん
薬剤師、医療ジャーナリスト。1969年12月25日福島県生まれ、1992年東北薬科大学卒業(現、東北医科歯科大学)。医療記事を中心に多数メディアに執筆。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」ニュース(Business Journal)
 

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