【絵本「アアウをとってこい」】秋野不矩さんの青、碧、蒼

静岡新聞教育文化部が200字でお届けする「県内アートさんぽ」。今回は、2023年6月発刊の絵本「アアウをとってこい」(BL出版)。浜松市天竜区出身の日本画家秋野不矩さん(1908~2001年)と文筆家の長男秋野癸巨矢(きくし)さん(1933~2008年)が1976年に発表した作品を復刻。

ミクロネシアの民話を絵本化。バナナ、ヤシ、マンゴーが実るサンゴ礁の島々を舞台にした、人間に力を与える「アアウ」(「人の頭にかかる虹のようなもの」という形容がある)を巡る冒険譚。鳥に変身できる少年たち、長老、巨人、さらに大きな巨人…。読み進めるうちに登場人物が順番に大きくなっていく過程が面白い。不矩さんの絵はブルーが基調で、海や空のグラデーションが非常に美しい。筆致をきめ細かく再現した印刷技術も秀逸。(は)

静岡県内の音楽、美術、文学、演劇、パフォーミングアーツなど、さまざまな表現活動を追いかけます。教育分野の動きもフォロー。最新情報は公式X(旧Twitter)で。

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