
【静岡市美術館の「京都 細見美術館の名品」展】初期の鶏図、群舞する鶏図

「奇想の画家」伊藤若冲の19件が順路の掉尾を飾る。「雪中雄鶏図」は、字「景和」を署名とした30代前半の作。雪に囲まれ餌をついばむ赤顔の鶏は、立体物を想起させる迫力。真実性を追求する若き若冲の偏執的な筆遣いが見て取れる。対照的なのが、1797年頃に描いた洒脱なタッチの墨画「鶏図押絵貼屏風」。鶏12羽の軽妙な振る舞いは舞台で見えを切る役者のよう。鶏を描いた若冲の半世紀。時間の流れが画面に表出している。(は)
静岡県内の音楽、美術、文学、演劇、パフォーミングアーツなど、さまざまな表現活動を追いかけます。教育分野の動きもフォロー。最新情報は公式X(旧Twitter)で。